2015年04月01日

多角的視点

さらに前からの続き。

物語は論文じゃない。
物語のテーマは論文のテーマではない。
だけど、参考になる話。
論文の書き方。


まず、結論を書きます。

紙の真ん中にたて線を引きます。
左のエリアの一番上に、結論を書きます。

線を挟んで右に、反論を書きます。
それへの反論を、左の下に書きます。
線を挟んで右に、それへの反論を書きます。

つまり、紙の上でディベートをするのです。

左が勝てばその論文は書けるでしょう。
右が勝つなら、その結論は間違いです。

もし書けるなら、
まず結論を書きます。
それを導く論を展開します。
そしてそれに反論します。
反論に反論し、以下繰り返し、どのような場合でも、
結論は揺るがないことを示しておしまい。




さて、これは物語の構造と似ている。

ファーストシーンがテーマを暗示することは推奨されている。
主人公は物語全体で、
あるテーマにたどり着いたり、
あるテーマを証明したり、
あるテーマを学んだりする。
それはあくまで結果的にだが、
問題とその解決の一連というストーリーが、
何の意味があったかを暗示する。

主人公には大抵敵がいて、それをアンチテーゼという。
主人公が最後にたどり着くテーゼの、
逆の立場の人のことだ。

論文における議論を、そのままディベートする訳ではないが、
基本的には、テーゼ対アンチテーゼとは、
上のやり方の左対右のことと同じなのだ。

反論の反論や、各論などが、
サブプロットのサブテーマになることに、
気づく人もいるはずだ。

敵は一人とは限らない。
右の反論を別々の人にされるかも知れない。
主人公は、それへの反論を、サブプロットの中ですることになるだろう。


物語のテーマは、
論文のように、ひとつに絞れるとは限らない。
僕は複数だと考えている。

だから論文のやり方のように、綺麗に行くとも限らない。

もし多角的な視点が苦手な人は、
そういうアプローチを試す手もあると思う。

でもストーリーでそれをやるんだよ。
主張合戦はストーリーじゃないよ。

主張合戦でストーリーにするなら、
「十二人の怒れる男」「情婦」
(いずれも白黒映画の傑作)並に面白くないと駄目だよ。
posted by おおおかとしひこ at 14:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック