ターニングポイントは、展開点と訳すと分かりやすい。
ここから以降、展開がある、ということである。
ターニングポイントは、
事件が起こる、ニュース、台詞、
何かを見る、何かを知る、知ってしまう、
何かのアクションをして意志を示す、
何かの(覆らない)結果や決定が出る、
小目標の達成、
などによって起こるパターンが多い。
(新しいターニングポイントのパターンを考えてもいい)
5分に一回と数えてもいいし、
1分に一回と数えてもいい。
(細かく数えたら140ぐらいあった、とかつて書いた脚本の話しはした)
例えば男女で飲みに行っているとき、
「家で飲み直さない?」という台詞は、
ひとつのターニングポイントだ。
ここまでの大きなターニングポイントでなく、
「もう一杯飲もうよ」もターニングポイントだ。
ターニングポイントが面白くなるのは、
目的があるときだ。
上の例では、男が女を口説きたい目的がないと、
台詞としてはたいして面白くない。
逆に、どうしても口説きたい目的がちゃんと描かれていれば、
どんなに平凡な台詞でも面白くなる。
(大抵は、目的か台詞かどっちかが良い。
両方ちゃんと書けてればそれはドラマチックな名場面だ。
風魔の11話のラスト、麗羅の死を受けて、
無言の風林火山の完成は、良く書けた最も大きなターニングポイントのひとつだ)
ターニングポイントを起こしやすいのは、
台詞である。
人為的にやりやすいし、内容がはっきりする。
次は絵的に派手なものだ。
「刑事ジョンブック/目撃者」の大きなターニングポイントは、
どれも絵的に派手なもので、とてもよい。
特に、一幕のラスト、
怪我をした主人公がこのまま村を出ていく、と一端は車に乗り、
よろよろと出て行くのだがカーブを曲がれず鳥小屋を壊すのは、
「出ていけずこの村で怪我を治す」ことへのターニングポイントになる。
(そしてこの鳥小屋を直す頃、怪我が治りこの村を出ていくターニングポイントになるのだ)
ターニングポイントの前後で、
焦点が変わることに注意されたい。
ターニングポイントとは、逆に、
新しい話題への突入点である、ということも出来る。
前の話題が一段落したとき、
あるいは一時停止的なペンディングになったとき、
あるいは解決もせず、
ターニングポイントがあることで、
新しい話題に移る、もしくは移らざるを得なくなる。
ペンディングになっていることを、そのまま新しい話題に足していけば、
焦点が進化した、と考えられるし、
一端脇に置いておいて、忘れた頃にそれを解決すれば、
伏線と解消になるだろう。
さて、以前も書いたが、
三幕構成理論では、
一幕、二幕の幕切れに、大きなターニングポイント、
第一ターニングポイント、第二ターニングポイントがある。
これは、あらゆるターニングポイントの一個目と二個目、を意味しない。
名前がややこしいので、
第一プロットポイント、第二プロットポイント、
とう言い方をする人もいる。
僕は第一大ターニングポイント、第二大ターニングポイント、
などと呼んで区別することがある。
ターニングポイント1→ターニングポイント2→
…→ターニングポイント15→ターニングポイント16
が仮に一幕の構造だとしたら、 ターニングポイント16が、
第一大ターニングポイントと呼ばれ、
第一プロットポイントと呼ばれ、
三幕構造では第一ターニングポイントと呼ばれる、
というだけの話だ。
16ターニングポイントがあるかどうかは、
そのシナリオに依存するし、数え方にもよると思う。
細かく数えたら、視線を移動することや、
話題転換もターニングポイントに含まれるからである。
ターニングポイントを意識するには、
「もはや後戻り出来ないこと」を基準にするといい。
もはや前に「進むしかない」からである。
日常では、それなし、やっぱやめた、
とアンドゥして日常に戻ることが出来る。
それが出来ないことが、ドラマチックストーリーの条件かも知れない。
男女の飲みだって、「うち来る?」は、
もはや後戻り出来ないポイントだ。
「今日は帰る」と言われたら、
二度と「うち来る?」のカードを切ることは出来ないだろう。
(或いは、女を口説くコツは、一見後戻り出来るようにすること、
という話もある。逆に退路を経つ強引さが必要という話もある。
それは、その男女次第だと思うけどね)
ただの芝居はない。
芝居には目的がある。
それが突然別の目的にはならない。
ターニングポイントがあるから、別の目的になる。
別の目的に「なる」のではなく、その目的に「せざるを得ない」のだ。
アドベンチャー映画、アクション映画、ミステリー映画などでは、
ターニングポイントが分かりやすい。
それは、目的が分かりやすいからだ。
脱出、命が助かること、敵を倒すこと、敵から逃げること、
手がかりを得ること、手がかりが間違いだったと分かること、
敵を騙す作戦、急に手がかりがなくなったこと、
急に出口が見つかったこと、
ついに最終目的が分かったこと、
勝利条件の確定、
などなどがパターンとしてあるからだ。
勿論、それ以外の映画にも、
目的とターニングポイントはある。
目的が切迫していればしているほど、
ターニングポイントは面白くなる。
自分が展開が下手だな、と感じたら、
名作のターニングポイントを研究しよう。
そのドラマチックな面白さや、
平凡なのだが効果的なターニングポイントについて元気しよう。
その前後で目的がどう変わったかのリストをつくろう。
そうすれば、
目的とターニングポイントとストーリー展開について、
把握できるようになる。
上手なターニングポイントは、
一人の目的だけでなく、
複数の目的をいっぺんに変える役割をする。
大逆転ポイントとか、リバーサルポイントなどという。
いつも例に出すのは、「天空の城ラピュタ」のミッドポイント、
シータ救出の瞬間だ。
あれで複数の目的が変わる、しかも恋に落ちる、
しかもアクションが前代未聞の、
史上最も劇的なターニングポイントのひとつである。
あのようなターニングポイントを、日々書きたいものだ。
(実際には制作費のことを考えてしまうから、
アクションはそこまで出来ないけど、
機能として意識したい)
2015年01月18日
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