2015年04月07日

ストーリーの思いつきかた4

初期のトライアングル(ビジュアル、ストーリーの流れ、テーマ)
が練られて、
なおかつ色々なディテールが爆発的に生まれてきて、
小康状態になってきたら、
ログラインを書いてみよう。

ログラインを難しく考える必要はない。
次の形式で書いてみよう。


「Aな主人公が、Bに出会い、Cする話」で。

あらためて初期トライアングルを見たり、
今までのディテールをまとめるつもりで、
一行に集約させるのだ。


物語とは動詞である。
全体で何をするかを一言で書く。

ロッキーは「闘う話」とざっくり書いてもいいが、
僕は「自分を証明する話」と考えたほうが、
よりロッキーの本質に迫れると思っている。

バックトゥザフューチャーは?
「現在の存在を取り戻す」でいいと思う。
(父と母を結婚させるということ、
音楽の才能を発揮させること、
未来へ無事帰ること、みっつを一言にまとめてみた)

このように、名作は動詞をひとつに絞れる。
(目的語や修飾語はあってよい)

あとはAやBを考えて、
これを一行から二行程度にまとめるのがよい。



白紙を用意せよ。横に使え。

以下手書きにせよ。
何故なら、フリーハンドで発想するからだ。
消しゴム禁止。ボールペンがいい。
何故なら、発想を無限にするためだ。


真ん中に、そのログラインを書け。

一番上に、ビジュアルを書け。
右下にテーマを書け。
左下から右下に、ストーリー展開を書け。

これをコピーせよ。一枚マザーをつくっておいて、
何枚でもコピー出来るようにしておけ。

空いてる所に、
これまで考えたディテールを、
場面としてメモして行け。ランダムで構わない。
重要な奴なら丸で囲んでいい。線を引いてもいい。
何かから何かに矢印を引いたり、
それを消して別の所に矢印を引いてもいい。

ごちゃごちゃしてきたら、
さっきコピーしたきれいなやつに、
また整理して書け。

何回かやっていい。2、3回でうまくいくこともあるし、
10回かかることもある。

何をやろうとしているかと言うと、
今全てのディテールを、
一本の話になるようにまとめようとしているのだ。


ひとつのストーリーとして、
面白くなるように工夫せよ。
意外な展開とかまで思いつく余裕があるかも知れない。

一本の話として繋がったとき、
つまり矛盾や飛びがなく、
あなたも観客も納得が行く話になったとき、
クライマックスも展開も面白く、
いい落ちがついたときが、
この作業の終わりだ。


これは何バージョンか作ってもいい。
あとで纏めて見てみて、ベストのパターンを検討してもいい。
(執筆を終えてリライトするとき、
ここにまた戻ってくることもあるので、取っておくこと)

そろそろ、タイトルを決めるべきだ。
あなたの話のタイトルは?
左上とかに書いておこう。(仮)でもいいよ。



さて、何度かやっているうちに、
一本の話になっただろうか。

人物が勝手に喋り始めることが出てくる。
いい傾向だ。
会話は他の紙に全部メモしておく。重要な台詞をしゃべることもあるからだ。

そろそろ登場人物表を作ってもよい。
ここではじめて名前をつけよう。
名前をつけると、その概念は形をもつ。
名前をわざとここまでつけなかったのは、
ストーリーを自由にこねられるようにだ。
逆に名前をつけると、
自由で不定形だった概念が固定化してしまう。
固定化をここまで避けて、
自由な発想にしていたのだ。

登場人物に名前を与えることで、
ストーリーが具体的な形になってくる。
主人公の母が浪江になれば、
それは概念でなく実在になる。

これから以降は、形をもった人物同士で、
話を考えていくことになる。
ついでに重要なことは、
その人物の、ストーリー上の動機も併記しておくことだ。
(特にない人物もいる。
動機が強い人物がメインキャラ)



さて。
ここまでに揃ったもの。

登場人物表、動機、地図、過去の人物関係など。
台詞のメモ。
(不完全でもよい。
このテンプレを埋める意味はない。
補助的に利用できる情報に過ぎないからだ)

ストーリーのようなもの。
(左上にタイトル、上にビジュアル、
左下から右下にかけて大まかなストーリー、
右下に結末と変化で示されるテーマ、
真ん中にログライン、
残りのスペースに自由形式で書いた場面の繋がり)

これは何バージョンかあってもいい。


ここまで来て、
ようやく、ストーリーを思いついた、
ということが出来ると思う。
(この形のミューズが降りてきたら、
あなたは変態か、神に選ばれた人のどちらかだ。
そうでない人は、この形に練り上げよう)


次は、これを文章形式にしてみよう。
プロットである。
最初から最後まで、一次元の時間軸にしてみるのだ。
長さはどれだけでもいい。
短いのは困る。
最低400字、長いときは数千字。
1000〜1500ぐらいが、あとあと扱いやすいが、そうでなくてもいい。

台詞があれば書いてもいい。
ただ多すぎないこと。
プロットは「話の流れ」を書くもので、
現実の原稿を書くのはまだ大分先だ。
何があってどうなったかを書くのだ。
いわばあらすじだ。

さて、スムーズにラストまで書ければいいが、
どこかで引っかかるかも知れない。
大抵、「何でこうなるのか分からない」がそこにある。
その時は、以前の段階に戻り、
何でそうなるのかを考える。
そこがあなたのストーリーの弱点になる。
自然にその後の流れに接続出来るようにその近辺を直してもいいし、
その後を直してもいい。
まだ話は柔軟性を持つから、
いくらでも修正してよい。
何パターンか考えて、一番無理のない、しかも面白いものを、
採用するとよいだろう。



プロットを書き慣れていない人ほど、
いきなりプロットを書いて挫折する。
で、どうしたらいいですか、と尋ねてくる。
そもそもそのプロットの為に、
恐らくこれだけの準備をしていない。

だから、詳しく書いてみた。


プロットさえ書ければ、
あとは三幕構成を整えたり、
様々な脚本理論に従って、
足りないところを補ったり、余計な所を切ったりして、
物語の形式に整えることは出来るだろう。

プロットが何故便利かというと、
一次元で書いてあるからだ。
物語は、一次元で語られる文章であり、映像であり、
一次元で理解される言葉であり、説明であり、人々の人生だからだ。

その先に、やっと執筆で実際の原稿を書き、
その先に、第一稿からのリライトがある。
何稿までやるかは不明だが、
最大40稿までは経験があるよ。



あ、結局一番面白さに必要なもの。
憧れ(圧倒)と共感はちゃんとある?
なければこの段階で考えとかないと、修正きかないよ。




ちなみに現実には、
愚者が第一稿や数稿を見て、
修正を指示してくるんだぜ。
おせえよ。ちゃんと最初からいろよな。
posted by おおおかとしひこ at 11:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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