2015年01月30日

星占いのススメ2:性格分析の基礎

登場人物の性格分析をするときに役に立つ、
簡単な基礎を書いておこう。


人は、派手なことを好む性格と、
地味なこと(堅実なこと)を好む性格がある。

人は、俺中心主義と、
相手に合わせて尊重する主義がある。

この2×2の4が、基本だ。
それを、火地風水と名前をつける。

火は、派手で自分主義。
地は、堅実で自分主義。
風は、派手で相手主義。
水は、堅実で相手主義。

たったこれだけだ。
この4つが基底にあるのが星占いの性格分析である。
ホロスコープ(運命)とはまた別に、人の本性は4つのタイプがあるという仮説だ。
必ずしもそうだという断言ではなく、
そういう傾向がある、というレベルで考えると良い。
生まれた日で性格が決まるかどうかの真偽はおいておくとして、
人間の性格の書き分けをするうえで、この分析は参考になる。

だが、この4つの性格をきちんと描き分けることすら、
普通は難しいと思う。

得意な人物像はあるし、一度も書いたことない人物像もあるだろう。
この4つを全て自在に書きこなせれば、かなりの達人だと思う。


具体的に。

ある職業がどんな性格の人が向くかを考えることは、
その職業や性格の分析にとてもよい。
医者は何がむくか、教師は何がむくか、警察官は、政治家は。
サラリーマンは、芸術家は、店を開店する人は。
会社の部署の様々な役職は。

また、典型的なその職業の性格だけでなく、
そうじゃない人がその職業についたとき、
どういう感じになるかを想像するのも訓練になる。

例えばスターは典型的な火の人の仕事だ。
しかし地の人がスターになれば、確実に仕事をこなすタイプだし、
風と水の人がスターになるとしたら、監督や共演者に恵まれたときだ。
風の人はつかみどころがない派手な自由さで、
水の人はその中に芯を持つ魅力で、人気を得るだろう。

個人の性格を4通り把握してみたら、次は複数の人間関係だ。


たとえばアンサンブルを組んでみよう。

あるチームが役割をもって機能するとき、
どんな配剤がよいかを、あなたが采配するのである。

機能しないときも描ける。
ベストの配剤でなく、ぎくしゃくする様を描けばよい。
適材適所でないときでも、人は柔軟に対応するものだから、
普通のチームでない独特のチームにするには、
ベタな配剤でない人物配置が機能しているだろう。

わざと適材適所でない役割をやらせ
(例えばリーダー、参謀、後方支援、教育係、単独行動、
斥候、主戦力、かくし球などなど)、
そのぎくしゃくがひとつのチームになっていく様は、
上手く書ければそれで一本の映画になるだろう。

野球チーム、会社の部署(刑事ものは典型)、戦争の部隊、共同生活、
などでそのような短編を書いてみるのは、
個人や、人間関係を描く勉強になるだろう。

そのときに、得意な人物像だけでなく、
苦手な人物像を描くことに挑戦するのも良いことだ。


あるいは、「宝くじを買う」のはどのタイプか、
などと考えることもできる。
派手好きだろうか。堅実は当たりもしないものは買わないだろうか。

派手好きは、買うだろう。
しかし宝くじに当たることが派手でないと思えば買わない。
堅実派は一見買わないだろうが、
堅実だからこそ自分の限界を知り、
限界以上を叶える夢を買うかも知れない。
自分主義は自分の為に買うし、
他人主義は、仲の良い人が買うなら一緒に買いに行くだろう。
部署の人たちのをまとめて買う人はコミュニケーションの上手な風タイプだ。

つまり、買う理由が違うし、目的も違ったりするのである。

このような人間観察をしてみるとよい。
自分の性格やよく知る人ならば予測は出来るが、
苦手なタイプやよく知らないタイプはどうだろう、
と考えることは、
人間描写についてのなにかをあなたにもたらすだろう。
ひいては、人間とは何かということや、
バリエーションの差についても、
あるいは組み合わせであり得ることも、
想像しながら考えたり、
采配したり出来るようになるはずだ。



さて、この4つの基本性格をさらに3つに分けると、
お馴染みの12星座になる。
火は、牡羊座、獅子座、射手座であり、
地は、牡牛座、乙女座、山羊座であり、
風は、双子座、天秤座、水瓶座であり、
水は、蟹座、蠍座、魚座だ。

(ちなみに聖闘士星矢のキャラクターは、まったく星座的性格が割り振られていないので、
参考にしないほうが良い)

自分の星座や親しい人の星座は多少詳しくても、
12全部を把握してる人はあまりいないだろう。
ざっくりでよいので、4で把握するとよいだろう。

乙女座と獅子座の恋愛、乙女座と山羊座の恋愛、
など、詳しい人にはその違いが分かるかも知れないが、
地と火の恋愛、地と地の恋愛、
(地味vs派手と、地味同士の恋愛)と考えると、
大雑把にとらえられる。

好みが違って喧嘩するけど仲直りする前者と、
派手なブレがないぶん一端決裂したら戻らない後者では、
ストーリーの起伏、あるいはテーマすら変わってくる。

さらに水と地の恋愛なら、
どちらも地味だが、自分主義と相手に合わせる人の話が中心になり、
振り回すこととアイデンティティーなどが中心になるだろう。

一対一の関係ですら、10のバリエーションがあり、
男女を入れ換えれば20のバリエーションになる。
男対男、女対女でさらに増える。
三人目、四人目を入れれば実質無限だ。
12星座でなく、この基本4で考えるだけで、
大雑把な傾向分析が可能になる。

敵方と味方の組み合わせ、第三勢力との組み合わせなど、
考え方は応用できる。

中心人物はさらに細かく分けていくとよい。
12星座の慣れ親しんだものを当てはめても良い。

自分の得意な(書ける)人間関係と、
書いたことのない、
経験したことのない人間関係が想像できるに違いない。

身近に親しくない星座の人がいれば、
その人の体験談は予測もしない話が出てきて、必ず面白いものである。



たとえば、
監督には自分主義と他人主義の人がいる。
自分の思うことを書く人と、
他人の要求する話を書く人、ということだ。
僕は前者であるべきだと思うが、
色々な人の都合を実現する、後者が現在は仕事を発注されやすい。
それが傑作を生んでいるならまだしも、そうではない。
作家は自分主義であるべきだと思う。

僕は派手/地味でいえば地味な地の乙女座なので、
派手な活躍はないぶん、確実に面白いものをつくる。
だから、派手で僕に合わせてくれるプロデューサーと相性がよい。
あるいは、派手で自分主義を持っていて、
ケンカしながらもコンビでやっていくタイプかだ。
地味な人だと、地味な仕事になってしまうだろう。
地味で僕に合わせるタイプが一番相性が悪い、などと考えられる。

現実の人生ですら、このような見方が出来るものである。

それをうつした架空世界が、そのように出来ていなければ、
リアリティーなど欠片もなくなるのである。



ちなみに、星占いの性格分析は、四柱推命とあまり変わらない気がする。
洋の東西を問わず、似たようなものが発生したのかも知れないし、
どちらかの考え方が古代に輸入されたかも知れない。
さらにちなみにこれを組み合わせたのが、
だいぶ前に流行った動物占いであることは、知っておくと役に立つ。
西洋の基礎には体質を四つに分けた四体液説があるが(星占いが先?)、
いまいちのようである。

星占いに血液型を絡めたり、
出身地を絡めたり(県民ショー的に)、
兄弟姉妹による性格の差(日本ではこの要素が大きいといわれる)、
善や悪や生い立ちによる歪み、
などを組み合わせれば、ほとんど無限に性格だけならつくっていける。

問題は、それらを「絡める面白さ」が書けるかどうかだ。

その基礎として、4つの基礎を自在に操れることは、
できるにこしたことがないだろう。

ある短編のプロットがあったとして、
4つの性格の異なる主人公が、
まったく別のやり方で正解にたどりつく、などの書き分けをやってみると面白いかもしれない。
さらにコンビだとしたら、組み合わせは10パターンになる。
(甲乙の入れ替えを含めば4×4の16通り書けるだろう)
考え方、感じ方、好み、嫌いなこと、認めること、許せないこと、
連想すること、しないこと、そして発する台詞、行動、反応。
たとえ同じ動機だとしても、
それらの書き分けが出来れば、人間観察的には一人前だろう。



たわむれに、風魔のメインキャラで。
火:派手/自分主義: 小次郎、壬生、項羽、陽炎
地:地味/自分主義: 竜魔、姫子、絵里奈、小龍
風:派手/他人主義: 劉鵬、蘭子
水:地味/他人主義: 霧風、麗羅、武蔵
あたりといったところか。

あの物語は姫子視点でもあるから、そういう意味では、
地である僕が反映しているキャラクターである。
(また、僕は地なので、火や風は書けるが水を書くのは得意ではない。
ちなみに原作の車田正美先生は火の射手座なので、
小次郎、武蔵は火の性格のようである)

霧風は、外面は派手な個人主義者だが、実際の行動は地味な他人主義者だ。
その二面性が実写版霧風の魅力でもあるのだが。
劉鵬は役割上は地味だが、実際には表に立ち回っているので派手に分類した。
武蔵は自分を優先しない。だからリーダーに向かなかったのだ。

ツーショットのとき、スリーショットのとき、集団のとき、
人は色々な人間関係の中でうごく。
(監督や脚本家によって微妙な解釈のゆれがあるため、一致しないときもある。
それもまた人間の揺れの中に吸収できるレベルではある)

コンビはたいてい違う性格を合わせていて、
似た者同士をコンビにしていないことに注意。
そのほうが小競り合いだとしてもコンフリクトを起こし、
対照的になり、ドラマをつくりやすいからだ。


これは見かけや表面上の性格での話ではない。本性の話である。

あなたの物語がパターン化したり、キャラクターが弱いのなら、
このような基礎練習をやってみてはどうだろう。
posted by おおおかとしひこ at 14:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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