2015年01月11日

上手い写真の撮り方

ひとつだけコツを教えてあげよう。

「ヌケに注意すること」。

専門用語抜きで言うと、
「被写体の後ろに何が写っているか注意すること」だ。


人とか猫とか、写真を撮るときは、
その被写体に注意するのは勿論、
そのヌケ(被写体の後ろにある背景)に、
何が写っているかも気にしよう。

ヘンテコな看板が入ってたら、
せっかくの美女も台無しだ。
後ろにへんなおじさんが写っていたら、
被写体である猫より気になる。
記念写真で誰かの頭の上に、
後ろからちょんまげみたいに何かを出すイタズラは定番だ。

笑える一発ネタ写真のパターンで、
被写体より、そのヌケにあるものが面白い、
のがある。

つまり、素人は、被写体ばかり見ていて、
ヌケなんて見ずにシャッターを切っているのだ。

多くの心霊写真は、このために起こることが多い。
被写体の後ろの窓に変なものがうつっている、とか、
被写体の後ろの何かに人っぽいものがうつっている、とかは、
ヌケまで見ていない素人写真家の仕業である。
(たいてい心霊ではなく、その場にあったものなのだが、
注意が向けられていなくて、その場にあった筈がない、
などと記憶違いすることも多い)


逆に、プロの写真家は、ヌケまで見てからシャッターを切る。
変な看板が入ってたらアングルを変えるし、
後ろの家からこっちを見てる人がいたら「すいません」と謝りにいくし、
後ろに汚いゴミ箱があれば、そこまで歩いていってのけるものだ。
勿論、ボケの中に入ってしまえば、何があっても問題はないのだが。


さて、
映画とは、写真芸術でもある。
被写体とヌケの話は、他人事ではない。
フレームに何を写し、ヌケに何を写すかは、
カメラマンと監督が決めることだが、
それは、脚本から暗示されていることが理想だ。

どういうことかと言うと、
現在の人物の状態と、
その人のバックストーリーの関係と同じだからだ。

ヌケに何を写すかは、
背景を決めることだ。

背景にしょうもない看板や汚いゴミ箱を入れるのは、
バックストーリーに、
いらない恋話や幼少期のエピソードが入っていることと同じなのだ。

専門用語で、撮影中にヌケを整理する、と言う。
逆に、ヌケにもう少しディテールが欲しい、と、
フレームの外のゴミ箱をアングル内に入れたり、
背景のエキストラを増やすこともある。

ヌケを決めることは、バックストーリーの多寡を決めることと、
殆ど同じ行為だ。
ヌケがごちゃごちゃしてれば、被写体に目がいかないし、
ヌケが真っ白では、どこに立っているか分からない。
脚本と同じだ。


昔と違い、今は誰でも高画質の写真が撮れる。
高画質というのはあくまでピクセル数であり、
ハイクオリティを意味しない。
次写真を撮るときは、ヌケを気にしてみて欲しい。
posted by おおおかとしひこ at 01:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック