2015年02月27日

テーマとはなにか4:テーマはテーゼの形をしている

書く前に仮のテーマを決めてはじめるとカオスに陥りにくい。
そして最後まで書いたとき、それを越える、
あなたの無意識の中から本当のテーマが現れる。

書く前にテーマを決めろ、という格言は、
半分は本当だし、半分は嘘だ。
書いてみないと本当の所はわからない、という書き手の実感も、
半分は本当だし、半分は嘘だ。
何か勘のようなもので、あなたはこれを書きたいと思っている。

最後まで書いたときの本当のテーマを、以下テーマに統一しよう。


問題の解決後に結果的にあらわれた、
間接的に表現されるテーマは、どのような形をしているのだろう。

テーマはテーゼの形をしている、と言ってみよう。


テーゼとは命題のことである。
pはqである、みたいな形をしている。
ひとつの命題ではない。
複数あったりするし、領域が重なることもある。


例えば傑作ドラマ「風魔の小次郎」が間接的に示すテーマには、
以下のようなものがあるだろう。

・己を殺す忍びではなく、人の心の懐に飛び込んで、
鮮やかに人を変えていく(人の心に暖かい風を吹かせる)、
「新しい形の忍び」の可能性は、すばらしい
・新しい形の忍びは、仲間たちの絆や、
成長を見守り、時に叱咤する、
家族的集団でのびのびと育つことで得られる
・対照的に、利己的利益集団は、いずれ食いあって瓦解する
(夜叉のサブテーマ)
・忍びとしてのアイデンティティーと、人間のアイデンティティーの融合を果たすことは、
気持ちいい
・武器やプライドに溺れるな(壬生のサブテーマ)
・金で雇われただけで目的を失った男には情をかけてよい(武蔵と小次郎のサブテーマ)
・一般の人の青春は素晴らしい、それを守ることが忍びの素晴らしさだ
(柔道部や将棋部やパティシエ部のサブテーマ)
・集団の目的だけでなく、自分が好きだから姫子を守る、
しかしそれは己を危うくする(蘭子のサブテーマ)
・理想は遠い、しかし理解者がいれば心強い(姫子のサブテーマ)

などだ。
重なりあったり、
サブテーマはテーマを強化していることが分かるだろう。

これは書く前から書こうと思っていたことか?
否である。
書いているうちに、
当初の計画を越えて、
自動的に秩序立っていったのだ。

エントロピーの法則によれば、
宇宙はカオスに陥る。
ところが、本当にストーリーが生まれるときは、
エントロピーの逆で、勝手に秩序が生まれるのである。
(生命の誕生がエントロピーの法則の逆であり、
これが解明されていないことに似ている)

パズルが嵌まっていくように、自然にテーマ群が、
秩序立っていくのだ。
それが、物凄く上手く行く物語の特徴だと思う。

(これを見ても、やっぱ武蔵が壬生に負けてるし。
まあ武蔵は聖剣戦争に取っとかなきゃいけないしなあ)


最初から明確ではなかったのだが、
何となくは決まっていて、
書いてるうちにハッキリとしてきて、
それがラストに向けて、秩序立ち、高ぶり、
全てが最初から計画されていたかのように、書ける。
そこにカタルシスがある。
それが物語のテーマというものだ。


結果的に、これは主張になる。
命題の形をした集合だからだ。

しかし作者の主張ではない。メッセージでもない。
自分の中から無意識に生まれたものである。
何かの衝動に導かれて書いたものである。
その意味では、生命の誕生に似ている気がする。
(執筆途中にオナニーやセックスの衝動が物凄くあるのは、
偶然ではない気がする。美人女プロデューサーにムラムラしたりね)

結果的に、物語の受け手に取っては、
暗示されるテーマが、
作者からの無言のメッセージのように見えるだけである。
作者的には、この素晴らしい秩序を、
共有してほしいだけなんだけどね。


テーマは、従って、一応テーゼの形で書くことが出来る。
だがそれは、存在するようでいて存在しない。

「作品は皆さんのものです。
皆さんの解釈で色々と読み取ってください」
という作者からの言葉は、その事を示している。
だから作者がテーマを語るのは無粋なのだ。
(ここでは、脚本論を語るために、
あえて風魔のテーマを語っています)

馬鹿なマスコミのインタビュアーは、
すぐこの作品のテーマは?なんて作者に聞いてくる。
しかしこれらのことを語っても意味不明だろうし、
皆さんで考えてくださいじゃ馬鹿みたいだし、
我々はとても困るのだ。
なので、なんだか尤もらしくよそよそしい言葉で誤魔化すのだ。
完全ネタバレになるのも勿体ないし。

「学園忍者アクション」というキャッチコピーは、
(ジャンルを示しているだけで、僕の理想とするコピーからは外れるが)
その時に共通の言語になりやすく、
使えるコピーだと思う。
絆とか、新しい風を吹かせるとか、
分かりやすく短い形で語るしかなく、
それが世の中の人にとっての、
テーマとはなにかを、益々煙にまいてしまうのではないか。



未見の人にとってのテーマは、
多分仮のテーマでいいのではないかと思う。(難易度やさしめ)
或いは、本当のテーマに触れて、
しかもネタバレでないなにか。(難易度たかめ)

次回では、
テーマとキャッチコピーの関係について書く。
ようやく「いけちゃんとぼく」の失敗について、
総括が出来そうだ。
posted by おおおかとしひこ at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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