テーマは自分で見つけるものだ。
それは突き放しすぎか。
実は、テーマはあなたの中のどこかにあるのだ。
テーマは主張ではない。
だから、あなたは世の中に対して、
疑問を投げ掛けたり、
批判したり、
こうするべきだ、
なんてわざわざ言わなくてよい。
それは直接論文や主張の形で書いたり言ったりするとよい。
物語を書くということは、
そうでないテーマを見つけないとダメなのだ。
実は、これが一番難しいのだ。
書くべきテーマを見つけることが、
物語を書くすべての工程で一番難しいのだ。
(初心者向けの入門書に、
まずテーマを設定し、なんて安易に書くもんじゃないと思う)
と、言っても掴み所がないだろう。
そういうときは、
自分のベストムービーを選ぶとよい。
ベスト20ぐらいまでの映画について、
テーマを自分なりに書き下していくとよい。
テーマは名詞の形で書かないこと。
必ず命題や文の形で書くこと。
「友情」ではなく「友情は素晴らしい」
「裏切り」ではなく「裏切りは許せない」
などのように。
一つだけでなく、複数の集合体として書いてみよう。
一つしかない映画はまずない。
いくつかのテーマで出来ている筈だ。
サブテーマ(メインプロット以外が持つテーマ)も書き出そう。
そうすればあなたなりの、テーマのイメージが出来る。
同じテーマで考えてみてもよいし、
変形させてもよい。
物語を考えることをせず、
ただテーマを考えて書き出してもよい。
注意すべきは、たった一文だけでなく、
しかもあなたの主張になってはダメだという所だ。
ひとつコツを。
以前にも書いたが、
「確実に真実と証明されているわけではないが、
真実らしいこと」をテーマとするとよい。
たとえば、
「男女間に友情は成立しない(逆に、成立する)」
「金より友情」
「俺が通う店は何故か潰れる」
などだ。
たとえば「探偵ナイトスクープ」への依頼内容もテーマになりうるかも知れない。
それは、100%の真実ではないが、
どうやら本当らしいこと、ぐらいでよいのだ。
(てんぐ探偵第二話は、「妬みは金のように天下の回りものだ」
というのがテーマだった)
それが大ネタだったら映画になるし、
小ネタだったらショートフィルムになるし、
中ネタだったらドラマの一回ぐらいになる。
それだけのことだ。
そんなことでいいのなら、
とあなたはひとつふたつ、みっつよっつ、
リストアップ出来るだろう。
それが、あなたの中にテーマがある、
という意味なのだ。
自分ならこういうことなら書けるかな、
あるいは、自分の慣れ親しんだテーマが、
あなたが書くべきテーマの候補なのだ。
それはあなたがどういう人生を生きてきたとか、
こういう経験をしたとか、
今の世の中をこのように考えている、とかと、
どこか近い筈だ。
主張ではないが、
あなたが多分ほんとうのことだと思っていること。
他人がほんとうだと思ってなくても、
他人が同意することでもよい。
あなたがほんとうだと思うことが大事だ。
テーマは、すぐに分からなくなる。
自分のことなのに分からなくなる。
そういうときは常にベストムービーを思い出して、
ほんとうだと思うことを思い出して、
すぐメモを取ろう。
とりあえず仮のテーマの形式になり、
それで具体的な話が書けそうなら、
あなたの主張とは関係なく、
あなたはテーマを見つけたと言っても過言ではない。
僕は大袈裟に言うと、
死んだあとにも永遠に残る傑作をつくりたい。
すぐ消える泡沫ではなく、人類共通の宝物をつくりたい。
大ヒットし、最も面白かった話の一本に数えられたい。
そういうものがどういう形をしているかは、
過去のそのようなものを研究することで出てくると思う。
そしていつかそれにどこかで出会ったとき、
見逃すことなく、テーマの形として認識しなければならない。
「てんぐ探偵」は、十分その候補になるのではないか、
と僕は個人的に考えている。
あなたにしか書けないものとか、
あなた自身の経験から、とか、
自分探しみたいなことを考えないこと。
それについて、本当っぽそうなことだ、
と思うことをテーマに据えよう。
それを最後まで書き終えたとき、
どうせそれはあなたの無意識の奥底から出た、
本当のテーマに化けるから。
2015年02月28日
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