構成とはなにか。
何の次に何を持ってくるかを決めて、
それを一本の線にすることだ。
だから、アウトプットとしては、一本の線でしかない。
つまり構成とは、
あらゆる色々を、どう順番に並べたか、だ。
具体的資料を使って、議論する。
今僕は、小説「てんぐ探偵」の最初のほうのリライト構想に入っている。
(これを優先するか、七集を優先するかでちょっと迷っているが、
それはとりあえず置いておこう)
主に考えることは、エピソードの入れ替えである。
これは、前半部全体の構成を考えていることである。
このとき、「並べ替える要素が過不足ないこと」が、
構成を考える上での必要条件であることに気をつけたい。
多くの構想段階では、
これが全部揃っていないこと(つまり駒が足りないこと)、
これが多すぎること(複雑でややこしくて無駄があること)、
の二点に陥りやすい。
つまり、構成を練る前に、
構成に必要な駒が必要十分でないことになる。
「必要十分」を見極めることはきわめて難しく、
そこに理論的なものがあるかどうかも分からない。
僕はカンで決めている。
詳しくはブレイクシュナイダーの「save the cat!の法則」の、
ボードの項を見てもらうとして、
必要十分な駒が出そろったと仮定して、
構成を練るということは、以下のようなことだ。
例1: 構成の例1.pdf
(相変わらず汚い字でスイマセン)
これは、第一集から第三集までの15話ぶんの順番を入れ替えるために、
僕が考えるためにつくったボードである。
道具立てはたいしてことなくて、
付箋をテーブルに貼ってははがし、入れ替えを試すのである。
テーブルに貼ったままだと迷惑なので、
A3の紙に一次保存してスキャナでA4に縮小したものだ。
どこにでもある、オフィス用具しか使っていないことに注意されたい。
実は、このボードに書いてある「要素」が重要で、
僕は以下のことを考えるために、
付箋にこれらの情報を書いている。
タイトル:その集で最も出来のいいエピソードが、集のタイトルになるべきだ。
第一集は第一話のタイトルがそのまま集のタイトルになるだろう。
原則的には5話めが最も出来が良く、それが集のタイトルになりたい。
第一話と、第15話の第一ターニングポイントは固定で考える。
心の闇:分かりやすい心の闇からはじまって、心の闇とはこういうこと、
という基本的理解に達し、それから徐々に応用的な心の闇へすすむべきである。
宿主:取り憑かれるのは誰か。○で囲んだのは身内。
シンイチの身近にいる人からはじめ、世界を拡大していくべきだ。
主な重要エピソード:妖怪退治以外に、特筆すべきもの。
これも、身近な世界から応用的な世界へ拡大して行くべきである。
また、大天狗が各集に一回は、登場していたい。
宿主の性別や年齢:かぶりや繰り返しがないように。
ハッピーエンドかビターエンドか:バランスや流れを考える。
この流れが基本的には基調になる流れになる筈。
老人の死「さみしい」と犬の死「アンドゥ」をハッピーエンドの中にどう混ぜるか。
ネムカケの失恋「ゴリ押し」と現実の厳しさを知る「上から目線」をどう配置するか。
その集内でのバランス:一本目の話で重すぎないような入り方で。
各集を読むときは、前の集から時間が空いていることを想像して、
基本的な設定が分かる話からはじめるべき。などなど。
あることがあることを前提としている:
大天狗のねじる力で過去へ→大天狗再びねじる力で架空のファイト
→シンイチのねじる力で過去の空き地へ
ミヨの引きこもりの理由のひとつに、ピアノの少女のことがあること
ミヨの引きこもり→兄の引きこもり
ネムカケの失恋→ミヨの話、などなどが、順番が入れ替わってしまうと前提が崩れる。
これらの絡み合った要素を、デジタルでは整理しきれないと思って、
アナログ的(一覧性、一望性の強み)な整理をしたほうがよいと思って、
カードで並び替えを試したのである。
ちなみに、ナンバリングだけでいうと、
旧:1 2 3 4 5 / 6 7 8 9 10 / 11 12 13 14 15話の話を、
新:1 2 4 6 3 / 5 9 12 13 8 / 14 7 11 10 15になるように並び替えてある。
最初と最後以外、原型を留めていない並び替えである。
(もし暇なら並び替えを試してみて、どのような流れに変わるかを実感するといいだろう)
書いているときは、
各エピソードのこれらの要素の構成的順番までは完璧に考えられていない。
なんとなくこうかな、という思いはあるけど、
最初から計画され、読みやすいように整理されていた訳ではない。
書きながら分かったこともあるし。
なので、書き終えたあとにこのように整理し直すのだ。
これが構成を練ることだ。
その為には、各要素がどのようなものがあるのか、
それらの要素をどう並び替えるのがよいのか、その基準はなにか、
について、
いくつかの知見(方針)がないとだめだ。
今回の場合は、
「シンイチの身近な所から、見知らぬ人の事件に、徐々に移行して行く」
「心の闇が、基本的なものから応用的なものへ」
「各集のなかでのエピソードの強弱やハッピー/ビターの流れをつくる」
ことが、主な構成方針である。
それを実現するベストの「順番決め」が、構成である。
さらにこれらに要素が加味されると思い、書き込みを増やす。
例2: 構成の例2.pdf
こんどは、天狗の力がどうやって使われたかの順番もだ。
ねじる力を先に見せておいて、かくれみのを出し、葉団扇はキメのほうにする、
などである。
(「天狗と言えば葉団扇またはかくれみの」の常識と照らし合わせるためだ)
身内から外の人への関わり方のバランスも、書き込んでいる。
これらの条件を満たすように考えるということは、
つまり、「読んでて面白い順番」にすることである。
それが構成を決めるということに他ならない。
(今の所のベストがこれだけど、変わるかもしれない。
また、六集までの全話を、並び替える可能性も0ではない)
構成の要素が足りないとか、多いとか、言ってる場合ではないのだ。
必要十分な要素の並び替えでも、
これだけのパズルの正解を引かなければならないのだ。
勿論、基準が変われば並び替えの基準も変わる。
ちなみにこれまでの方針は、
インパクト重視のため、ビターものを早めに出し、シンイチの周囲のことはあとでもいい、
と考えていた。
ところが、「天狗の力の象徴=炎/反対の力=闇」という、
イコン的な図式が書いている途中で分かりやすく出来たため、
より王道的な順番にしたほうが良いと考えたのである。
すべては、
どの順番で読んだら、どういう面白さがあって、
どういう面白さがベストであるべきか、
という「方針」である。
つまり、それが流れだ。
感情がどのように流れるかは、構成、すなわち、
何のあとに何があって、という「順番」が決めるのである。
構成とは、したがって、
どういう感情の方針で、どういう順番で並べるかを決めることだ。
2015年03月11日
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