2015年04月09日

初心者むけの話:人は脱線しやすい生き物だ

シナリオや小説や戯曲などの作劇や、
小論文や本を書くことやスピーチなどは、
何故、かように難しいのか。

一次元につくらなければならないのに、
人の思考はすぐ脱線するからだと、僕は考える。

つまり、人の思考は一次元ではない。

脱線しがちな人の思考(それは作者自身も、観客も)を、
ひとつの一次元に集中させることが、
そもそも難しいのである。


「人の話を最後まで聞きなさい」と、
親から怒られた。
だって最初は聞いてても、他のことが気になるんですもの。

何か話そうと思ったんだが、
別の話にいつの間にかなっている。
そっちのほうが面白かったからだろう。

例えば今日好きな人に告白しようと思っていても、
色々別の話になって、
告白することは難しいよね。
(言う側のコツは、一発目に言うこと。
言われる側から見ると、最後に言われるほうが効くが)


それはつまり、
人間の思考は、脱線しやすいからだ。

サバンナで育った人類の、進化の過程のような。
色々周りに注意しなかった個体は淘汰されたのだろう。
思考が飛び飛びに周囲に集中するほうが、たまたま生き延びた。
だから、
人は脱線思考がデフォルトなのだ。


一次元のものを書くのは、
その自分をコントロールしながら、
他人のそれをもコントロールすることだ。
脱線しがちな思考を、一次元に引き付けることである。



そのコツは、ブロックに分けることだ。
そして、
ブロックの終わりに次のブロックの引きをつくることだ。

ブロックの頭には、以前のブロックの引きから、
このブロックを思考するのに必要なセットアップをはじめて、
そのままブロックを展開する。

つまり、あるブロックが、次のブロックに脱線するように作るとよい。

その境目に来る、
繋ぎとかヒキとか「続く」のことを、
僕はターニングポイントと呼んでいる。

普通の脱線は、
集中力が切れて、なんとなく脱線するのだが、
ブロックを意図的につくり、ターニングポイントを作ることは、
「意図的に次に脱線」することである。
これの上手な人が、話のうまい人だ。


最初のブロックが一番難しい。
色々な文脈の人を、うまく集中させ、
最初の意図的脱線の頃には、ざわざわが止んでなければならない。
(だからファーストロール15分が勝負、とよく言われる)


また、「途中で挫折する」ことは、
初心者のうちは執筆の時に最もよくあることだが、
それは脱線が上手くいかないからだ。

話が上手く脱線して次へ転がる前に、
あなた自身が脱線する(それはつまり観客も退屈している)からである。

上手な脱線は、
ブロック分けとその繋ぎが上手である。

それを一般に、構成という。

(短いものがまずトレーニングになるのは、
ブロック分けを必要としないからだ)


一次元にしなければいけないものを、
脱線してしまう思考の持ち主である人間が、
上手く脱線しながら、
一次元のものに錯覚するように作ること。

これが、一次元のものを上手くつくるコツだ。
これの上手な人が、
ストーリーテラーになれる。
posted by おおおかとしひこ at 13:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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