2015年04月02日

問題、実行、変化3

そもそもこの三幕の名称に至ったのは、
今仕事で外人のレポートに沢山触れているからである。
優れたレポートは、優れた三幕構造を持っている。

しかし、論文とストーリーの違いがある。
三人称形だ。


論文の主語は私(我々)だ。
問題に対し、
私がどんなアイデアで、何を実行し、
世界をどう変化させたかである。
problem, idea and excution, resultである。
世界は変化するが、主語は変化しない。
一貫している。


物語は違う。
三人称形で、私とは別の人、主人公がいる。

彼は世界の問題に出会い、
アイデアを実行し、
世界を変化させる。

それだけではない。

彼は自分の問題に向き合い、
アイデアを実行し、
自分も変わる。(結果的に、が多い)

外的問題、内的問題と専門用語で呼ぶが、
物語には、実は二つの問題がある。
その組み合わせ、絡み合いこそが物語なのだ。


世界戦に勝つこと(または最終ラウンドまで立つこと)
だけでなく、
自分が何者かになること、
という二つの問題が扱われるのが、ロッキーという物語である。


「私は世界を変えた」が論文であり、
「あの人は世界を変えた。あの人自身も変わった」が、物語だ。
「あの人」がいつの間にか「私」になっていることを、
感情移入とよぶ。

物語とは、
主人公が世界を変える過程で、
自分自身が変わる経験をするのを見ることで、
見ている人の内面が変わることを経験する、
娯楽なのである。


それぞれ、
外的問題の解決、
内的問題の解決、
感情移入によるカタルシス、
と呼ばれている。
その変化の内容をテーマと言う。

これら全てが面白いことが、
本当に面白い物語だと、今のところ僕は考えている。

(出来るかどうかは分からない。
しかしすべからく名作はそうだ)
posted by おおおかとしひこ at 20:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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