尊いもの、の定義は難しいが。
ただのやりたい放題や、ただの時間潰しには、
そのときは面白くても、爆発しないと思う。
「尊いこと」が、人をして、
これは価値があると思わせるのではないだろうか。
たとえば女優の裸は尊いから、価値がある。
「パンツの穴」や「バタアシ金魚」は、
当時の第一線の菊池桃子や高岡早紀の鮮烈な水着が見れるから尊い。
これはガワの尊さだ。
(既に若い頃の村井や鈴木が拝めるという価値が、風魔には出始めてるらしいが)
合成やCGのなかった時代の、
手だけで作った特撮も尊い。
「2001年宇宙の旅」で、ものすごくゆっくりと等速度で動く宇宙船を表現するのに、
長いネジを少しずつ回してコマ撮りしたとか、
「ターミネーター2」の横転する液体窒素トレーラーはミニチュアだとか、
それだけで尊い。
ついでに、その時しか出来ない芝居も尊い。
「ブレードランナー」の最後の独白がアドリブであることは、
ちょいちょいここで書いている。
これらは、ガワの尊さだ。
(何故かCGには尊さがないのだ。
尊さは、アナログに発生する概念かも知れない。
一回性が関係しているかも知れない)
もっと大事なのは中身だ。
ガワの尊さを考えると、
あなたが一回しか書けないことを書くと、
尊くなる可能性がある。
全体が尊いのがいいが、
一部が尊くてもいい。
何が尊いかは、分からないが、
特定の宗教や道徳とか思想ではないだろう。
もっと広いものだと思う。
例えば、風魔の告白の場面は尊い。
絵の良さもある。若い二人の芝居も最高だ。
台詞の良さもある。
しかし何より、気持ちが尊いと思う。
小次郎と姫子の、互いの運命を知った上でなお相手を大切にする、
その気持ちが尊いのではないかと思う。
僕は二度とあの尊さを書くことは出来ないと思う。
あの一回だけだ。
同等かそれ以上を書けるとしたら、
それは彼らの続きを書くときだけだろう。
だから他の作品は、別の尊さを追求しなければならないのだ。
同じラブストーリーを書くにしても、
別の尊さを書くべきなのだ。
もはやラブでない別の尊さを書くかも知れないが。
どのようなものが中身として尊いかは、
ちょっとまだ分からない。
しかし、テーマや全体が尊かったり、
どこかの一部が尊かったりすると、
とてもいいものになるような気がする。
自己犠牲とか他人を優先すること?
ともちょっと違う気がする。
正義もちょっと違う気がする。
でも、正義や自己犠牲の場面には、
尊さが溢れるものもある。勿論ないものもある。
掴みづらくて申し訳ないが、
尊い部分があるかどうか、
最後に俯瞰して眺めてみるのはどうだろう。
崇高なこと?貴重なこと?
も、全部をいいえてない気がする…
2015年05月13日
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