2015年01月30日

トップダウンとボトムアップ

脚本は、トップダウンでしかつくれない、
ボトムアップでは、決してつくれない、と極論してみよう。


ボトムアップとは、ディテールを先に思いついて、
それらを集積して最終的にひとつの作品にしあげることだ。
キャラ、衣装デザイン、世界観、
アイテム、場面、トリック、
特撮やウリ、
などを先に思いつき、
それらを一本通す面白いストーリーを、逆算でつくる方法である。

ぼくは、これは不可能だと言う。

少々面白いディテールや、一瞬のハッタリを思いつくことは可能だが、
深いテーマをもち、人生を変えるほどのものはつくれない。
代表的なボトムアップでつくられたものは、
うんこ版実写ガッチャマン、桃太郎CMである。



逆に、トップダウンは、テーマからつくる。

この作品が世の中に存在する意味から定義し、
それをオモシロおかしく表現出来るモチーフをつくり、
テーマとモチーフの関係についてつくりだす。

それは静的モチーフやおもしろいコンセプトで表現出来る。

それを表現する為の主人公を創作し、それが旅するプロットを考える。

プロットをつくるうえで、サブテーマになりそうなものをサブプロットとして配し、
コンフリクトによってテーマが統合されてゆく様をプロットで練る。
面白く、引きつけられ、テーマにすとんと落ちるストーリーをだ。

次にようやく人物造型である。
性格や過去などから、主人公とアンサンブルをなしたとき面白いように、
大抵は対照的につくりあげる。

次に伏線やその解消、おはなしの見せ方そのものを考える。
ビジュアル的なアイデアや、展開の妙などについても工夫する。

台詞や実際の執筆はこのあと、ようやく最終段階である。

第一稿があがったら、これらトップダウンがきちんと反映されているかチェックし、
リライトでより精度をあげ、面白く練ってゆく。

一番トップの、作品の意義がぶれたら、
トップダウンは最初からやりなおしだ。

多少修正して残る所もあるだろうが、
ほとんどはバッサリ行って最初から構築した方がよい。
残照を残すのは、未練でしかない。

ちなみに、
その役を最も興味深く演じる役者をキャスティングをし、
衣装デザインや世界観デザインをつくる。
そして撮影後に編集してCGをつくり、音楽だ。
ディテールは、脚本時には確定していない。

映画はそうやってつくる。映像もそうやってつくる。
それが最も無駄のない合理的なやり方である。


馬鹿はボトムアップでつくる。
それは設計図から仕上がりが見えないからだ。
ウリはなんですか、誰が出るんですか、どういう客が見るんですか、
絵のトーンの参考資料。
それを決めてから、それを満たすストーリーをつくる。

だから実写ガッチャマンはうんこであり、桃太郎CMは糞である。

心を動かすストーリーではないし、
心を動かすテーマではないし、
我々の人生に良い影響を与える、人類が新しく世界で共有されるべきものでもない。



最近、馬鹿が増えた。
ディテールしか聞いてこない。

それがなんのためにあるのか、決めない。

どのようにしてそれをなすのか、決めない。

その根本がないから、つまらないのである。




身の回りで起こっていることに腹が立って書いた。





さて、では、どのようにしてこうしていけばいいか。

最初から、世の中に出す素晴らしいテーマを出すのだろうか。
それは哲学になってしまう。

やはり、面白い話を思いつくところからである。

面白い話を思いつき、
テーマを抽出し、それがどうして面白いのかを把握し、
テーマとモチーフについて考えた上で、
ようやくトップダウン式につくってゆくとよい。

あなたが最初に面白いと思いついたことが、
どのような面白さであるかによって、
トップダウンがうまくすすむかどうかは変わってくる。

ベテランほど、トップダウンがうまく行きやすい形で、
面白い話をおもいつく。



名作を見た上で、シミュレートしてみよう。

あなたはこれをどうやったらつくれるかを。
どこから思いつき、どうやって最後までトップダウンしていったか、
シミュレートしてみるのだ。

そのことによって、どのような階層でどのような苦労をすればよいか、
イメージ出来るようになるだろう。

10本やってみよう。
それは、普段から苦労していないと、読み取ることは不可能だ。


ということで、そろそろ100本プロットは出来たかな。
完走率は0ではないかと予測はしている。
2月から本気を出そう。
posted by おおおかとしひこ at 16:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オ​ー​デ​ィ​シ​ョ​ン​か​何​か​受​け​ら​れ​ま​せ​ん​か​?
フ​リ​ー​で​す

と​り​い​そ​ぎ

文​面​非​公​開[表示]​に​て
Posted by 13denk at 2015年01月30日 18:48
文字化けしているのですが、
事務所に所属してないフリーの人がオーディション受けさせてください、と言うことでしょうか。
基本的には役が発生しないとオーディションは致しません。そして今のところなさそうです。

単純に売り込みだとしたら、仕事集やプロフィールなどをどこかにアップするなり(連絡先はオープンにはしません)、しかるべきルートからどうぞ。ほしい才能ならむしろこちらから行きます。

まあ、へんてこな業者のメールかも知れないので真面目に答えるのもあれですけど。
Posted by 大岡俊彦 at 2015年01月30日 19:48
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック