2015年02月04日

紆余曲折3:実はアレがアレだった

どんでん返しというと、
これまで広げてきた大風呂敷が最後に一気にひっくり返ること、
のようなイメージだが、
小さなどんでん返しは紆余曲折の小技に有効だ。


恋するときの人のギャップはそうだ。
最初に思っていたことと、違うことが分かる、
そうかそういう人なのか、
というのはひとつの紆余曲折である。

最初の前ふりで誤解させ、
しまった実はそういうことだったのか、
というのは駆け引きがメインのシナリオにはよくある。

最初の伏線が、
そういう意味だったのか、という小さなどんでん返しもある。

アレがアレだったのか、
という瞬間は、要するにターニングポイントになるのである。


車田的な、「お前はまさかあの伝説の…」「そうよ!」もそうだ。

実は肉親関係、というのも多い。
実はお前たちは血を分けた兄弟だ、
オレはお前の父だ、
実はお前は貴族の落とし種(貴種流離譚)、
腹違いの兄がいて、それはどこかで生きている、などなど。

実は二人は付き合ってた、実は分かれてた、
実は女だった、実はゲイだった、
死んだと思ったが実は生きていた、
生きていると思ったら実は死んでた、
などなど、人間関係や人の内部など、
「見た目で分からないこと」にこれを使うのがやりやすいだろう。

小説では一人称をボクと書いといて、
実は主人公は女だった、とかの荒業もあるだろう。
実は片腕だった、実は盲目だった、なんてのも出来ると思う。
語り手が殺人犯だった、というのは叙述トリックというジャンルである。
これは見た目で芝居をする映像には出来ないジャンルだが。

実は盲目なのだが剣の達人、なんてのは座頭市をはじめとして、
漫画にはよくある展開だ。


実はアレがアレだった、というのは、
困ったときの展開に使えるパターンだ。
どんでん返しやミスリードについては以前書いたと思うので、
過去記事を参照されたい。


紆余曲折はつくれる。

「それから、色々なことがあって」の部分は、
いくらでも膨らませることもできる。
それは、頭とケツが固定されていてはじめて考えられるのだ。

ストレートに行かない面白さを思いつけば、
展開部は勝ったようなものだ。

注意すべきは、ただの面白がりの展開ではなく、
それと本筋との関係を常に明らかにしておくことだ。
そうすれば、「いまどのへん」が分かって、
安心して寄り道を楽しめるからである。



逆に、紆余曲折によって、ストーリーの本質が変わってくることもある。
長期連載ではよくあることかも知れない。
映画は(それに比べたら)短編であるから、
そのときはひとつの本筋でまとめ、
紆余曲折が本筋に対してどのような配置になっているかを考えるとよい。
posted by おおおかとしひこ at 15:07| Comment(1) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
前回「トトロ」についての質問をさせていただいた者です。
ブログ拝見しています。監督のお話は色々と勉強になることが多いです。
私事ですが、小説の新人賞に応募したところ、受賞はできませんでしたが、編集部様より「構成は良い」という批評を頂きました(他はよくない、今一つ、ということでもありますが)こちらのブログを参考に三幕構成とミッドポイントの位置や流れを徹底的に直して推敲したのが良かったのではないかと思います。監督のブログがなければ起承転結や山場と言うのがどういうものかもわからなかったと思います。ありがとうございました。

また、脚本に関して質問なのですが(答えられない場合はスルーでお願いします)、「恋愛もの・ラブストーリー」ってどう書いたらいいのでしょう。
ブレイク・スナイダーの脚本術の本も読んでいるのですが、恋愛ものに関しては「既存のラブストーリーはすべて相棒愛(バディもの)の応用」とあります。「不完全な主人公のところに魅力的な相棒/恋人がやってきて、紆余曲折や障害の果てにくっつく」という黄金パターンで間違いなし、と言う感じです。
大概は「魅力的で破天荒な相棒に感化され、主人公が内的変化を遂げる」スタイルが良い、ということなんですが、それを書いてみたところどうも「魅力的な相棒」がまるでハーレクインの王子様のように「とにかく主人公を愛して導いて肯定してくれる都合のいい存在」になってしまい、「で、この完璧で魅力的な相棒は何で主人公に惚れたんだろう?」という状態になってしまいます。喧嘩ップルにしてみても、何だかテンプレートの喧嘩ップルをただなぞっているような感じです。
平凡な主人公の優しさ、などをエピソードで挟みこんでみても何だかわざとらしく、まるで古い少女漫画のようです。

素敵な相手にひたすら愛される楽しいロマコメも好きなんですが(それはそれできちんとエンターテインメントになっていれば女性のニーズを満たす作品になるとは思います)どうも「登場人物二人の心がきちんと描かれるラブストーリー(二人とも変化を遂げるラブストーリー)」はどうやれば書けるのかわからなくなってきました。
タイタニック・ゴーストのように「命をかけて真実の愛を貫く」形式にすると、確かに素敵な話に仕上がりますが、オチが恋人二人揃ってのハッピーエンドではなくなってしまいます。

もしよろしければご指南ください。
いつもブログ楽しく拝見しています。ありがとうございました。
Posted by FF at 2015年02月04日 22:37
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