本田さんの質問にお答えして。
絵は浮かぶけど名前がマイナーなものはどう書くのがよいか?
たとえばラインカー、四阿。
(校庭に白線を引く車つきの赤いやつ、
大きい公園にあるような、屋根つきの休憩所。あずまや)
原則は、「普通知らない名前は、書かない」です。
「太郎、ラインカーを倉庫から持ってくる」と書くべきではなく、
「太郎、白線を引く道具を体育倉庫から持ってくる」と書いたほうがいいです。
「太郎、ラインカー持ってきて!」
「なんすかそれ」
「白線引く車みたいなやつ!」 と、一度説明が入れば、
以下ラインカーでもいいでしょう。
台詞ではなくト書きに頻繁に使うなら、
「太郎、白線を引く道具(以下ラインカー表記)を持ってくる」
などのように書いてもいいでしょう。
普通の常識で知らないものは説明をする、が原則。
「あずまや」は翻訳調にはたまに出てくるけど、
「屋根のある休憩所」とか、文脈に応じて書き分けたほうが分かりやすいと思います。
テレビの台本は中学生の知性に合わせるらしいです。
そこまで極端でなくてもいいですが。
先日、「赤ちゃんのベビーベッドの天井でくるくる回ってるやつ」
の名前をグーグル先生で調べたところ「メリー」だと分かりました。へえ。
メリーゴーランドのミニ版てことかな。
(しかも最近使わないんだって。天井に穴開けてネジで固定するので、
持ち家じゃないと使えないかららしい)
調べかたは、
複数の名詞をスペースで区切って画像検索
→当たりのページに飛べば名前があったりします。
「赤ちゃん 上 回る」とか。
正式名称が分かっても、
「上でくるくる回ってるやつ(メリー)」のように書いたほうがよいと思います。
最近の例2。
オシャレ空間によく置いてある、胸像だけのマネキンみたいなやつ。
ハンガーにかけずに、服の立体感で見るようのやつ。
トルソーと言うらしいです。
服のCMの時に使ったのですが、クライアントは服屋さんだし、
スタイリストも知ってる基本用語でした。
でも一般人は知らないよね、という感覚は、だいじです。
スタイリスト業界のドラマなら、
入ったばかりの主人公が先輩にトルソー取って、と言われまごつく場面があるでしょう。
このようにして、
「知らない人と知ってる人の間のもめ事」に利用しつつ、
トルソーという言葉を覚えてもらうようにすることも可能です。
(しばらくしたら忘れるけどね)
2015年03月18日
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解説ありがとうございます!とても参考になりました、むつかしい言葉を多用しても自己満足で終わってしまいますよね。多くの人が目を通す脚本ではとくに
脚本内で、覚えさせる技術もあるんですね。大変参考になりました。
先日、カリオストロの城の絵コンテ集を買ったのですが、絵コンテの内容部は擬音や分かりやすい言葉で指示しているなと感じました(でもやはり、車やメカとなると専門的な言葉が多いです笑 多分、カリオストロスタッフはばっちり理解しているものだと思われますが)
もちろん、脚本と絵コンテは別のものですが、物語の設計図としてやはり分かりやすい言葉で説明するものであると改めて理解できました。
ばっちり疑問が解けました!ありがとうございます。