2015年03月17日

テンポ

テンポがいいとか悪いとか、
どうやって決まるのだろうか。

ラップで喋ればテンポがよくなるのか。
音楽に乗せればテンポがよくなるのか。
違う。
それで持つのは3分ぐらいまでで、
2時間のテンポをコントロールすることではない。

テンポは、話の展開のスピードのことだ。



お話には、情報の提供の順番がある。

これとこれを説明してから、これがあって、などだ。

この情報の提供がよく整理されて、
観客の思考のスピードと丁度合っているとき、
テンポがいいという。

テンポが速いのは、
情報の提供がよく整理されていて、
省略が上手く効いている状態だ。
或いは、不足していて、観客をおいてけぼりにしているかも知れない。

ジェットコースタームービーとは、
テンポが速く、こちらが考えるまもなく事態が進展することである。
急転直下、などとも言うしね。
予測を越えるスリルがあり、
理想ではあるが、内容がすかすかになったり、
情報の提供が不十分なため、
その後の展開に必要なものを伏線として置ききれず、
あとあと困ることも多い。
(息切れ)

観客は考える。
情報を提供されたら、
あれはああだろうとか、これはこうに違いないとか、
あれの向こうは今は見えていないがこうだろうとか。
それを丁度いいテンポでやるのが理想だ。
それを麻痺させるほど素早く展開するのが、
怒濤の展開や速いテンポやジェットコースターだ。


逆に、遅いテンポは?
観客が退屈しているということだ。
情報を提供されて、こうなるだろうなと予測してるのに、
なかなかそうならなくて、退屈するのである。

退屈だけとは限らない。
意図的に遅くすることもある。
ホラーではなかなか出てこないモンスターの恐怖はあるし、
恋愛ではなかなかチャンスが来なくてやきもきすることはある。
インテンポから突然スローダウンして、
注意を引き付けて、ドキドキさせてから、
急にテンポを上げるのは基本だ。



テンポ感を鍛えるには、
自分の原稿を朗読するのがよい。
それでリズムが分かる。
ペースが速いとか遅いとかは、
リアルタイム時間の感覚だからだ。

今一体何が起こっているのか、
ちゃんと把握してるかどうかが、テンポを決める。


テンポは何で決まるのだろう。
単位時間当たりの事態の進展度合いか。
否である。
そんな客観的基準なら、戦争ものが一番テンポが速いことになる。
主人公の気持ちの揺れのスピードである。

それが速ければテンポが速くて、
それが遅ければテンポが遅い。

数値化は出来ないが、
主人公が100の感情を行き来する2時間と、
3の感情しか行き来しない2時間では、
テンポの速い遅いは明確に出るだろう。


物語は、感情移入が起こっている。
感情のテンポなのである。
posted by おおおかとしひこ at 11:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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