2014年12月22日

会話が書けるようになれば、話は持たせられる

うちの演出部若手の脚本を見ていると、
会話が致命的に下手なのが目につく。

会話の下手な脚本なんて読む価値がない。
デートしていて弾まない会話並みに、
それは詰まらないからだ。

どうすれば会話が上手くなるのだろう。


書くスピードを上げる、という物理的な手段を紹介してみる。

あなたは言う速度で書けるだろうか。
大体は言うより書く方が遅い。

が、書くスピードは上げることが出来る。
速記を習ってもいいし、崩し字を習ってもいい。
僕はたいして綺麗な字ではないが、
書くスピードは速いと思う。
思ったことを忘れないうちに書き留める程度には。

会話が書くのが下手な人は、
本来リズムのある会話を、
書くのが遅くてそれを書き漏らしている可能性がある。

打ち文字よりも手書きのほうが速い筈だ。
自分用に簡略字体を発明している作家は多い。
それは、書くスピードを上げるためだ。
思ったリズムで手が書けるようにするためだ。

小学校の書道はここで活きる。
漢字や平仮名は、書き順のまま崩したほうが書くスピードが上がり、
形も美しくなる。
書き順は、そのように定義されているからだ。
漢字の書き順が正しくない人は、
字を崩せないし下手だし書くのが遅い。

コンマ数秒の話をしている。
一文字書くのに一秒遅れていたら、
頭の中のリズムからとても遅れていくだろう。
コンマ数秒縮めれば、頭の中の再生速度に近づく筈だ。

かつてガラケーの文字入力は、漢字変換を含まなければ、
女子高生の入力スピードは口で言うスピードに限りなく近づいたという。
僕はブラインドタッチよりも、
崩し字による手書きを勧める。
日本語の文章は、日本語で書くのが一番だ。

とにかく、口で言うように、
文字を書けるようになれば、
会話は上手くなる。

もしそれでも会話が詰まらないなら、
あなたはそもそも話が面白い人ではない。
面白い話をする人になってから出直したほうがいい。
(普段物凄く面白いのに、原稿を書かせたら途端に詰まらなくなる人もいる。
人間というのは面白い)


あとは、対話をちゃんと再現することだ。
他人と他人の会話を、
ちゃんと頭のなかで出来るようにすることだ。
違う立場、違う目的や事情の、
二人以上の会話を、それぞれの話者の都合を考えながら、
頭のなかで言えるような想像力を持つことだ。
言えれば、あとは書ける筈である。


会話さえちゃんと書ければ、
話なんて5分やそこらは全然持つ。
プロットさえ出来てれば、
面白いように話は流れていくものだ。
逆にプロットがないなのに、
面白い会話だけで、数分は持たせられるものだ。
それぐらいを目標にしよう。
posted by おおおかとしひこ at 02:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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