実写風魔からいくつか。
車田漫画での同調を、いかに実写にもってきたかの話。
車田漫画では、学ランに、
ペンでたて線をシャッシャッと入れた描き方がある。
ファンなら分かるだろう。
僕はこの質感は、普通の学生服では出ないと思った。
そこで、黒(艶消し)の上に黒の柄(艶あり)がある、
柄布による学生服のアイデアにたどり着いた。
普通の学生服では、頑張っても「火山高」の質感にしかならず、
それは車田漫画の質感ではないと思ったからだ。
同じ意味で、夜叉の布も玉虫色の布にしている。
ドン!の太鼓は、ザシャアとドオオオンの代わり。
ザシャアの効果音を、「風魔一族」のシーンで沢山試したが、
スライディングみたいな音にしかならず、断腸の思いで諦めた。
撮影前に、SE打ち合わせをやるべきだったと今でも後悔している。
(その代わりサイキックや聖剣関係のSEは事前に打ち合わせ、
ほぼイメージに近づけられた)
ドン!の演出は、昔僕がたまに使ってたパターンで、
車田漫画の乗りを再現するのに一役買っている。
それもこれも、車田漫画での同調の感覚の再現の為である。
ベタフラッシュ、車田吹き出し
車田吹き出しは、そのまま字幕として乗せるパターンも考えた。
響鬼や牙狼みたいに、黒ベタに筆文字も勿論考えた。
しかし、漫画になってはいけない、
あくまで実写なのだ、という思いが、車田吹き出しの再現をやめさせた。
表現を似せるのではなく、魂を同調させるべきだと思ったのだ。
一話の風魔烈風は、ライティングを変え、ドーリーも使って、
その同調を表現したつもりだ。
ベタフラッシュに相当する表現も多用したかったのだが、
照明部にも予算の限界というものがある。
太陽より明るいライトを表現するには、ある程度の予算が必要で、
それはこの作品では不可能だった。
麗羅の最後、覇王剣にやられたアップで、
それを再現した表現を見ることが出来る。
市野さんやるなあ、と嫉妬した覚えがある。
車田バック
一話の対峙で試したが、失敗だった。
ウルトラセブンのOPを研究すれば良かったんだ、と気づいたのは撮影後だ。
これらの表面的な表現は、
全ては車田漫画の同調の、実写的な再現を目論んだものだ。
以下脚本的な話。
一話、二話の脚本を書く上で、
実は僕は原作をリアルタイム以来一度も読み返していない。
にも関わらず、蘭子と小次郎と姫子の丁々発止や、
小次郎と絵里奈の会話は、
まるで原作にあったかのような出来だ。
それは、僕が完全に原作風魔に同調していたからだ。
原作風魔の初期の感じが、
僕の体の中にあったからこそ、
それを実写世界で同調するように、
書き直すだけでよかったのだ。
実はアニメ版が僕はあまり好きじゃない。
聖闘士星矢のアニメ版もあまり好きじゃない。
車田漫画の僕の同調と、アニメ版は違う気がずっとしていた。
(ドラゴンボールとか北斗の拳は近いと思う。
間なのかセルの色なのか分からない。はじめの一歩のアニメもそんな違和感がある)
感覚的な話なのであれだけど、
だからこそ、ちゃんとした同調をすべきだと思っていたのだ。
ここにいたらこいつはどう反応するか、何て言うか、
それは完全に僕の中の同調として、
既に存在していたのだ。
漫画の実写化の成功要因は何か。
同調の再現ではないかと思う。
それは、ディテールが似てることより優先であると思う。
2015年04月15日
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