2015年01月06日

お話のパターン

100本プロットマラソン、続けている人もいない人も。
(ちなみにすぐネタが切れるので、
早々に三題話などに切り替え、ネタを拾うと続けやすい。
キャラや事件を借りたりしてもよいが、
プロットだけはオリジナルにすること。
また、借りるべきキャラや事件は、アニメや漫画でなく、
実在のもの、つまり身近な人やニュースで触れられる範囲がよい。
何故なら、映画とは実写だからだ)

数を書くと気づくことだが、
いかに自分の中にパターンが少ないことか、
を実感するものである。


2、3本は流石に違うパターンにする。
5、6本を越えたころ、似通ったパターンが出てくる。
15本を越えれば、似たようなパターンだらけで、
例外を探したほうが早いぐらいだ。

しかも、例外と言っても、
あくまで「自分的な」例外に過ぎず、
世間の珍しいパターンからすればよくあるパターンに過ぎない。

ここで自己嫌悪に陥らないことだ。

自分の持ちパターンが少ないことを実感するのも、
数稽古のひとつなのだ。
(毎回違うパターンで書ける人は、
限界まで違うパターンに挑むこと!)


逆に、得意なパターンを見つけるのも、
数稽古の目的と言ってもいい。

自分が楽に書けて、しかもいい感じなのは、
どういうパターンかを熟知するのだ。
それさえ見えてくれば、
一部にアレンジを加えることが可能だ。
最初に伏線を引いたり、
あとでどんでん返しをしたり、
バッドエンドにしたり、
いつもの主人公とは別の人を主人公にしてみたり、
などなどの余裕が生まれてくる。

そのパターンは何だろう。
王道だろうか。奇道だろうか。
それはひとつか。複数あるのか。

いずれにせよ、それがあなたの現在の作家性そのものだ。
何も書かずに自分の作家性に悩むくらいなら、
実戦でそれを確認すればいいのだ。
作家というのは状態ではなく運動体である。
お前どんくらいやるの?やってみようぜ、
の世界なのである。

100本稽古のうち、前半はそれを見つけ、アレンジをして、
磨いていくことに使うといいだろう。
後半は、新しいパターンに挑戦するといい。
(沢山書ける人は逆でもいい)

善人ばかりなら悪人だらけを、
ハッピーエンドばかりならビターやバッドエンドを、
どんでん返しばかりならストレートに解決するものを、
男ばかりなら女ばかりを、
敵ばかりなら敵のいない話を、
身内が味方なら敵になる話を、
回想がないなら回想のある話を、
順番に語っているなら時系列をごちゃごちゃにする話を、
第三者に助けられるなら一人だけの解決を、
裏切りがないから裏切りを、
秘密がないなら秘密を、
複数をカットバックするならワンシチュエーションを、
登場人物が少ないなら5人以上とかを、
いつも同じジャンルなら別ジャンルを、
逆なら逆を、
書いてみることをオススメする。


話のパターン分けは、
色々な人の先行研究がある。
ブレイク・シュナイダーもやってるし、
大体の脚本入門書にはあるし、
バリエーションは沢山ある。
(ツタヤですらジャンル分けをする)

「自分の中で、書くことに納得がいく」パターン分けをするといい。
あなたは研究者でなく実践者だから、
全ジャンルの妥当な分類よりも、
自分の書けるパターン研究をする上での、
パターン分けをしていくといいだろう。

僕もたいしたバリエーションがなくて、
てんぐ探偵では毎回唸っている。
(工夫の具合は妖怪が外れる瞬間と、それまでの経緯だ)
見た目のバリエーションで差をつけることで、
どうにかかわしているような気もする。

例えばウルトラマンや仮面ライダーの一作目は、
ある縛りをした上での、パターンの豊富さに舌を巻く。
これは複数のライターによるという事もある
(4人で4クールなら、一人13話書いた計算だ)が、
それぞれのライターはそれぞれに実写ドラマを元々書く人で、
特撮専門でなかったのは大きい。
人間ドラマを豊富に色々なパターンで書ける人だったからこそ、
特撮にアレンジしたことで中身が豊富になったのだ。


書けば書くほど、
結局人間ドラマの核心をどう書くかに集約することが分かるだろう。

おそらくプロでも、
30本を越えたところから、苦しくなる。
50本出来れば、中々のものだと自分を誉めていい。
70本行く人は、殆どいないと思って書いている。
(そこを越えればあとは組み合わせで寄り切れる)
一人の中に、そこまでパターンが埋もれていないものだ。

パターンは、自分の中にあるに越したことはない。
またこれかよ、と言われることとの闘いである。
作風と割りきるか、これしか出来ない無能とするかは、
自分ではなく世間が決めることではある。


話のパターンは、なかなか言葉にしづらい。
だが、感覚的には皆が持っているはずだ。
「またこのパターンか」ってやつを。
それは人間に備わった、繰り返しの感覚なのかも知れない。
パターンに嵌めるのか、新しいパターンに挑むのか、
100本の中で苦悩してみよう。
「行く」というすぐ過ぎてしまう1月のうちに、
そういうトレーニングはとてもよい。

受験直後が一番頭がいいように、
それを終えた時に見る映画はとても勉強になるよ。
posted by おおおかとしひこ at 15:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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