2015年02月28日

テーマとはなにか8:テーマがない話はあり得るか

物語とは、外形的には、
問題とその解決でしかない。

そこにテーマなどなくてもいいのではないか。
面白いエンターテイメントでよいのではないか。


理論的にはあり得る。
しかしそれは、何だか面白くないのである。


例えば学校のクラスを想像しよう。
そこにいる、あんまり目立たない、役に立ってないやつがいるとする。
あなたは思う筈だ。
「君は、なんのためにこの学校に来てるの?」と。

テーマのない話は、これに似ている。
なんの特徴もない、
面白おかしくも、
何か強烈な押し出しもないものは、
「それと付き合う意味がない」のである。

凄いキャラが立っていたり、
一緒にいると楽しかったり、新しく色々考えさせられたり、
自分に影響を与えてくれるやつのほうが、
単純にいいのだ。

それだけのことだ。


物語は、受動的メディアとはいえ、
最後まで見るにはそれなりの忍耐力や集中力や時間消費が必要だ。
その物語にたどり着くまでにも手間がかかる。
(ネットなどの手軽さに比べて)

そこまでして最後まで付き合ったとき、
「意味がない」のは、詰まらないということだ。
それだけのコストやリスクや努力に見あった、
「付き合った意味」が必要なのだ。

それがテーマだ。


物語に付き合う労力を減らす努力は、するべきである。
最初の退屈な設定をなるべくタイトにしたり、
ツカミで掴んですぐに入れるようにしたり、
予告宣伝などで世界に入りやすいようにしたりなどだ。
理想は0がいい。

しかし、それが0になったからといって、
物語は本質的には良くはならない。

それを最後まで付き合ったときの、
付き合った意味が大きな方が、
物語として価値があるからである。


付き合う意味は、
名詞形とテーゼ形の、ふたつの形があると思う。


人気アイドルのパンチラが見れる、
凄いアクションやダンスが見れる、
見たこともない世界やCGが見れる、
すごい泣ける場面が見れる、
などは、全て名詞形である。
これらを、僕は点とかガワの面白さと呼んでいる。

クラスの奴に例えれば、
イケメンとか、手品が出来るなどの芸を持ってるとか、
面白い体験談を話してくれるとかだ。


付き合う意味のテーゼ形は、
「こいつといたことで、
こいつの考えてることや行動が、
自分と混ざりあうこと、その内容」
を指している。

凄く良かった物語の、ガワを真似したくなる現象は、
ガワが良かったから真似するという表面的な場合と、
中身に影響を受けて、ガワを真似することで中身を同じくしたいことの、
どちらかだ。
ブルース・リーの黄色いトラックスーツを着る人たちは、
ファッション的な外見を真似したい訳ではなく、
ブルース・リーの思想を真似したいのだ。
そのとき、物語の中身と、自分を一致させているのである。



良かったテーマは、必ずあなたに影響を与える。
逆に、ガワでない、
中身に与える影響を、物語のテーマとして定義してもいい。

それは、考え方とか思想のようなものに近いと思う。
それらは、ひとつまたは複数の、テーゼの形をしている。



テーマのない話はあり得る。
エンタメ映画と自称したり、
かつてヤオイと自虐した、山/落ち/意味のない、
パロディもののジャンルだ。
(ちなみに良くできたパロディには、
批評というテーマがあったりする)

僕は、
それを詰まらないと思うし、
付き合う意味がないと切って捨てるだけのことだ。



あなたの書く物語は、
僕にどんな影響を与えるのか?

主張ごときで僕は影響を受けない。
合理的主張なら成程と言うし、間違っていたらアホかと捨てるが、
影響を受けることはない。
だから主張はテーマではない。

あなたの書く物語は、
最終的にどんなテーゼを暗示することになり、
それが意味あること、価値あることと僕が思い、
僕が感化され、そのような思想や哲学で生きることをさせるだろうか?
ブルース・リーの生き方のように。

それがあなたの物語のテーマである。


それが大ネタなら、映画やもっと長いものだ。
それが小ネタなら、ショートフィルムだ。
それが中ネタなら、ドラマや何かの一エピソードだろう。

僕が短い5分シナリオを沢山書くことを薦めるのは、
小ネタのテーマを具体的物語に書き下す経験を詰むことで、
いつかやってくる大ネタや中ネタの思いつきに、
いつでも対応出来るようになるためだ。
(勿論星新一みたいな、ショートショートの名手になってもいい)
posted by おおおかとしひこ at 16:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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