A→B
とシーンを書いて、
Aに追加要素があったなあと思い、続けて、
A→B→A2
とBをA要素で挟んでしまうときがある。
これを「行って来い」といい、よくない方式だと戒められる。
混乱を避けるため、表記を以下、
A1→B→A2
としよう。
これを、
A3→B(A3はA1とA2を融合したもの)
に書き換えるのが理想だ。
そもそも、行って来いがなぜよくないか。
書き手としては、
A1→A2の間に、Bをインサートしたもの、という認識だ。
が、観客の立場から見るとこれが異なる。
A1のあとにBを見ると、
世界が拡大していく感覚を得る。
従って次に予想するのは、更なる拡大であるCだ。
それがAに戻ってきて、がっかりするのである。
なんだつまんないやと。
上級者は、ほう収束してきたかと身構える。
A1とBを統合するのだなと。
それでもなく、単なるA1の続きA2になり、萎えるのである。
観客と書き手の、見てる場所が違うからこのズレが起こる。
書き手は全部を書き終えた、A2のあとから全体を見ている。
しかし観客は、全体を知らずに、
A1を見て、次にBを見て、何らかの予測をし←ここ重要
次にA2を見る。
あとから見ればA1と2の間にBが挿入されていたとしても、
A2が始まったときの萎えを、取り戻すことはできない。
解決方法の正統なやり方は、
Aを統合して、A→Bのシンプルな構造にすることだ。
しかし、単純にA1+A2としても、
だるいシーンになるだろう。
A1の前半を恐らく書き直すことになる。
A1の前半は、A1を書くための前ふりになっていて、
A2を書くための前ふりになっていないからだ。
そこで、A1A2の両方をいっぺんに書くための前ふりを書くことになる。
そしてA1A2の本体を書くとよい。
A2の前ふり部分は既に書いたので省略できるから、
実質のページ数は減るはずである。
シーン尻もどちらかのものを使うだろうから、
実質のページ数は減るはずである。
こうして、
A12の前ふり、A1A2 の本体部分という構造の、
新しいA3が書かれることになる。
これは、手書きだととてもやりやすいが、
デジタルツールでは、コピペにたよりがちなので、
うまく統合が出来ないことが多い。
コピペして並べ、あるところを削り、またあるところを足し、
なんてやっていくと、整えるまでに時間がかかるし、
結局出来上がったものもギクシャクする。
手書きだと一から書くので、
体が上手く統合してくれる。
いい具合に忘却も作用する。
デジタルツールは、減らすことが下手だと思う。
ただ減らすだけで、良く変容させながら減らすことが出来ない。
増減はデジタルの仕事、変容はアナログの仕事である。
話が脱線した。
行って来いは、書き手の不注意から起こる。
不注意だから、起こらない保証はない。
つまり、一生に何回かは起こる。
気づけば、リライトで統合することができる。
もし、A1とA2がとても複雑で大きいものなら、
どちらかを簡略化する(どちらかに重心を置く)、
またはどちらかを捨てるという方法もある。
時間軸を持つ芸術では、
「人がひとかたまりに捉えられるもの」の単位がとても重要だ。
それを決めることが、執筆だ。
2015年04月30日
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