人物造形のコツ。
あなたの登場人物は、何かに劣等感、
コンプレックスを持っているだろうか。
劣等感は、必ずしも客観的に劣ることに対して、
持っている訳ではない。
たとえば不細工が容姿にコンプレックスをもっていたり、
運動音痴がスポーツを嫌がるのは、
正しい自己認識でありコンプレックスではない。
それを劣等感と考えるのは浅い人物造形だ。
劣等感がどうやって生まれたのか。
そこにまずドラマがある。
恐らく中学ぐらいまでのどこかの体験が元になる。
一度や二度でなく、
何度かトライしたり、周囲からはげまされたり、
無理にやろうとしたかも知れない。
しかしそのことで、益々自分は劣ることに直面した筈だ。
トラウマは一発でトラウマになるが、
劣等感は、もっと長いスパンでの挑戦と挫折の蓄積がある。
劣等感は、本当はそうでもないのに、
自分だけが劣っていると思っていることだ。
だから何かのきっかけで、
劣っていると思うことは解消したりする。
そこにドラマが生まれる余地があるのである。
不細工がメガネをやめてコンタクトにしたらキレイ、
というテンプレ話は、それを利用したものだ。
もはや漫画すぎるので、実写で使われないネタではあるが。
容姿に劣等感を抱いてるなら、
ダイエットや化粧や服などのイメチェンや、
容姿でない恋愛(または自己肯定)の経験で、
容姿ではない価値に目覚め、結果的に容姿が輝く、
なんて話をつくることも出来る。
運動に劣等感を抱いてるなら、
皆に見られない場所でのスポーツに、楽しさを見いだし、
それが結果誰かに認められる話を考えることも出来る。
これらは、常に、その人の内面の話とは別の、
外的問題解決の過程でやると、面白くなる。
メガネの話に戻れば、
アクションものならテロに巻き込まれ爆風でメガネが飛べばいいし、
探偵ものなら犯人に殴られメガネが飛べばいいのだ。
外的問題解決の過程で、内的問題解決のきっかけになるから、
その人は個人的な、内的動機を得るのである。
つまり、目的や動機は、ひとつでなく複数ある。
鎖に繋がれた象は、何故鎖をつけた杭ごと引き抜いて逃げないのか?
それは、小さな時から鎖を繋がれていて、
何度やっても杭は抜けなかったので、
諦めてしまったからだ、
という小話がある。
象は、今自分に、杭を抜き鎖を引きちぎる力があるのに、
それを知らないだけなのだ。
これが劣等感をドラマにする方法だ。
あとは、象がいつそれを知り、
象がどうやって杭を抜こうとし、
実際にいつどうやって杭を抜くか、
創作すればいいのである。
象や杭や引きちぎる力は、もちろんたとえだ。
リアリティーのある文脈にどう置き換えるかだ。
劣等感のない人は、いないと思う。
だから万人に響く。
「ほんとうの自分」などがキーワードになってくるからだ。
(変身ものは、変身のギミックでそれをやることだ)
新興宗教などは、巧みにこれを利用してると思う。
脚本を書く人は、人より大きな劣等感があると思う。
人生において機能不全感が強いと思う。
だからこそ、劣等感そのものに詳しくなるべきだ。
劣等感を、利用してやれ。
2015年03月06日
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