2015年01月29日

リライトのコツ:大ターニングポイントは、正しいか

リライトをするとき、
全体を三幕に区切る、
第一ターニングポイントと第二ターニングポイントを抽出し、
三幕それぞれのページ数を出し、
それを元に構成を直す方法を紹介した。

実はこれには穴がある。
第一ターニングポイント、第二ターニングポイントを、
間違えることがあるのだ。



以前のリライトの実践編でも、
妖怪横文字のケースで、
第二ターニングポイントを見誤ったことがあった。
自分で書いている話なのにも関わらず、だ。

これを見誤ると、そもそも三幕のページ数が変わってしまい、
リライトの方針がまるで違うという悲劇が起こってしまう。

つい昨日も、そのようなことがあった。


何故第一第二ターニングポイントという、
大構造を誤るのだろう。

それはリライト中の最大かつ中心問題、
「このストーリーは何か」が、
完全に確定していないからである。


ストーリーが何か確定しない限り、
何が序盤で何がクライマックスなのか、
本当には確定しないのだ。
だから間違うこともあるのだ。

思っていた所より、
前かあとに、本物の大ターニングポイントが隠れていることもある。
それは、引いた目でなければ見つけることが出来ない。


序盤の終わりと、中盤のはじまりは、
なかなか見つけにくい。
明確にここ、というのがない限り、ひとつ前のシーンなのか、後のシーンなのか、
曖昧になることがある。
見付け方は、センタークエスチョンである。
「この問題を、果たして解決出来るのか? 続く!」
という場面を探そう。

「この問題」が小さな問題ではなく、
ストーリー全体の問題である場面を探そう。
(例えば妖怪横文字の全体の問題は、
妖怪退治であり、先生から依頼が来たことではない)
全貌が見えるのは後半のこともあるから、
全体の問題の一部に、踏み込んだ瞬間でよい。

もしそこがだらっとしているなら、
そこをドラマチックに書き直すリライトを考えるとよいだろう。
様々な名作を見て、第一第二ターニングポイントだけを収集して研究する、
というやり方だってあるはずだ。


同様に、第二ターニングポイントは、
この話のクライマックスは何かを考えるとよい。
そのクライマックス直前に、
「いよいよ最後の対決だ」という場面があるとすると、
それが第二ターニングポイントだ。
あるいは、「これさえクリアすればこの問題に片がつく」でもよい。
いずれにせよ、センタークエスチョンが再び意識に登る瞬間である。


(ちなみに今書いている25話妖怪別人格では、
第二ターニングポイントがだらだらしていたため、
別のより劇的なターニングポイントを、
第二ターニングポイントと勘違いしてしまった。
そのため、三幕構成の尺の計算を間違え、
削るべき所、足すべき所の見積もりを誤った。
途中で変だなあと思い、
あらためてセンタークエスチョンから逆算して、
だらだらしているパートが、
本来第二ターニングポイントとして劇的になるべきだ、
と気づいたのである)


さて、ということは、
センタークエスチョンが何かが、
作品のなかで一本の筋が通っていなければならないことになる。

勿論、センタークエスチョンはずっと同じ形ではない。
謎が次々明かになるタイプなどでは、
時々のセンタークエスチョンは形を変えうる。
(実写風魔では、夜叉八将軍殲滅から、飛鳥武蔵を倒すに変わる)
それら形を変えるセンタークエスチョンを、
抽象的に一言で言うと何か、
が本当のセンタークエスチョンだ。
(実写風魔では、白凰学院の再興。夜叉や誠士館の壊滅ではない)
各ターニングポイントで意識されるセンタークエスチョンは、
本当のセンタークエスチョンの、部分問題であることがあるのだ。

つまり、
本当のストーリーは何かを見るには、
本当のセンタークエスチョンは何かを、
確定しなければならないのだ。
これはとても簡単な言葉で言えることが多いので、
え、ぶっちゃけてそんな簡単なこと?と、
拍子抜けしてしまうことがある。
それでよい。
そんな簡単なことに帰着させることが、
ストーリーを一言で言うということである。

それを言えたとき、
第一ターニングポイントと、第二ターニングポイントの役割が、
はじめて確定し、
一幕、二幕、三幕の三幕構造が確定するのである。


多くのリライト過程では、
実はこの三幕構造の真の確定がままならないことが多い。
最初に想像していた三幕構成と、
今出来上がっている三幕構成が異なることもある。
どちらがよいか、あるいは第三の結論がよいかは、
結局、このストーリーとは何か、
が決めることなのである。

別人格の話を例に具体的な話をしてみたいが、
発表後余裕があったら、
またこの話題に戻ってきます。


第一ターニングポイントは、本当の第一ターニングポイント?
第二ターニングポイントは、本当の第二ターニングポイント?
ひょっとしたら、間違ってるかもよ?

別のものを第一第二ターニングポイントにしたら、
三幕構成がスッキリするかも知れない。
その三幕構成なら、こういうストーリーになる、
という形が。
だとしたら、その形に、理想的に近づけていくべきである。
posted by おおおかとしひこ at 02:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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