2015年05月05日

脚本添削2015その8:プロットその2

前回書き散らしたプロットを元に書き始めようと思ったけど、
なんだかしっくり行かないので、
もう一度プロットを整理することにしました。

このやり方はなかなかオススメなので、
実物をお見せ出来るチャンスかなと。


もともと最初の事故の所が引っ掛かってました。
なんかテーマに引っかけられないかなと。
部分に拘る自分に気づいて、
問題はそこだけなのか?
と自分に問うてみるわけです。
じゃ全体を眺めてみようじゃないかと。

このとき、
「前のプロットを一切見ずに、白紙にプロットを書いてみる」
という方法がオススメなのです。

このメソッドは他に聞いたことなくて、
どうも俺が開発したっぽいので、
大岡式白紙術とでも名付けておきます。

この方法は何が良いかというと、
ディテールを忘れた上で、
一からざっくり作り直すことで、
欠点をその場で気づいて直しながら書ける、
という所なんです。

以前書いた記事、「連続して書くこと」の、
連続して初めて書くことを、無理矢理体験出来るというわけです。

各ディテールとテーマの関係、
伏線と回収の関係、
結局これはどんな話なのかという関係。
これらを俯瞰しながらの、
全体の組み直しを出来るやり方です。
(それを意識しながらじゃないと、ただの思い出しゲームになっちゃう。
組み直しをしながら書いていく仕組みなのです)


ということで、こんな風にプロットを書いてみました。



学校:
授業を聞いてもらえない数学教師公男。
アキラのいじめにも見て見ぬふり。
目が合っても何もできない。

出会い:
車の中で算数ドリルを解いているヤクザ、虎。
どうしても大学に合格しなければならないのだ。
公男の事故によって、二人は出会う。
公男が数学教師だと知った虎は、問題教えてくれ!と。
ケンカ弱そうだと直感した虎は、かわりにケンカ教えてやると。
大学合格させる代わりにケンカを教える。
それが二人の約束。(第一ターニングポイント)


事務所:
夜、算数を教える公男。難しさにイライラし、思わず公男を殴る虎。

翌日、学校:
絆創膏を貼ったまま授業する公男。教室は以前と同じまま。

事務所:
今夜はケンカを教えてくれと公男。立ち方、殴り方。しかし複雑だ。
次は勉強。複雑さにイライラし、また殴る虎。しかし今度はかわす公男。
公男は「学問は複雑な現実をシンプルにするためにある」と。
「数学が複雑なんじゃなくて、もっと複雑な現実を簡単にする為の道具」
や(例えば和音の話とか?)
ケンカにもあるぜと虎。それが頭突き。それ教えてと。
一番大事な所で、相手の一番大事な所にぶちこむ。だからシンプルで強い。

その後飲み屋:
何故俺が大学を受けなきゃならないか?(先代の遺言)

学校、校舎裏:
アキラを呼び出した公男。
いじめはやめろとストレートに言う。
お前は分数が分かってない。俺が一から教える。
お前は暇だからいじめをするんだろ?
うるせえ!と殴りかかるアキラ。頭突きをかます公男。
しかし一発では沈まず、逆上したアキラは公男をぼこる。

事務所:
今度は防御を教えてくれ、と包帯まみれの公男。
あいつの家庭は複雑なんだ。義母が家にいて、いたたまれず、勉強どころじゃない。
だから抜け出させて、ここで一緒に勉強を教えたいと。
気に入らねえな。え?
あんたの好きな、シンプルな解じゃねえな。

特訓のモンタージュ。攻撃を避ける。
勉強が進む虎。包帯が取れた公男。(第二ターニングポイント)


川原:
決闘だ。俺が勝てば俺の言うことを聞け。
虎が立会人で、男と男の闘いだと。
算数から教えてやる。あと、義母さんとの付き合い方を教えてやる。
かあちゃん、て一言言えばいいんだよ。
うるせえよ!
公男、パンチを全部避ける。
虎「そうだ。一番大事な所を、一番大事な所にぶち当てろ」
頭突きが決まる。倒れるアキラ。
公男「頭は、こうやって使うんだよ!」

後日、教室:
また包帯巻いて授業する公男。
遅刻してくるアキラ。「先生、紹介する。うちの、母ちゃん」
丁寧にお辞儀する義母。
アキラ、教室を見ると虎が学ランで座っててびびる。
「俺、中学レベルクリアしたから。ここなら先生の授業生で受けれるからな。
ちょっとドスきかせたら裏口入学楽勝だったよ」
「そんなバカな」
「シンプルなのが答えだ。頭は、こうやって使うのさ」
end



だいぶ、テーマの周りに集まってきたような気がします。
事故のくだりは単純な追突にもどします。
そこは重要じゃないことが、
このような全体を作ることで見えてきたからです。

そこで、更にタイトルを考えます。
タイトルがコンセプトを示していた、元原稿を、
上手く踏襲できると最高だからです。

ヘッド・バッド・ティーチャーはやはり、ちょっと違う気がします。

「ヤクザと教師」:ふつう。
「頭は、こう使う」:なかなかだけど、キャッチーな引きがない。
「頭のつかいみち」:言い方を変えてみたけど、まだキャッチーじゃない。
「頭を使うヤクザ、頭を使う教師」:対句に開いてみたけど、ピンと来ない。
「ヤクザヘッド・ティーチャーヘッド」:ちょっとキャッチーになったけど、なげえ。
「ヤクザヘッド」:キャッチー。頭突きのことと、落ちを上手く表せてる。

ということで、ニュータイトルを、ヤクザヘッドにします。


15分におさまるかな。
1時間ドラマでもいける内容のようなので、切れが肝心。
posted by おおおかとしひこ at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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