あなたが何ヵ月かけて書いても、
あなたが何年かけて書いても、
消費は数時間である。
それは覚えておくといい。
どんなに名作でも、
数時間しか、人は付き合ってくれない。
観客はすぐに別の話のところへ行ってしまう。
あなたが物語をどのように消費しているか、考えれば分かる。
作者や関係者の苦労などおいといて、
毎日毎日、別の話を見て、
面白かったとか詰まらなかったとか言って、
次の日には別の話を見ている。
あなたの話はその中のたったひとつに過ぎない。
今まで食べたパンの数を覚えていない、
そのパンのひとつに過ぎない。
ある話に爆笑して号泣したら、それでおしまい。
次の日には別の話に夢中である。
パンを消費し続ける。
時々日記や記憶で、特別良かったり、
引っ掛かったものは、思い出してくれるかも知れないが。
良い話は人の口から口に伝わる。
波のように。
その波をブームというに過ぎない。
数が一気に来れば大ブームや社会現象だし、
実写風魔のように、いまだに語り草になったりする作品もある。
一過性の波になるか、未来永劫刻まれる波になるかは、
時の運と、作品の良さの組み合わせだ。
それにしても、
あなたの話は数時間一緒にいたら、捨てられる運命である。
本棚に置かれれば、読み返されることが一生なくても、
その記憶を大事にされるという程度だ。
人はパンの数ほどの物語と付き合うのだから。
どんな物語でも、
付き合ってくれるのはたったの数時間だ。
あなたは、その数時間の為に命を燃やすのだ。
とても虚しいし、とても素晴らしい仕事である。
2015年01月05日
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