サブプロットを上手く使えない人は、
ワンシチュエーションもので練習するとよい。
ひとつの場面で、最低3人、出来れば5人程度がいるものを。
例えば喫茶店やレストランや立食パーティーでの会話劇、
閉じ込められたエレベーターや潜水艦、
家族会議や会社の会議や国会の会議、
などなどである。
CUBEやポセイドンアドベンチャーのような、
特殊なところに閉じ込められた人々の話しも参考になる。
ひとつの呉越同舟的な集団を考える。
素性はバラバラである。
ここにどうやって来たか、バックストーリーもバラバラである。
性格もバラバラである。
職業や年齢もバラバラである。
そして、目的もバラバラである。
当然、コンフリクト(もめ事、喧嘩、バトル)を起こす。
それがひとつの意見になるまでがひとつの話だ。
それぞれが妥協したり、全く別の意見に飛びつくこともあるだろう。
それらをワンシチュエーションで書くことが出来れば、
おそらくどんなパターンのサブプロットも書けるようになる。
一場面の中で、
発言者と対立者がある。
まずそれぞれのコンフリクトを描く。
このとき、三番目以降の人が何を考えているかを、
シミュレート出来るかどうかが、
この技術の肝だ。
この三番目の人が議論に加わるとき、
何を発言し、議論の内容は二者でしていたときと、
どのように変化していくかを、
きちんと描き分けること。
このとき、さらにこれを見ている第四者、第五者についても、
同じくだ。
3、4、5番が議論を始めて、
1、2番が黙る、ということもある。
そのとき1、2番は何を考えているかを考えなければ、
次発言するとき、不自然になる。
(そして例えば1、3、5番が次に議論することもある)
多分心理学者に言わせれば、
これは多重人格への過程によくにていると言うかも知れない。
それと違うのは、
我々は、多重人格の発言を適当に見守るのではなく、
「面白おかしい話に制御すること」が目的だ。
それには、必ず「話題」が必要で、
落ちのための「結論」が必要だ。
古典「11人の怒れる男」がその教科書になる。
話題は、ギルティorナットギルティの二者択一、
結論は誰もが思っていた前提、ギルティを覆しての、ナットギルティだ。
その大逆転劇を描いたお話である。
(それがモチーフになる。
テーマは、予断せずに慎重に議論せよ、その議論に責任を持て、
或いは慎重な理性的議論だけが感情の間違いを指摘できるという、
民主主義への讃歌だ)
古典「ポセイドンアドベンチャー」では、
話題は脱出経路であり、
結論はシャフトからの脱出である。
この単純な脱出劇に対して、どのような対立項があるかを書き出すことは、
複数の登場人物をいかに対立させるかという教科書になる。
(それがモチーフであり、テーマは信仰だ。受動的でなく、
行動せよ、という積極的信仰である)
とりあえずテーマはおいといたとしても、
話題と結論という頭とケツを固定し、
その間の、複数の人格のもめ事を描いてみよう。
それが面白おかしいように書いてみよう。
どんな奴がいるのか、どんな異なる事情を持っているのか、
それらが違うほどそれはやりやすいはず。
なんか問題があるのでそれについて話し合う、
主婦同士の井戸端会議、会社員(デスクのお姉さんと正社員)、
学級会、などは現実でも見ることができる。
まずそれをあるある的に描写する訓練をしたり、
突飛な話題を与えてどうなるかを書いてみよう。
大抵結論に至ることはないだろう。
落ちが一発でつくのなら、あなたは達人である。
達人でない人は、
話題と結論をその人々に投げかけ、
誰と誰がどのようなことで対立するか、 それがどのように収束するか、
そしてヤマはどんなことか、
などを計算した上で、面白おかしく書いていくものだ。
必要に応じて、三幕構成や大まかなプロットや、
人間関係図などを書くことも大いにあるだろう。
性格や事情や目的の一覧表も書く筈だ。
それを最初は三人で、慣れてきたら5人で、
やるとよい。
5人には根拠があって、
それは僕は指の数と関係していると考えている。
一度に人が把握できる数は、身体に生じる数に依存する気がしている。
(1、2、4、5、10、20とその組み合わせという仮説。
だから6進法、12進法、60進法は、直感と反する、
文化的進法であるという仮説。これを検証するのは、
生まれつき指が6本の人が6進法で数えるなどの事例を探すとよいと思うが、
ここではこれ以上踏み込まない)
つまりこの仮説に従えば、
5本の指それぞれが一つの人格に相当し、
それぞれの指を思い通りに動かせるか、
ということと関係していると考えている。
複数の人格を、バラバラに動かせるか。
まずはワンシチュエーションで。
これはワンシーンを魅力的に書く能力とも関係する。
これを複数のシーンへ発展させれば、
これはサブプロットそのままである。
(これにはコツがあって、偶数にしないこと。
奇数だと多数決で傾きやすく、話が進みやすく、
逆転を描くことも容易だ。「11人の怒れる男」の上手いところは、
要所要所で多数決を取るところである)
2015年01月24日
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