2014年12月16日

デジタルは人を幸せにしない:一覧できない

たびたび書いている、アナログ推奨の話。
デジタルの欠点のひとつは、
並べて一覧することのできなさである。


サムネを一覧出来る、といってもレイアウトに限界があり、
全部表示出来ないことが多い。

人間の思考は、
一覧、並び替え、その一覧から除くこと、その一覧に入れること、
によってなされることがとても多い。

そのときにデジタルは弱い。
強いのは、ラフでざっと紙に書くことだ。
大ラフで一覧することで、
ざっくり思考するのだ。
デジタルでは、一覧をつくることだけで手間がかかり、
本来必要な、並び替えの試行錯誤に時間をかけることが出来ない。

今やってる仕事の例で。
ドキュメント素材を沢山並べて一本にしなければならない。
15時間分の素材を2分にだ。
殆どは捨てることになる。

キープやOKカットの、僕はラフ絵でスクリプトをとる。
紙の上のラフ絵を見ながら構成をつくっていく。
必要とあらばラフ絵のコピーをとり、
机の上で並び替えをしながら全体構成をつくる。

デジタル映像は数字.mp4のファイル名で管理するから、
OSのファイルシステム上で並び替えをすることは難しい。
(MacOS9まではデフォでファイルをつかんで並び替えが出来たのにね。
僕がPremierやFinal CutよりAVIDを使うのは、
クリップを平面上にあれこれと並び替えが出来るからだ。
これは、実にフィルム編集に近いのだ)

並び替えをすることは、構成を練ることである。
はじまり、途中、盛り上がり、締め、
途中を何ヤマつくるか、などについて考えることだ。

これは紙に書いてラフ絵でやるのが、一番速い。
デジタルツール上での構成の並び替えは、
紙のものほどドラスティックな構成の変化に対応出来ない。
指示すべきことが細かすぎて、
小を見て大を見失う。


脚本についても同じだ。
構成は紙にラフでやるのがいい。

一見、テキストエディタなどで何度でもアンドゥしながら並び替えをすることのほうが、
知的に思えるがそれはポーズだけだ。
ドラスティックな構成の改造などにデジタルは弱い。
大掴みの構造変更を優先し、細かいことはそれに合わせて全修正、
なんてこともデジタルは弱い。

並べられたものはどれもフラットでしかなく、
どれが主でどれが従か、
しかも瞬時にそれを入れ換えてみる、
などにデジタルは弱い。

にもかかわらず、我々の脳はそのように考える。
つまり、デジタルは我々の思考の足を引っ張る。

アンドゥが楽、ぐらいしかデジタルに利点はない。
ところが、創造的思考でアンドゥすることなんて滅多にない。
発展的、収束的思考をするときには、
アンドゥすることは一度もない。
アンドゥするときは、間違ったときか迷ってるときである。
それは創造的思考ではない。

つまり、デジタルは創造的思考を邪魔する。


あなたは創造的思考をするとき、
紙に向かうべきであり、
モニタを見るべきではない。
モニタは清書する道具でしかなく、
真の創造は、紙の上でやるものだ。


もうひとつ例を。
四十八天狗といって、天狗を48並べたものがある。
八天狗といって、8並べたものがある。(48の中に八天狗全部はいない)
日本のどの辺りに八天狗が分布しているかざっくりと把握したいなら、
さっと日本地図をラフで書き、ざっと8つ書き込んだほうがはやい。
東京より北には八天狗はいないこと、
近畿近辺に片寄ることなど、
ぱっと見の印象は、ラフでしか把握できない。
そのラフの印象は正しくて、調べれば調べるほど、
天狗は日本の歴史に沿って発展し、
なおかつ江戸幕府の下では発展しなかったことがわかる。
(詳しくはまた別原稿でいつか書くつもりだ)
ついでにこの天狗たちが遠野の大天狗とどう関係しているか創作しようとすれば、
手書きのラフ絵のほうが、創作的思考に集中できるというものだ。


ざっと一覧したり、それを可塑的に考えて創造することは、
デジタルには苦手だ。
これに頼る限り、あなたは創造的思考を捨てることになるだろう。

さらに言うなら、デジタルに犯されて、
一覧して思考しない、短絡な思考形態になってしまうかも知れない。
(新聞や雑誌の一覧性は、ある程度の知性以上ないと意味がない。
紙メディアの衰退が、日本人から知性を奪いつつあるかも知れない。
俯瞰する、という知性の客観性が失われ、
目の前のことしか見えない馬鹿を増やしているかもしれない)
posted by おおおかとしひこ at 01:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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