なるべく広い人の同調を誘えるものが、
広く人に伝わるものである。
例えば先日爆死したと噂の、
まゆゆの主演ドラマを例に。(タイトルすら忘れた)
上司に黙って、
店のためにという美名の元に、
取り返しのつかない混乱を起こしたイベントを開催した、
店員に皆が同調出来るのだろうか。
(このあらすじはネットから拾ったもので、
僕は見てないので正しくないかも知れない。
そもそもオリジナルがどうであれ、
こう伝わることに問題があるのだが)
書店員という地味な職業に、
皆が皆、同調出来る訳がない。
僕は本屋は好きだが本があまり好きじゃない。
プラモ屋は好きだ。
だから、本屋そのものに同調出来ない。
これは、本屋という題材がダメなことを意味しない。
どんな人にも本屋と同調出来るように描け、
ということを意味している。
たとえば、働く女すべてが同調出来るような話に書き換えるとよい。
もっと言うと、働く人すべてが同調出来るような話に書き換えるとよい。
働く苦しみ、喜び、
なんのためにやっているのかという意味への葛藤、
理解の浅い上司、深い上司、間違ってる上司。
若い自分の間違い。学び。
こういう、働くことに共通のことを、
書店を例に描けばいいはずである。
(たとえば、「踊る大捜査線」は、警察を描いたのではなく、
組織に共通のことを書いて、働く人全員に同調された。
警察の人に同調されたかどうかはどうでもよく、
より広いことに同調されたことが重要)
描く力点は、本屋特有のディテールではなく、
本屋特有のディテールを通して、
働く人が同調出来ることを描くことだ。
ところがあらすじを見る限り、
上司に無断で自分の正しさを示し、
ケツを誰かに拭かせる、
ただの子供が主人公だ。
これに同調出来るのは子供だけではないだろうか。
反対を押しきって秘密裏に進めたのだが、
その上司にばれて妨害され、
計画がズタズタになるが、書店員ならではの機転で乗り切る、とか、
予想外の失敗で混乱するのだが、
本を売るとはどういうことかに関する、
先輩の指示で混乱はおさまり、
本を売るとはなんと素晴らしいことか、
と彼女が発見するなどの、
「働く人なら同調出来そうなこと」なら話は分かる。
さらに。
働く人以外にも同調出来るようにする。
本の素晴らしさについてだ。
どうして本は素晴らしいのか、
どうして本を売るのは素晴らしいのか、
そのことについて、
演説ではなく、プロットとして、描くことが大事だ。
そうすると、
本に触れたことのある、
全ての人々が同調出来るだろう。
本を紙媒体ではなく、「知識」として捉えれば、
マチはもっと広くなるはずだ。
伝わってきたあらすじを見る限り、
これらのことは達成出来ていない。
つまり、働く人や本に触れた人が同調出来る話ではなく、
子供が同調出来る話になっている。
だから爆死したのだ。
勿論、プロデューサーはそこまで深く考えていない。
AKBの次期センターのまゆゆに、
ドラマのキャリアを積んで欲しいことが目的で、
その単独主演は話題性があり、
書店員コスプレもピッタリだと思っただろう。
あとはそれに相応しい原作を探し、
ドラマ向けに改変すればよいと考えた筈だ。
本人の似合う役柄で、
単独主演の話題性で、同調する人を掴めると思ったのだ。
そこに同調した人は、6%という結果だ。
そしてこのプロデューサーは、
同じ愚を次に犯すだろう。
まゆゆは思ったほど数字を持ってなかった。
もっと数字を持っている主演を奪って来ようと。
犠牲者は誰か。まゆゆとスタッフだ。
数字は結果であり、原因ではない。
ドラマとは、
なるべく多くの人が同調したい物語のことで、
同調したい人が増えたとき、
それが数字に表れるだけのことである。
勿論、同調出来るだけの面白い出来が、
重要なのだけど。
(昨今その同調が出来上がる前にドラマが終わるぐらい、
予算が切り詰められて話数が減っている。
1クールって13話ですよね?8話とかあるけど、どういうこと?
昔は2クール4クールかけて同調を作ったんですけど?
つまり、テレビドラマの同調の仕組みが、
今作れないということもある)
マチを広く取ろう。
バッグとかの間口の広さも意味するし、
麻雀の当り牌の可能性の広さも意味する。
第一回は、かように難しい。
一見さんお断りなのか、
俺でも入っていける?なのか、
みんな慎重に見極める。
俺でも入っていけそう、ってなったら、
(それが面白い限り)次も見る。
マチの広さを、主演の持ってる数字で測定するから、
間違うのだ。
主演の持ってる数字が6%だとしても、
働く人や知識に触れたことのある人は、
もっともっと多い筈だ。
どうせ、知識とか働くことに本気で向き合ったドラマじゃなくて、
書店の眼鏡美人はエロいよね、それで働く女ドラマをやろうぜ、
ぐらいしか考えてないんでしょ?
だから爆死するんじゃない?
そんなのみんなもう分かってて、ばれてるよね?
爆死こみがプロレス、という高度な戦略でもないよね?
もし、本気で知識とか働くことに向き合ったドラマで、
それがこの末端に伝わってないのなら、
広報に問題があると思います。
2015年04月17日
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