2015年03月03日

妖怪は、出落ちである

妖怪ものの範疇に入るかどうか、
自分でも微妙なものを書いていてなんだけど。

妖怪って出落ちじゃね?


で、出たー!
がピークなのが妖怪なのではないか?
それって出落ちそのものでは?


鬼太郎や妖怪ものの多くは、
それを避けるために、
「恨みを解消する」という本来無念の霊を成仏させる幽霊ものの物語や、
「無知な輩が、宅地開発や祠を壊すなど妖怪たちの生活を脅かしたため、
逆襲される」という無知が襲われる物語を、
メインの雛形に持っていると思う。
これなら起承転結を持つストーリーを作れるからだ。

これはどういうことかと言うと、
妖怪に「目的がある」ことを意味する。
「その為に(人間の基準からは逸脱した)犯罪を犯し、
処罰される悪人扱いされる」
というパターンが殆どだ。
刑事物と同じジャンルのストーリーの雛形なのである。

例えば、親を生活保護の手続きのミスで失った、
貧困層の男がその担当を殺した事件を裁く話と、
宅地開発ですむ場所を失われた妖怪が、
人間を襲い鬼太郎的な人に裁かれる話は、
目的と雛形が殆ど同じである。


妖怪は、その性質(思想や行動)がユニークである。
それが売りである。
しかし、妖怪は物語に必要な、特別な目的を持たない。
だから、その性質と違う目的を創作してあげなければならない。

妖怪枕返しは、寝ている人の枕を返すユニークな妖怪だが、
枕を返すことは、彼の目的ではない。
性格や癖のようなものだ。
彼の目的は母親探しかも知れないのだ。
それと枕を返すことは関係ないから、
大抵の妖怪ものでは、
「枕の下に母親がいるから、
その母親を探すために枕を返すのだ」
などのように、目的と性質を関連させたことを考えつかなければならない。

そうでないと、枕返しは、
枕を返したら出番が終わりの、出落ちになってしまう。


妖怪ものを書くことの困難は、
妖怪の面白げな性質に惑わされて、
物語に必要な「目的」を設定できないことにある。

「妖怪ウォッチ」の物語のつまらなさは、
妖怪に「性質や気性や特徴」はあるが、
「目的」がないことにある。

ゲームとしてはそれでよい。
性質や気性や特徴や能力値や属性が異なるキャラを集めて、
それらを戦わせたりすることは、ゲームの雛形として正しい。


だが物語はコンフリクトだ。
目的の違いによるぶつかり合いが、お話だ。
目的なき出落ちは、物語にならないのである。




一方、小説版「てんぐ探偵」では、
新型妖怪に目的がある。養分を吸って殺すことだ。
その為に、妖怪を外す必要が生まれるようにしている。
そして、宿主の負の感情と、シンイチの「ふつうの心」が、
コンフリクトを起こすように仕込んでいる。

妖怪ものでも、明確に殺すことを目的とする妖怪は、
倒しがいのある、コンフリクトのある話になりやすい。
しかし妖怪枕返しなどは、目的がないために、
コンフリクトをつくれないのだ。
そして妖怪は、殆どが明確に殺意を持っていない。
自然と同じで、自分に迷惑なものを排除するときしか、殺意を持たない。
(だから宅地開発などはひとつのテンプレになる)


さて、妖怪は出落ちである。
その性質は、目的ではない。
しかし、その性質が目的だったら?
つまり、妖怪枕返しは、何かのために枕を返すのではなく、
枕を返すことが生涯の目的だったとしたら?
と思って書いたのが、第30話とあいなった。

なんか第六集のハードルを自分であげてる気もするけど、
発表までお待ちください。
posted by おおおかとしひこ at 16:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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