脚本は、トップダウンでしかつくれない、
ボトムアップでは、決してつくれない、と極論してみよう。
ボトムアップとは、ディテールを先に思いついて、
それらを集積して最終的にひとつの作品にしあげることだ。
キャラ、衣装デザイン、世界観、
アイテム、場面、トリック、
特撮やウリ、
などを先に思いつき、
それらを一本通す面白いストーリーを、逆算でつくる方法である。
ぼくは、これは不可能だと言う。
少々面白いディテールや、一瞬のハッタリを思いつくことは可能だが、
深いテーマをもち、人生を変えるほどのものはつくれない。
代表的なボトムアップでつくられたものは、
うんこ版実写ガッチャマン、桃太郎CMである。
逆に、トップダウンは、テーマからつくる。
この作品が世の中に存在する意味から定義し、
それをオモシロおかしく表現出来るモチーフをつくり、
テーマとモチーフの関係についてつくりだす。
それは静的モチーフやおもしろいコンセプトで表現出来る。
それを表現する為の主人公を創作し、それが旅するプロットを考える。
プロットをつくるうえで、サブテーマになりそうなものをサブプロットとして配し、
コンフリクトによってテーマが統合されてゆく様をプロットで練る。
面白く、引きつけられ、テーマにすとんと落ちるストーリーをだ。
次にようやく人物造型である。
性格や過去などから、主人公とアンサンブルをなしたとき面白いように、
大抵は対照的につくりあげる。
次に伏線やその解消、おはなしの見せ方そのものを考える。
ビジュアル的なアイデアや、展開の妙などについても工夫する。
台詞や実際の執筆はこのあと、ようやく最終段階である。
第一稿があがったら、これらトップダウンがきちんと反映されているかチェックし、
リライトでより精度をあげ、面白く練ってゆく。
一番トップの、作品の意義がぶれたら、
トップダウンは最初からやりなおしだ。
多少修正して残る所もあるだろうが、
ほとんどはバッサリ行って最初から構築した方がよい。
残照を残すのは、未練でしかない。
ちなみに、
その役を最も興味深く演じる役者をキャスティングをし、
衣装デザインや世界観デザインをつくる。
そして撮影後に編集してCGをつくり、音楽だ。
ディテールは、脚本時には確定していない。
映画はそうやってつくる。映像もそうやってつくる。
それが最も無駄のない合理的なやり方である。
馬鹿はボトムアップでつくる。
それは設計図から仕上がりが見えないからだ。
ウリはなんですか、誰が出るんですか、どういう客が見るんですか、
絵のトーンの参考資料。
それを決めてから、それを満たすストーリーをつくる。
だから実写ガッチャマンはうんこであり、桃太郎CMは糞である。
心を動かすストーリーではないし、
心を動かすテーマではないし、
我々の人生に良い影響を与える、人類が新しく世界で共有されるべきものでもない。
最近、馬鹿が増えた。
ディテールしか聞いてこない。
それがなんのためにあるのか、決めない。
どのようにしてそれをなすのか、決めない。
その根本がないから、つまらないのである。
身の回りで起こっていることに腹が立って書いた。
さて、では、どのようにしてこうしていけばいいか。
最初から、世の中に出す素晴らしいテーマを出すのだろうか。
それは哲学になってしまう。
やはり、面白い話を思いつくところからである。
面白い話を思いつき、
テーマを抽出し、それがどうして面白いのかを把握し、
テーマとモチーフについて考えた上で、
ようやくトップダウン式につくってゆくとよい。
あなたが最初に面白いと思いついたことが、
どのような面白さであるかによって、
トップダウンがうまくすすむかどうかは変わってくる。
ベテランほど、トップダウンがうまく行きやすい形で、
面白い話をおもいつく。
名作を見た上で、シミュレートしてみよう。
あなたはこれをどうやったらつくれるかを。
どこから思いつき、どうやって最後までトップダウンしていったか、
シミュレートしてみるのだ。
そのことによって、どのような階層でどのような苦労をすればよいか、
イメージ出来るようになるだろう。
10本やってみよう。
それは、普段から苦労していないと、読み取ることは不可能だ。
ということで、そろそろ100本プロットは出来たかな。
完走率は0ではないかと予測はしている。
2月から本気を出そう。
2015年01月30日
この記事へのトラックバック
フ​リ​ー​で​す
と​り​い​そ​ぎ
文​面​非​公​開[表示]​に​て
事務所に所属してないフリーの人がオーディション受けさせてください、と言うことでしょうか。
基本的には役が発生しないとオーディションは致しません。そして今のところなさそうです。
単純に売り込みだとしたら、仕事集やプロフィールなどをどこかにアップするなり(連絡先はオープンにはしません)、しかるべきルートからどうぞ。ほしい才能ならむしろこちらから行きます。
まあ、へんてこな業者のメールかも知れないので真面目に答えるのもあれですけど。