ついでに、ログラインのことも書いておく。
この話のログラインを書いてみよう。
「緊急事態の妊婦を乗せた運転手が、
ルール違反しながらも、病院に届ける話」
でよいと思う。
テーマは暗示されている。
ルールをガチガチに守るより、大切なことがある、
ということだ。
そのモチーフは、
タクシーの暴走ぶりだろう、と予想できる。
それがどういう落ちになるか、という興味も持たれる。
さらに、コンセプトも示している。
タクシーの暴走ぶりと、妊婦を送り届けた感動(達成)だ。
このように、ログラインは、
全てを含んだものであるべきだ。
問題と解決という軸もきちんと含んでいる。
出産の為の暴走だ。解決は出産だろう。
コンフリクトも含んでいる。
タクシーのルール違反対裁く側だ。
ログラインには明示されていないが、
ルール違反をしたタクシーがどうなるかは、
裁く側の存在があってこそだ。
具体的には警官のことだが、
抽象的には法令遵守である。
ログラインはいつ書けばいいのだろう。
書く前でも、書いている途中でも、書き終えたあとでも、
各段階で書くと良い。
それによって、
テーマやモチーフやコンセプトや、
問題と解決やコンフリクトが何かを、
自然とチェック出来るからだ。
この話は何が面白いのか?
と時々分からなくなったら、
ログラインを書いてみることをすすめる。
それがシンプルにならないのは、
どこかがまだ複雑で、
話としての強さが出来ていない証拠だ。
試しにシンプルなログラインを書いてみる。
それに必要ない部分を全部落としてみると、
骨格だけが残る。
その骨格そのものを面白くすることが、
お話を面白くすることである。
恐らくそれは、動機(理由)と行動のリストになっているはずである。
2014年12月26日
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タクシードライバーではなく、警官ではないでしょうか。
タクシードライバーでは、葛藤がなさぎます。
責任感の強い警官を主人公にすることで
『許したい』という思いと『責任を持って職務を行うべき』
というの葛藤が生まれます。
タクシードライバーは、各ターニングポイントの前で、ほとんど躊躇していない。
しかし、躊躇しそれを乗り越えるからこそ人間は変化するのかな、と思います。
責任感の強い主人公が、ワルのタクシードライバーに触れて、時には悪いことをしても良いと思うようになる
ということが、ドラマチックです。
サブプロットで、ピンチに陥った主人公が、本来全うすべき職務を無視した人に助けられる、なんてものがあるとさらにテーマが深まるかもしれません。
以上より
1幕:スピード違反のタクシーを見つけて追いかけ始める。
2幕前半:チェイスを行う。
ミッドポイント:タクシードライバと、客の様子がおかしいことに気づき応援を呼ぶべきか迷ううちに、事故る。
2幕後半:荷物配達中のトラックの運転手に話し、協力してもらう。
3幕:タクシーが妊婦のために走っていたことが明らかとなる。トラックの運転手、電話で上司に平謝り。電話を切った後、得意気に「自分は警官になりたかった」と話す。警官はトラックの運転手を許す。
尺が足りなそうですが、こんなかんじでしょうか。
塩さんの案は警官の動機が弱いように感じました。
だから引きも弱い。
動機が弱いから葛藤も弱い。
センタークエスションも弱い。
だからカタルシスもあまり感じない。
素人意見でした。
失礼しました。
二点あります。
ひとつは、これは予算200万(出来れば100万)と5分におさめる、世界的なコンテストであること。
なるべくノンバーバル(台詞がないこと)がよいです。
俺も警官になりたかったんだ、と言うのは台詞じゃないとしんどいから、どや顔の決めを台詞でやることになるので、
ノンバーバルである現状より劣ります。
尺は書いてみないとわかりませんが、予算は明らかにオーバーでしょう。
アクション部分も一晩で撮影できなさそうです。
僕は普段は好きなように書けとなるべく言っていますが、
実戦では予算やスケジュールとの闘いです。
その条件を満たしていない段階で、実戦では却下です。
ふたつめ。
スタンドバイミーさんも書いてますが、
警官の葛藤がタクシーよりも強くなったかどうかが、
争点になるでしょうね。
タクシー運転手に葛藤がないわけないでしょう。
破水してるからシートは汚れるし、タダで乗せるってことは自腹だってことだし、
第一免停→首は目に見えています。
どんな善行だとしても、捕まれば終わりです。
特に失敗を許さない今の社会では。(その批判が作品の目的なのですが)
彼の中では、免停→コンビニ勤務かなあなんて想像もあったはずですよ。
さて。更に大事なことがあり、
葛藤(心の内部の葛藤)は必要か?
という問題があります。
5分の話に僕は不要だと考えます。
葛藤は目に見えないからです。
そこは読解する部分であり、それほどの読解は、たかが5分には不要ではないかと思います。
(タクシー運転手や警官に感情移入させるための初期設定を試しに書きましたが、
あってもなくてもたいして変わらないと思いました)
少々不安に思ったのですが、
塩さんは「ドラマとは葛藤である」という、間違ったセオリーを鵜呑みにしてませんか?
「ドラマとは葛藤であるは誤訳である」などをご覧ください。
(真夜中のチェイス」については塩さんの構成のほうが、自分には魅力的に見えます。
最初に、妊婦がタクシーに乗り込んできた段階で、オチが読めるからです。勧善懲悪のラインから外れない展開で、ああこの人を助けるでしょ、ほらね、という感じでそこに見る側としては何の意外性もないからです。
助けることを意外性にするには、運転手がよっぽど人を助けそうにないキャラとかエピソードなどの描写が必要なような気がします。それこそ尺が足らないのではないでしょうか?
真夜中のチェイスを読んだ感想としては、王道というよりはベタで退屈な印象をうけました。
まだ塩さんの構成の、
暴走するタクシーが冒頭にあったほうが、なぜこのタクシーは暴走しているのか?という興味をもちやすいです。
5分の短さとはいいますが、外国のCMを時々テレビで紹介されているのを見ると、
冒頭は、おや、という興味を引きやすいような
シチュエーションからの、ニヤリとするオチがつけられ、けっして5分でやれる話は
展開の読めるようなベタなものしか作れないものではないと思います。
ということで、塩さん書いてみてはいかがでしょう。
ないものをあれこれ言うのり、具体を見てみたいですなあ。
僕は微差の予想です。
またけつまんじゅうさんは外国のロングCMをあげられていますが、平均3000万から億かかっているそれらと比較しないほうがよいです。あくまで100から200という現実の条件を考えたほうがよいでしょう。
目安は、タモリ倶楽部の空耳アワーが三ネタで120ぐらいかな。
これはBE BADという共通テーマのコンテストであり、コンテスト以外で上映されない(見るのは業界人のみ)規格であることは、分かっていたほうがよいと思います。
オリジナルを考えるもよし、僕のシナリオを改良するもよしです。リライトの良い訓練になるでしょう。