2015年05月16日

初心者FAQ

Q1. 脚本は何文字で何分?フォーマットは?
Q2. 最後までうまく書けません
Q3. 会話が下手です
Q4. キャラの設定表の作り方
Q5. テーマって何?


Q1. 脚本は何文字で何分?フォーマットは?
脚本は何文字で何分ですか?例えば120分は何文字ですか?
脚本のフォーマットについて教えて下さい。

1分が400字原稿用紙1枚に相当するフォーマットで書きます。

120分の映画は、120枚48000字です。
空白も数えます。
(wordは空白を数えてくれないので、原稿用紙フォーマットに
変換しないと厳密には分かりません)

フォーマットについては、
大岡俊彦短編シナリオ集」「短編シナリオの研究2」などに貼った大岡のシナリオを見たり、
月刊「ドラマ」「シナリオ」を見るのが早いです。
また、シナリオのフォーマット記事に詳しくまとめてあります。

ついでに小説は、文庫本一冊は、250枚10万字ぐらいです。

あなたがこれだけの文字数にまず慣れることが肝心です。
マラソン走ったことない人がマラソンのペースが分からないように、
絶対息切れします。
このブログでは、5分5枚2000字を沢山書くことを推奨しています。
5分24本ぶんが、劇映画の分量です。
まず5分を24本書く体力(頭の体力)が必要です。
慣れてきたら、
10分10枚4000字、
15分15枚6000字、
30分30枚12000字、
60分60枚24000字、
90分90枚36000字
などに挑戦すると良いでしょう。


Q2. 最後までうまく書けません
最初は調子よく書きはじめるのですが、途中で詰まらなくなったり、
先の展開が思いつかなかったり、自己嫌悪に陥ってしまいます。
どうすればラストまで書けますか?
(小説志望者の間ではエタる:eternalと言うらしいです)

準備が足りないからです。

シナリオは、準備9割、執筆1割です。
書きはじめる前に、殆ど終わってて、書くのはまとめ、ぐらいに思って下さい。
シナリオ本編の執筆以外に、
実は膨大なメモ(原稿の数倍〜数十倍)があり、執筆はそのまとめに過ぎません。

完結しないのは、完結した話を既に作っていないからです。
まず完結したあらすじを作ってください。
これをプロットといいます。
プロットはペラ一枚(紙一枚)におさまる文章で。
これを「終わり」(落ち)まで書けていること。
落ちまでない話は、話ではありません。

次にやることは、人によってバラバラです。
10枚ぐらいに更に詳しい文章を書く人もいます。
場面だけ試し書きする人もいます。
僕はぐねぐね図を書きます。
ブレイク・シュナイダー著「save the catの法則」の中の「ボード」もオススメです。

5分だろうが30分だろうが、ここを丁寧にやることです。
執筆の経験があるほど、ここをちゃんとやります。
途中で書けなくなることの怖さを知っているからです。
僕が5分を推奨するのも、最後まで書ける確率が高いからです。

落ちまで書くのが執筆。家に帰るまでが遠足。
計画をたてないと、行き当たりばったりでは最後までいかないし、
行き当たりばったりで書き終えたとしても、
練りに練りまくった計画的な話より詰まらないでしょう。

もう一度書きます。
執筆なんて最後の仕上げです。
床屋に例えれば髭そりくらいです。
あなたは、書く前の準備が足りないのです。


Q3. 会話が下手です
どうしたら上手い会話が書けますか?

あなたが会話上手になることが、一番遠回りでいて、一番早道です。
上手い会話の具体例に沢山触れて下さい。
上手い会話を沢山書き写すのもよい勉強です。
漠然と下手、ではどうしようもない。
モーションの下手なピッチャーは、モーションの上手いピッチャーの真似をして上手くなります。
見本を立てて、完コピしましょう。
あなたが映画が好きなら、
大好きな場面を暗唱出来るようになりましょう。
(ちなみに、僕は中二の夏に見た二本の映画、
「風の谷のナウシカ」「超時空要塞マクロス/愛・おぼえていますか」
を暗唱出来ました。今はもう無理かな)

会話は口でするもの。手で書くのは、疑似でしかありません。
ちなみに手で書くのに慣れるのは、手書き推奨です。
文字うちはオススメしません。
字が下手なら、ペン習字を習うといいでしょう。
これまじです。
何故なら、シナリオは、最終的に体で再現されるものだからです。
あなたが体で表現するべきなのです。
そこでようやく、リズムが分かるはずです。

あとは、沢山書いて下さい。
会話は書けば書くほど上手くなる、というのが沢山の人の経験則です。
(プロットとかはそうでもない)

ちなみに、喫茶店やファミレスとかの会話を1時間録音して、
それを文字起こしするのも良いトレーニングです。
リアルな会話がいかに無駄が多いか知っておきましょう。


Q4. キャラの設定表の作り方
どうすればキャラの設定が作れますか?

僕は、アニメみたいなキャラの設定表を作ることに反対です。
理由は、それに縛られて柔軟に書けなくなるからです。
最終的に、備忘録として書きますが、
ストーリーを作る前に設定表を作らないこと、が僕の教え。

ストーリーを作る前に設定表をひとつだけ作ってください。
それは、各キャラの「目的」の表です。
あとは名前と年齢と職業があればOK。
よくある、性格とか好きなものとか嫌いなものとかは、
目的の表を練り、プロットを書き終え、執筆直前でつくるレベル。

何故目的?
それは、お話とは、
「異なる目的を持つ複数の人が揉めること」だからです。
これをコンフリクトといいます。
(これを葛藤と訳した馬鹿がいますが、これは誤訳です。
詳しくは「ドラマとは葛藤である」は誤訳であるコンフリクトは、「バトル」と訳すべきであるの記事をどうぞ)

目的は、「絵で示せる具体的なこと」にしてください。
映画は絵で示すものだから。
×: ビッグになりたい、イケテる感じになりたい、目立ちたい
○: 歌手デビューしたい、トイレに行きたい、
   3時までに家賃を振り込まなければならない、
   完全犯罪でAを殺したい

目的は、一人ひとつでもいいし、
一人が複数持っていてもいいです。
途中で目的が変わってもいいです。

これらが複数の人の間で矛盾するから、
揉め事が起きるのです。
それが解決するまでがお話です。


Q5. テーマって何?
テーマって何ですか?

これはとても難しい質問です。
あなたの人生のテーマは何ですか?
ぐらい難しいです。
すらすらと答えられるなら、このブログをテーマというキーワードで検索してください。

初心者の頃は、テーマを考えないほうがいいです。
ただ思いついた面白い話をひたすら書いて下さい。

100本越えてから、テーマがぼんやり見えてきます。
出来もしないのにテーマを「作者の主張」だと考えてはいけません。
その未熟者が「キャシャーン」などという世紀のうんこをつくりました。

テーマがなくても、面白い話になります。
まずそれを書けるようになってからです。



まず一本。
見よう見まねで「終わり」まで書いて下さい。
5分以内にしてください。
それが一本書けないなら、むいてないのでやめたほうがいいと思います。

面白かったら、更に本数を書いてみてください。
10本あたりで、書けなくなります。
ここからが、初心者の本番です。
もし面白くなかったら、10本書いてみてください。
そのうち面白い1本が出来ます。あとは上に準じて下さい。
posted by おおおかとしひこ at 14:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック