劇的文脈の話、つづき。
その劇的文脈にサブタイトルをつけることは、
よくやるリライトのテクニックである。
それを執筆中にも、活用できる。
「てんぐ探偵」20話妖怪横文字を例に出せば、
件の、ネムカケがごねるターニングポイントから、
京都で浄瑠璃を見るターニングポイントまでの劇的文脈は、
「ネムカケが浄瑠璃を見たいと説得する」である。
これにサブタイトルをつける。
たとえば「ネムカケの説得」だ。
このようなサブタイがつけば、
次のターニングポイント、「見終える」まで、
いかに浄瑠璃が素晴らしいかをネムカケが語り、
それに他のメンバーが引っ張られていく様を描けばよい、
というおおむねの方針が成立する。
その方針が達成できなければ、
方針が間違っていたか、執筆が間違っていたかのどちらかで、
どちらかを書き直せばいいことになる。
実際の原稿は3分から5分程度の文字数だから、
被害は全直しでもたいしたことない。
「ネムカケの説得」が面白おかしいように書ければ正解で、
なおかつ上位のサブタイ
「三つ目の日本文化(京都で浄瑠璃)」「日本文化で横文字退治」
「展開部のミッドポイント」「妖怪横文字を退治」
「結婚の提案」
の一部を実現していれば、それが正解だ。
(ここの寄与は、上位に行くほど薄くなるだろう)
映画のDVDに、チャプターというものがある。
切れ目は、シーンとシーンの間である。
そして、まともな映画会社なら、
そのチャプターにサブタイをつける。
それは、意味のまとまりのある、劇的文脈の名である。
(それが的確につけられているか、
また的確なブロック分けかについては、
適当にある程度の時間単位で分けてやってるだけかもなので、
信用仕切らないほうがいい。
映画会社の下請けが適当にやってノーチェックもあるから)
もし自分が研究する映画があれば、
自分でチャプター分けをして、
実際にサブタイをつけてみるといい。
どこからどこまで何分かかっているか、
ある意味のまとまりをこなすのに何分かけるのか、
何分かけるとどの程度の事が書けるのか、
劇的文脈の研究になる。
その前後のターニングポイントもチェックできる。
映画会社のつけたチャプターと比較し、
どちらがよいか考えるのも勉強になる。
僕は10分から15分ぐらいを1チャプターで考えるといいと思うが、
それより細かいチャプター分けをしているものもある。
チャプター50とかも見たことある。
いずれにせよ、
劇的文脈とは、ターニングポイントとターニングポイントの間にあるものだ。
チャプターをターニングポイントで終了し、次のシーンからはじめる、
という原則で、
映画をチャプター分けする分解法は、とても勉強になる。
そして、それぞれにサブタイをつけるのだ。
何故そこで切るのか、そもそもいくつに切るのか、
何故そのサブタイなのか。
一意の解答があるものでもなく、
それはその物語をどのレベルで解釈するか、
という問題になるだろう。
それらを試行錯誤することは、
映画の血肉を研究することである。
劇的文脈、すなわちターニングポイントとターニングポイントに挟まれた、
ある焦点を問題にする一連に、
サブタイをつけよう。
全体と部分の関係について、
理解を深めることができる。
理解を深めたら、自作に応用することが出来る。
2015年01月19日
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