2014年12月20日

あなたの話のネガティブは何か?

と聞かれて即答出来るのなら、
あなたは自分の話について考えられている。

「お話とは、
ネガティブをポジティブに変えること」
だと僕は思う。


冒頭のネガティブな状況を、
ハッピーエンドに変えることでもいい。

ずっと心の中の欠点だったネガティブなことを、
ポジティブに変えることでもいい。

一見平和だった世界が、実はネガティブな世界だったことがわかり、
それをハッピーエンドに変えることでもいい。

ポジティブから転落してネガティブな状況に陥り、
それをハッピーエンドに逆転し返すことでもいい。

どれにせよネガティブな状況は、
必ず一幕で示されることになる。
これがこれからの話の前提になるからだ。


ネガティブなものは、
状況でもいいし、
人でも構わない。

人の場合、悪役という。
(アメリカではbad guyという。分かりやすすぎる命名だ)
典型的なチンピラヤクザや町の不良ばかりでなく、
頭のいい奴や、正義感に燃える奴が悪役になることもある。
(デスノートの主人公キラは、最後のタイプだ)
倫理的に悪である必要はなく、
ネガティブな対象であればいい。
ポジティブな状況にしようとしていることを邪魔する者の場合もある。
(「グッドウィルハンティング」)


悪役という分かりやすい具体に、ネガティブを象徴させてもいい。
人と人が絡み合うところ、必ず何かをしようとすると、
反対意見が出るものだ。それをネガティブと捉えてもいきだろう。

そのネガティブは、なるべく心に刺さるのがいい。
抉られること、理不尽で腹立つこと、悪すぎてヘドが出ること、
怖いこと、嫌なこと、辛いこと、などだ。
それを残り90分かけて覆していくのが、
映画型物語だ。


中盤は、ネガティブとポジティブの戦いだと言える。
ネガティブを打ち払おうと懸命にいろいろするのだが、
どうやってもネガティブなことに太刀打ち出来ない。
局地的勝利をしたり、局地的敗北を繰り返す。
そこで大逆転する秘策を持って、
終盤クライマックスの最終対決へ挑み、
見事覆らないほどの大勝利をするのである。

お話とは、ネガティブをポジティブに変えることだ。
知恵や勇気や仲間や発明的工夫や自分自身が変わることによってだ。



さて、この本質を理解しないアホな人が増えたように思う。
僕はCMでストーリーものをやるためにこの業界に来たが、
ここ最近、そのようなものを出すと、
「ネガティブな要素は入れないで下さい」と言われることが多い。
ネガティブなことでクレームが来るのを恐れるからだ。

極端な例では、梅雨時期の雨の日の嫌な洗濯でもこの洗剤なら安心、
というミュージカルもので、「冷たい雨でも」と唄ったら、
「雨は冷たいとは限らないし、農家にとってはこの時期の雨は恵みの雨であるから、
雨を無下に扱えない」と直されたことがある。雨は悪役じゃないんかい。
ということで、雨に負けない洗剤なのに雨を悪役扱い出来ない、
意味のわからないミュージカルが出来上がったことがある。

最近では東京ガスの就職活動が辛いことを思い出すから、
という理由で放映中止になった。

アホかと思う。たかがCMに辛いことを思いだしてんじゃねえよ。
その辛いことぐらい自分で解決せえよ。
クレーム来てもオンエア中止にすんなよ。
ストーリーものとは、ネガティブなことをポジティブに変えることだ。
ネガティブを禁止するなら、ストーリーなんてこの世にないのだ。
ずっと笑顔だけの、ペラッペラのポジティブなCMを流して、
人の心を1ミリも動かさない早送りされるものを作り続けて死んでいくといい。

件のミュージカルは、どうなったか忘れた。
忘れるほどの、非ストーリーに成り下がったからだ。


ストーリーとは、ネガティブなことをポジティブに変えることだ。
その動きに、真実を込めるのだ。
posted by おおおかとしひこ at 17:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック