シナリオや小説や戯曲などの作劇や、
小論文や本を書くことやスピーチなどは、
何故、かように難しいのか。
一次元につくらなければならないのに、
人の思考はすぐ脱線するからだと、僕は考える。
つまり、人の思考は一次元ではない。
脱線しがちな人の思考(それは作者自身も、観客も)を、
ひとつの一次元に集中させることが、
そもそも難しいのである。
「人の話を最後まで聞きなさい」と、
親から怒られた。
だって最初は聞いてても、他のことが気になるんですもの。
何か話そうと思ったんだが、
別の話にいつの間にかなっている。
そっちのほうが面白かったからだろう。
例えば今日好きな人に告白しようと思っていても、
色々別の話になって、
告白することは難しいよね。
(言う側のコツは、一発目に言うこと。
言われる側から見ると、最後に言われるほうが効くが)
それはつまり、
人間の思考は、脱線しやすいからだ。
サバンナで育った人類の、進化の過程のような。
色々周りに注意しなかった個体は淘汰されたのだろう。
思考が飛び飛びに周囲に集中するほうが、たまたま生き延びた。
だから、
人は脱線思考がデフォルトなのだ。
一次元のものを書くのは、
その自分をコントロールしながら、
他人のそれをもコントロールすることだ。
脱線しがちな思考を、一次元に引き付けることである。
そのコツは、ブロックに分けることだ。
そして、
ブロックの終わりに次のブロックの引きをつくることだ。
ブロックの頭には、以前のブロックの引きから、
このブロックを思考するのに必要なセットアップをはじめて、
そのままブロックを展開する。
つまり、あるブロックが、次のブロックに脱線するように作るとよい。
その境目に来る、
繋ぎとかヒキとか「続く」のことを、
僕はターニングポイントと呼んでいる。
普通の脱線は、
集中力が切れて、なんとなく脱線するのだが、
ブロックを意図的につくり、ターニングポイントを作ることは、
「意図的に次に脱線」することである。
これの上手な人が、話のうまい人だ。
最初のブロックが一番難しい。
色々な文脈の人を、うまく集中させ、
最初の意図的脱線の頃には、ざわざわが止んでなければならない。
(だからファーストロール15分が勝負、とよく言われる)
また、「途中で挫折する」ことは、
初心者のうちは執筆の時に最もよくあることだが、
それは脱線が上手くいかないからだ。
話が上手く脱線して次へ転がる前に、
あなた自身が脱線する(それはつまり観客も退屈している)からである。
上手な脱線は、
ブロック分けとその繋ぎが上手である。
それを一般に、構成という。
(短いものがまずトレーニングになるのは、
ブロック分けを必要としないからだ)
一次元にしなければいけないものを、
脱線してしまう思考の持ち主である人間が、
上手く脱線しながら、
一次元のものに錯覚するように作ること。
これが、一次元のものを上手くつくるコツだ。
これの上手な人が、
ストーリーテラーになれる。
2015年04月09日
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