決め絵は縦長である、または正方形である。
横長の絵は決め絵にならない。
という仮説を出してみる。
油絵のキャンバス、雑誌の表紙、
映画のポスター。
時代のイコンになる図像。
どや顔で使う決め絵の候補。
これらは全て、縦長である。
映画の中のイコンというと、
物語全体(または一部)を象徴するような、
静止画の一枚絵、
の意味で僕は使っている。
そういうものになかなかお目にかからない。
むしろ、映画ポスターの中にそれが多いような気がする。
(見ている時間の多さにも関係するかもだが)
絵画が縦長が多いのはどうしてだろう。
人間の顔が縦長であることや、立ち姿座り姿が縦長であることと、
関係があるような気がする。
逆に横長の絵画は、一人ではなく複数の人を描くものが多いような気がする。
てんぐ探偵の挿し絵は、縦長だ。
最初は半ば強制的に描いていたが、
段々イコンが描きやすいことが分かってきた。
横長で描くよりもだ。
横長は場面を描くには適するが
(元々映像化前提だから、アングルはすぐ浮かぶ)、
その話の象徴的な場面、すなわちイコンを描くのは、
縦長のほうが適している気がしている。
更に実感していることは、
テレビがハイビジョンになって、
決め絵が減少している気がする。
4:3のときのほうが、決め絵がつくりやすかった。
横長の絵は、決め絵になりにくいのだ。
正方形に近い方がイコンになりやすい
(ロシアあたりの宗教画イコンは正方形が多い)
という仮説を立てていたのだが、
縦長の絵を最近沢山描いて、
縦長の絵のほうが更にイコンを描きやすい実感がある。
絵画もスナップ写真も、宗教画も縦長が多い。
ポスターも雑誌もだ。
映画が横長のフレームになった理由は、
ステージと同じで、横に長い分観客席を沢山つくれるからだ。
単純に商売用だ。
演劇も、昔のタイプの劇場ほど横が短い。
(なんとなく4:3に近いと思う)
人間は、横長よりも縦長の絵に、決め絵を感じる。
という仮説を立ててみる。
あなたの記憶の中のイコンはどうなってるだろう。
ロッキーで検証。
卵を飲む絵は、なんとなく縦長だ。横のスペースは黒。
肉を叩く絵は、なんとなく縦長だ。肉ナメで、ロッキーメインだ。
(ナメショットは、強制的に縦長のフレーミングをつくる道具である)
エイドリアーンと叫ぶロッキーも、なんとなく縦長だ。顔しか覚えてないし。
ポスターにも使われた、美術館前で両手を上げるカットも、
なんとなく縦長だ。左右のスペースはあってもなくてもいい。
カリオストロの城で検証。
「今はこれが精一杯」はなんとなく縦長だ。クラリスナメだったと思う。
床があいて不敵に落ちていくのは縦長だ。
「盗んだのは、あなたの心です」「はい」も、表情だけが残る縦長だ。
序盤の崖の横を走るのは横長?
いやいや、絵面的には縦長の記憶がある。
さてさて、もう少し検証してみたいテーマだ。
我々の記憶(あるいは構造化)は、縦長のフレーミングだ、
という仮説が面白いかも知れない。
逆に、横長の決め絵を、探してみるのは悪くない。
ツーショットぐらいまでは、縦長のフレーミングになるような気がする。
2015年01月12日
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