2015年01月13日

象徴主義の利用

平凡なプロットを、書き方次第で面白くする方法その2。
前の記事のネタが、場面と場面の繋がり、
つまり構造的なネタだとしたら、
今回は一場面程度またはワンアイデアの方法。

象徴主義を利用してみるやり方。


夢占いが一番有名だろう。
○○は△△の象徴、というやつだ。

学問的根拠は、ユング、フロイト、ソシュールあたりか。
(ラカンやデリダあたりもよく聞いたなあ)
象徴は文化に依存するため、
夢占いの根拠の多くは西洋の象徴が基準になっていたりして、
我々の文化と馴染まない、ほんとかそれ?
というのが結構あったりする。
そこを利用する。


まず分かりやすい例から。

ある平凡なプロットを、
象徴するシチュエーションに書き換えるのだ。
それだけで表現として、見たことのないものになる可能性がある。

例えばAが不安だ、という状況で、
「高いところから落ちる夢を見る」というのは平凡だ。
その代わりに、「実際に、高いところから落ちそうになるシーン」を描くのだ。

二階の窓から外を眺めていてペンを屋根におとし、
それを取ろうとして落ちそうになる、
梯子の上でなにか作業させ落ちそうになる、
観覧車に乗っているとき強風で一時停止する(これ俺の実体験)、
或いは展望台で…
などなど、シチュエーションはいくらでも思いつく。
Aが不安で悩んでいる顔を写したり、
誰かに相談するシーンよりも、
何かを話しているシチュエーションなどでそれを象徴するのである。
Aが不安である自覚がなくても、
観客が不安になっていくのだ。

不安な感情以外にも、
夢占いの本でも買ってパラパラめくれば、
思わぬ言葉に巡りあうことがある。
(デジタル辞典ではこれが出来ない)

或いは、ヘンテコな夢を見たらすぐメモして、
分解して利用するという手もある。
シュールレアリストの多くは、
そのような象徴主義を利用することがある。
(文化的に象徴が伝わらない時もあるため、
日本でシュールといえば意味不明の代名詞になっているが)

象徴させなくても、
ヘンテコなシチュエーションはそれだけで楽しいので、
それありきで何かを考えるのはアリだと思う。
剣と魔法とドラゴンだけがファンタジーではなく、
広い意味でのファンタジーとは、そのようにしてつくるのだと思う。

物凄い世界構築をしなくてもよい。
小さいネタに使ってもよい。
マークのデザインとかね。


全く違う文化の象徴主義を使うのは、
実は西洋文化に多い。
オリエンタリズムとそれはよく言われる。
彼らの西洋式キリスト教主義の中にない原理を、
東洋哲学や文化から取り入れようとする。
(下手な奴はビジュアルをパクるだけ。スターウォーズみたいにね)
アフリカなどより原始的な文化を利用することもある。
インディオが流行ったのも、パクリ元違いである。
(あいつらバカだから、日本と中国の区別がつかなかったりするけど。
だがそれもしょうがない。アジアってどこからか知ってる?
インドから東だぜ?そりゃ区別もつかないだろうよ)

ビジュアルをパクるのではなく、
考え方に象徴主義を利用すると、
変わったものがつくれるだろう。

「千の風になって」はインディオの考え方(アボリジニだっけ?)だし、
「ゴースト/ニューヨークの幻」は、仏教の魂の考え方を西洋風に表現したものだ。
(だから、日本でヒットしたのかもだ)

大技にするもよし、小技を効かせるもよし。
そういう変化球のつけかたも、知っておくとよい。
posted by おおおかとしひこ at 09:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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