2015年04月16日

落とし穴は「書きたかった所」にある

他人の失敗はよく見える。
自分の失敗はよく見えていない。

落とし穴は、大抵注意していない所にある。
あなたの「書きたかった所」に。


書きたかった所以外の場所は、
大抵慎重に書く。

これでいいだろうか、誤解は招かないか、
いろんな人を納得させられるか、
説得力はあるか、
反対する人をも引きずり込む力があるか。
間違ってることを書いてないか、
伏線と解消は機能しているか。
説明臭くないか、説教臭くないか。
乗れるか。滑ってないか。

苦手な所ほど慎重に検討し、
上手く行ってない自覚があるところほど、
きちんと書き込み、上手く行くまでちゃんとやる。
計算ミスをしないように、検算もちゃんとやるようなものだ。


ところが。
人の心理とは怖いもので、
自分の自信のあるところは、大胆になりすぎるのだ。
書きたかった所を書くとき、
自信にみちあふれ、筆は走り、大胆に大胆を重ね、
自分のマックス調子のいいものを書く。
それが、客観性を失ってることに気づかずに。


慎重になっているところは、
客観的に検討しているのである。
これでホントに面白いの?と。
ホントに面白くなるまで、ちゃんと書くから、
ホントに面白いと思うものが出来上がる。
そこまでコツコツやることで。
苦手で慎重になっているから、
それを克服しようとする意思も強いだろう。

自信のある所、書きたかった所ほど要注意だ。
あなたの書きたい念が強すぎて、
客観性を失っていることが、まれによくあるのだ。

無理があったり、矛盾があったり、
説得力がなかったり、同調しがたいものだったり、
感情移入を裏切ってたり、
強引だったり、ご都合だったり、
おかしなことがあっても、それを検算する目が曇るのだ。
何故ならやりたかったことだからだ。


落とし穴は、そこにある。
なかなかの確率で、落とし穴にはまっているのに気づかない。
だって書きたかった所だから。
書きたかった事を書いたから。
それが合ってるかどうか、関係ないから。
そう思うのは、危険の印だ。

書きたかった所は、本当に面白いのか?
何でそうなるのか、苦手な所ぐらい突き詰めてるか?


リライトで冷静になれたら、
そこの温度を見てみよう。
やりたかっただけで、ちっとも面白くないかも知れないし、
無理やご都合がある可能性が高い。
何故なら客観性を失ってる可能性が高いからだ。




ということで、てんぐ探偵35話の、
書きたかった所(クライマックス)に重大な欠陥を見つけて、
今へこんでいる。リライト間に合うかなあ。
posted by おおおかとしひこ at 01:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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