2015年01月12日

決め絵は、縦長(仮説)

決め絵は縦長である、または正方形である。
横長の絵は決め絵にならない。
という仮説を出してみる。


油絵のキャンバス、雑誌の表紙、
映画のポスター。
時代のイコンになる図像。
どや顔で使う決め絵の候補。
これらは全て、縦長である。

映画の中のイコンというと、
物語全体(または一部)を象徴するような、
静止画の一枚絵、
の意味で僕は使っている。

そういうものになかなかお目にかからない。
むしろ、映画ポスターの中にそれが多いような気がする。
(見ている時間の多さにも関係するかもだが)

絵画が縦長が多いのはどうしてだろう。
人間の顔が縦長であることや、立ち姿座り姿が縦長であることと、
関係があるような気がする。
逆に横長の絵画は、一人ではなく複数の人を描くものが多いような気がする。


てんぐ探偵の挿し絵は、縦長だ。
最初は半ば強制的に描いていたが、
段々イコンが描きやすいことが分かってきた。
横長で描くよりもだ。
横長は場面を描くには適するが
(元々映像化前提だから、アングルはすぐ浮かぶ)、
その話の象徴的な場面、すなわちイコンを描くのは、
縦長のほうが適している気がしている。

更に実感していることは、
テレビがハイビジョンになって、
決め絵が減少している気がする。
4:3のときのほうが、決め絵がつくりやすかった。
横長の絵は、決め絵になりにくいのだ。
正方形に近い方がイコンになりやすい
(ロシアあたりの宗教画イコンは正方形が多い)
という仮説を立てていたのだが、
縦長の絵を最近沢山描いて、
縦長の絵のほうが更にイコンを描きやすい実感がある。

絵画もスナップ写真も、宗教画も縦長が多い。
ポスターも雑誌もだ。

映画が横長のフレームになった理由は、
ステージと同じで、横に長い分観客席を沢山つくれるからだ。
単純に商売用だ。
演劇も、昔のタイプの劇場ほど横が短い。
(なんとなく4:3に近いと思う)

人間は、横長よりも縦長の絵に、決め絵を感じる。
という仮説を立ててみる。

あなたの記憶の中のイコンはどうなってるだろう。



ロッキーで検証。
卵を飲む絵は、なんとなく縦長だ。横のスペースは黒。
肉を叩く絵は、なんとなく縦長だ。肉ナメで、ロッキーメインだ。
(ナメショットは、強制的に縦長のフレーミングをつくる道具である)
エイドリアーンと叫ぶロッキーも、なんとなく縦長だ。顔しか覚えてないし。
ポスターにも使われた、美術館前で両手を上げるカットも、
なんとなく縦長だ。左右のスペースはあってもなくてもいい。

カリオストロの城で検証。
「今はこれが精一杯」はなんとなく縦長だ。クラリスナメだったと思う。
床があいて不敵に落ちていくのは縦長だ。
「盗んだのは、あなたの心です」「はい」も、表情だけが残る縦長だ。
序盤の崖の横を走るのは横長?
いやいや、絵面的には縦長の記憶がある。

さてさて、もう少し検証してみたいテーマだ。

我々の記憶(あるいは構造化)は、縦長のフレーミングだ、
という仮説が面白いかも知れない。


逆に、横長の決め絵を、探してみるのは悪くない。
ツーショットぐらいまでは、縦長のフレーミングになるような気がする。
posted by おおおかとしひこ at 03:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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