残念ながら2話は見れていないが、
1話だけは転がっていたのでもう一度見てみた。
これさ、
元々女クリエイターが作っていた別の話を、
オッサンが形になるように再構成したことによって起こった悲劇じゃね?
前半女クリエイター、
需要の辞書ビジュアル以降が、
オッサンクリエイターの臭いがするぞ?
恐らくこんなところではないか。
「ルミネが変わる」という話をひとつつくって。
↓
オッサン:「ルミネが変わる。私が変わる」というレトリックで、
若い女性が共感するような話をひとつ。
キミ、最近変わらなきゃ、と思った話はある?
↓
若い女「東京五輪開催が政治的で、あの構造を変革したいと思いました」
オッサン「それじゃ服屋と関係ないだろ。お洒落服なんだからさ、
若い女性が共感する、恋愛とか、女としての自信とかだよ」←ここ思い込み
若い女2「最近腹立つ先輩に、お前と派遣の○子ちゃんは需要が違うし、と言われました」
オッサン「それだよそれ!リアルな言葉いただき!その線で書いて!」
↓
若い女「こういうことですかね」
私は需要がないのだろうか。
私は何のために働くのか。徹夜して、肌もボロボロで。
腹立つ先輩「まあ○子ちゃんとは需要が違うし」
腹立つ。こんなエセ意識高い系にそんなこと言われて。
私は需要のために生きるのではない。
私は私の為に生きたい。
その為に、変わるのだ。
私は変わる。ルミネも変わる。
私が変わる、リニューアル。
オッサン「分かりにくいなあ。変わらなくちゃ、て言うのが」
若い女「この腹立つ男見て思ったリアルな変わりたい気持ちです」
オッサン「キミの独り言じゃないか。ドラマがないよ。
もっとさ、『最近女をさぼってた』とか、分かりやすくしなきゃ」
若い女「それじゃそっち側の論理に嵌まるじゃないですか。
そこからの脱却がテーマなのに」
オッサン「こまけえことはいいんだよ。
変わらなくちゃ、女として、の線でいこう!」←ここ思い込み
↓
前半若い女が書いた部分
後半オッサンが書いた部分
「最近女をさぼってた!変わらなくちゃ!」
変わりたい?ルミネも変わるよ!
↓
若い女「これじゃ、この先輩に屈したことになりますよ」
オッサン「変わったことで別の男に出会うんだ、
最終的には勝ちじゃないか!」←女の勝ち負けは恋愛と思ってるから
オッサン「あとは俺の知ってる監督に任せるよ!」
↓
監督「これおかしくないすか?」
若い女「そうなんですよ」
監督「最初のバージョンも撮りましょう、二種類繋いで見せれば、
オッサンも納得するでしょ」
↓
オッサン「今さら変更できないでしょ!ルミネさんに通ったコンテだよ?」
監督「まあまあ、二種類見せてみましょうよ。どちらが若い女性が共感するか」
クライアントのオッサン「分かりやすいほうで」
クライアントのオバサン「この女が幸せになるのが腹立つ、
それよりルミネが目立つ方向で」
我々CMの現場によくあるパターンだ。
こうやって最初の志が曲げられていく。
どこが悪かったのか?
「ルミネが変わる。私が変わる。」だ。
このレトリックがおかしい。
ルミネがどう変わるかが、分からないからおかしい。
ルミネがよりハイファッションになるから、
ハイファッションに私が変わる話。
ルミネがより広い人々用にカジュアルになるから、
よりカジュアルに私が変わる話。
そんな風に、変わる内容と、変わる私がシンクロして、
初めてストーリーは意味を持てる。
変わる先の私のイメージがないから、
一般的な(はいここセクハラ)
お洒落してモテる出来る女、というファイナルイメージに、
なってしまうのである。
何故このCMがセクハラだの不快だの言われるのか?
ひとつの型に嵌めようとしているからだ。
実際には、変わった先のファイナルイメージは描かれていないから、
ファイナルイメージをどうとでも取れる逃げの作りにしてある。
しかし、ファイナルイメージは前提の逆である、
という物語そのものが持つ構造から、
たとえ描いていなくても、
「需要のある女に変わること」になってしまうのだ。
これが言外に読み取れるから、
みんな怒っているのだ。
問題を分かりやすくするため、
想像力をフルに使ってみた。
本当の事は、分からない。
ひとつ言えることは、
物語を作るとき、共同でやるならば、
同じレベルの者たちでやるべきだ。
レベル格差があると、
低い方のレベルに合ってしまう。
そして、製作委員会方式や、複数の人で物語を改訂すると、
低いレベルの物語になってしまう。
日本映画の質の低下、ドラマの質の低下、ストーリー型CMの質の低下は、
これが癌だと僕は思う。
共同制作するなら同レベル同士で、
あるいは、一人で仕上げるしかない。
(僕は同レベルの人を見つけられていないため、
今は一人で書いている。いずれ完結したら売り込みにいくさ)
2015年03月21日
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