2014年12月20日

運命に対する二つの考え方

またもや大雑把な話。

運命受容型と、運命開拓型の、
両極端なふたつを考えてみよう。


人間にはどうしようもない巨大なものがあって、
それはどうあっても変えることは出来ず、
受け入れるしかない、と考えるのが運命受容型。
一方、
人間は全てのものを変えることが出来る、
と考えるのが運命開拓型。

日本人は運命受容型(震災や自然を受け入れる)で、
欧米人は運命開拓型(自然を征服する)、
という大雑把な両極端。

例えば、天気のことは、
日本人ならどうしようもないもの、と考えるが、
欧米人は核爆弾で台風の進路を変えたり消そうと研究する。
日本人は竜巻注意報を出して家に籠るだけだが、
アメリカ人はカメラをハリケーンの中にぶっこんで、
マジで解体するための研究をしている。(規模が違うのもあるけど)

神様についても、
日本人は神様にある程度のはからいごとがあって、
我々は一生懸命に生きれば神様が見ていてくれる、
という他力本願的でかつ全てお天道様のようなお見通しのイメージだが、
欧米の神は契約制だ。
主体的な信仰の代わりに、具体的な運命を切り開くことを要求する。
契約外の者は神の加護はない。

運命の恋人は、
日本では偶然現れるまで待つものだが、
欧米人は探しに行く過程で見つけるものだと考える。

怪獣映画の日米の違いは、
日本では自衛隊では歯が立たず、ウルトラマンや津波や台風などの、
より巨大なものが退治するパターンが多いが、
アメリカでは海兵隊が撃退または捕獲、殺戮が決着だ。


あるいは、
僕の大好きなパターン、タイムトラベルによる、
タイムパラドックス解決もので考えても楽しい。

タイムマシンなどで過去へいったとき、
過去を改変してしまって歴史が変わるとしたら、
という物語にも、
運命受容型と運命開拓型がある。

運命は変えることが出来るから、
自分の都合のよいように書き換えてしまえ、
というのが運命開拓型。

運命は結局変えることが出来ないように出来ている、
(一見変わったようでも結局変わらなかった、を含む)
とか、
人間が運命を変えるなんておこがましいから、
我々はこの大きな流れに従う、
というのが運命受容型。

運命開拓型の代表的な例は、
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
「オーロラの彼方に」「デジャヴ」
などがある。

「バタフライエフェクト」は、
運命開拓型で話が進み、落ちが運命受容型と見せかけての、
どんでん返しで運命開拓型だ。

運命受容型のタイムトラベルものは、
あまり見当たらない。タイムマシンは一応そうだったか。
小説では「夏への扉」がそうだったなあ。

運命開拓型の過去改変は、僕はいつも違和感がある。
特に「オーロラの彼方に」では、
自分の都合のよい過去改変は出来たが、
関連する他の人の運命がどうなったかについては、
ノータッチで気になる。
主人公は幸せになったが、
その代わり他の人は不幸になったのではないか、
と気になってしょうがない。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」だって、
悪役のビフがひどい目に合うように運命を変えられてしまう。
悪役だから構わないように見えているが、
これが善意の第三者だとしたら酷い話だ。

恐らく日本人の好む話は、
大きく運命は変わらなかったが、それでも個人的な反抗が少し出来た、
という悲劇の中で個人意思を見せるパターンだろう。
今パッと思いつかないが、戦国自衛隊や、
手塚のアニメマリンエクスプレスはそうだったような気がする。



因果応報とか、めぐりめぐってとか、
人生で幸せと不幸の総量は大体決まっているとか、
世界の幸不幸を足したらゼロになる、
みたいな考え方を日本人はしている。

一方アメリカにあるのは、
個人的開拓精神であり、それは即ち征服することだ。

ざっくり言うと完成された社会に生きる者対、
野蛮人の差である。


これは観客に好まれる物語を分析したり、
個々のディテールを考えたりするときに役に立つ考え方だ。

どちらにせよ、映画とは行動と結果の連鎖になることに変わりはない。
反応が、運命受容型と開拓型で変わるかも知れない。

話を動かすために、
これらのタイプを登場人物に意識的に混ぜるのも手だ。
運命受容型が三人、開拓型が二人いたら、
この集団の中でどんな議論がされるかを考えると面白い。
例えば閉じ込められたエレベーターの中で、
それぞれがどうしようとするかを考えるだけで、
一本の短編が書けるだろう。
レスキューを待つ派と、必死に脱出する派に別れるからだ。

例えばポセイドンアドベンチャーで、
転覆直後、神父と牧師は正反対の行動をとり、
運命の明暗が別れる。
そう考えるとあの話は運命開拓型の話である。
posted by おおおかとしひこ at 16:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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