2015年03月18日

マイナーな名詞の扱い2

ひとつ思い出したので追加。

「あだ名をつける」という有効性について。


質問から外れるかも知れないけど、
物語である程度重要なものについては、
あだ名をつけることがある。

ラインカーが重要なシナリオの場合、
いつまでたってもラインカーでは馴染まないので、
たとえば「白線引き」とか、
いっそ「白線流し」とあだ名をつけてしまうのだ。

物語中で皆がそう呼んでいれば、
誰もが校庭に白線を引くアレを指す名詞であることは分かる。
親切にするなら初登場のときに少し説明を加えるとよい。


ガンダムにおけるホワイトベースを「木馬」と呼ぶことや、
赤い特別強いザクを「赤い彗星」と呼ぶこと。
(ホワイトベースやシャアの搭乗機という正式名称が分からない、
敵方のコードネームだが、
この命名のほうが直感的に分かりやすくなる)

最近だと「パシフィックリム」で、
二人のパイロットの精神を繋げることを、
「ドリフト」と呼ぶ、直感的なあだ名があった。


あだ名は、直感的な名前だ。
名が体を表すようにつける。
ラインカーや四阿なんて直感に反する名前より、
もっと皮膚感覚で呼べるようにするべきである。

宅配便より宅急便のほうが直感的(馴染みがある)だが、
実は宅急便はクロネコヤマトの登録商標だった。
無断には使えないのだ。
(原作「魔女の宅急便」はそれを知らないまま、直感的に書かれた)
映画公開時に、クロネコヤマトと組んでキャンペーンをすることで、
お互い商売に結びつけようぜ、と話を持っていき、
宅急便の名前を維持した鈴木Pは、えらい。



もちろん、あだ名には他の目的もある。
「独眼竜」なんてのはカッコつけの下駄を履くのも含むし、
達也を「たっちゃん」と呼んだりするのは、愛情表現(子供っぽい甘えも)も含む。

上で議論したのはこのことではない。
「分かりにくい概念に触れたとき、
人は分かる範囲で適格な名前をつけて理解しようとする」
ということを指している。

先の話だが、てんぐ探偵40話に転校生が来る。
彼の名は結城礼一。幽霊が見えるオカルト的な能力がある。
そこでクラスの人気者になり、
「ユーレイ」という名前もじりのあだ名で呼ばれる。
勿論逆算で、ユーレイのあだ名になるように結城礼一とつけている。
この複雑な名前より、ユーレイのほうが理解しやすい。

あだ名とは、そのように機能する。


白線流しが、一番いいあだ名かどうかはとりあえずおいておく。
いいネーミングを見つけられたら、それはとてもいい仕事をしたことになる。
posted by おおおかとしひこ at 14:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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