脚本で短い回想の書き方。
(そういうワード検索でたどり着いた人がいたので)
場所が次々に変わる回想だと、柱ばっかり増えちゃうよね。
こう書くといいよ。
○教室
A「じゃお前、あのとき…!」
B「その通りだ!」
(次々に回想フラッシュバック)
屋上でのCとD。
カーチェイス。
映画館。
どのシーンにも、Bが紛れていた。
(回想終わって)
B「全てに俺はいたのだ!」
分かりやすいように書いてみました。
脚本上重要なのは、
既に過去に撮ったショットを編集で使うのか、
これ用に撮影するのかです。
(明記しとかないと、そのシーンの撮影のときに同時に撮影するの忘れちゃうし)
「どのシーンにも、Bが紛れていた」と書くことで、
新撮することが読み取れます。
このフラッシュバックは、台詞なしなので比較的分かりやすいですが、
台詞が絡むと、ややこしくなります。
○教室
A「じゃお前、あのとき…!」
B「その通りだ!」
(次々に回想フラッシュバック)
屋上でのCとD。
C(回想)「ふざけるな!こんなこと!」
D(回想)「一体誰の仕業だ!」
カーチェイス。
E(回想)「オイル漏れだ!」
映画館。
F(回想)「ね、手繋いでいい?」
どのシーンにも、Bが紛れていた。
(回想終わって)
B「全てに俺はいたのだ!」
台詞に(回想)をつけることで、分かりやすくすると良いでしょう。
もう少し長い回想をフラッシュバックさせるなら、
× × ×記号を使ってもよいです。
○教室
A「じゃお前、あのとき…!」
B「その通りだ!」
(次々に回想フラッシュバック)
× × ×
屋上でのCとD。
C(回想)「ふざけるな!こんなこと!」
D(回想)「一体誰の仕業だ!」
フェンスに血がベッタリとついている。
× × ×
カーチェイス。
パトカー横転。バイクは急ブレーキ。
E(回想)「オイル漏れだ!」
E、必死でバイクを立て直す。
× × ×
映画館。
F(回想)「ね、手繋いでいい?」
G(回想)「ダメだよ。誰かが見てたらどうするんだ」
どのシーンにも、実はBが紛れていたのだ。
× × ×
(回想終わって)
B「全てに俺はいたのだ!」
みたいなことです。
× × ×記号は、こんな感じで、
同じシーン内のインサートなどを表すために使います。
ただ、厳密にはどう撮ったカットをどう繋ぐか、
という、撮影編集のテクニック、つまり監督の裁量なので、
脚本で書く場合では、厳密に決める必要はありません。
短い回想。
屋上、カーチェイス、映画館、全てにBはいた。
などのようにまとめて書いてしまい、
監督の裁量に任せるのが、監督のセンスに渡せるところです。
(どうしても必要な台詞だけは書いてもよい)
脚本が書くのはストーリー上の意味だけ、という原則を守りましょう。
あるいは、センスに任せるなら、
今までの二人の蜜月期が、回想で次々に。
なんて、編集時によろしく、なんて指示もよくあります。
これまでの名場面がまるで走馬灯のように。
てのもありますね。
逆に、「パーマネント野ばら」のラストの、
ネタバレを示す長いフラッシュバックは、
各シークエンスをきちんと書いて、
たぶんちゃんと芝居を普通に撮って、
編集でフラッシュ的に短く刻んでいると思います。
(それを仕上がりで想定して脚本を書いたか、
編集中に思いついたかは、大八さんに聞かないとわかりません)
「渇き。」の複雑なフラッシュバックは、
脚本には書いてないと思います。
あるいは、次のような形式でしょう。
以下の三つのシーンが、短く刻まれて交錯する。
場所A。
〜
× × ×
場所B。十年前。
〜
× × ×
場所C。
〜
厳密にはフラッシュバック(過去の回想)ではなく、
フラッシュフォワード(未来に起こることを先に見せる)もあるので、
編集しながら徐々に複雑に交錯させていったかと思われます。
でもね。
編集で交錯しなくても、
一本道で面白い話を書くのが、
ほんとの脚本家の仕事だぜ。
(つまりフラッシュバックの使い手は、下手なんすわ)
2015年04月15日
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