2015年05月18日

中盤を厚くするには3:スプレッド

目的を増やす。
人を増やすことでも、同じ人のなかに複数の目的でも。

複数の目的の場合、二種類ある。
関係のある目的と、関係のない目的。
後者を、スプレッドどいう。


スプレッドについてはこのブログで何度か触れているので、
各自検索。
カードを広げるように、
互いに関係のないものをただ広げ、
それを順番に課題クリアしていくパターン。
四天王を倒していく、とかはその方式。

その例をドイツ映画からひとつ。
佳作「ノッキン・オン・ザ・ヘブンズ・ドア」。
(日本リメイク版は糞)
末期ガンに犯された二人の男が、
病院を抜け出して、今までの望みを叶えてから死のう、
という話。

車を盗んで、最終的に「見たことがない海を見に行く」ことが目的の、
ロードムービーになる。
(日本リメイク版では、日本が海に囲まれたことを無視していて不自然だ。
車で小一時間も走れば、長野とかじゃない限りすぐ海だろうが。
ドイツの陸と海の構造からして違うのに、全く考えられていない糞。
それを外人監督にやらせて、感覚の違いに言及しない周りはもっと糞)


「死ぬ前に人生を整理することで人生を描く」という、
その後アメリカでやたら流行ったパターンの先駆けだ。
男二人旅だから、当然下ネタだらけだ。
男の目的は、
人生で初めて海を見ることと、3Pをすること。

この異色の二つの掛け合わせが、
この映画の最大の魅力なのだが、
同時に欠点でもある。

二つの目的が、関係が薄いので、絡み合わず、
単なるスプレッドになっているのだ。
ハイ3P、ハイ海、と、二章構成といえば大袈裟だけど、
海を見に行く最中3Pをクリアする、
という、連関しない目的になってしまっている。
そこが大変惜しい作品だ。

具体的にはどうすれば良かったのか。
夜の海で3Pし、朝を迎えれば良かったのか。
海のラストの2ショットが全ての映画だから、
そのラストの前までに、女たちは帰ってもらわなければならないが。

その3Pをするために、金で買う女ではなく、
素人の女を説得する(海で3Pしようぜ)だったら、
途中が面白かったかも知れない。


目的には、その実現の瞬間がある。
その為に、逆算して面白くしてゆくのである。

目的A→目的A達成→目的B→目的B達成、
では詰まらない。
目的AB→どちらも遂行する→ABを同時に叶えるCが→目的C達成、
のほうが、多分面白くなる。
二つのバラバラの話より、
一つの話の方が面白くなるからだ。

スプレッドは、思いつきやすいが、
下手な引き延ばしに見えがちだ。



中盤の厚みは、「目的の数」で数えられて、数値化可能かも知れない。
posted by おおおかとしひこ at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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