2015年05月19日

それは一言で言うと、どんな話?

聞くのはとても簡単だ。
答えるのはとても難しい。
特に自分のつくった話について答えるのは。

しかしこれを自覚的に訓練することは、とても大事だ。


まずこれを、他人の話で言えるようになろう。

それで面白そう、と思われなければならないし、
それが本質を示すべきだし、
それがネタバレになりすぎてはならない。

自分の話でやるより、他人の名作で練習してみるといいだろう。


ド底辺の町のド底辺の、芽も出なかったボクサーが、
偶然世界戦の相手に指名され、
自分は何者かであることを証明するために奮闘する話。

これは、「ロッキー」という話だ。


タイムマシンで過去へ行ったら、
大学時代の父と母の出会いを邪魔して、
若き母に惚れられてしまい、若きダメ男の父とくっつける話。

これは、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」という話だ。


何者かになれず悩んでいた若者が、
帝国軍に囚われた姫のSOSを傍受し、
反乱軍に身を投じて姫を救い出す話。

これは、「スターウォーズ」(公開時タイトル。現在ではep4)という話だ。


問題(外的問題と内的問題の、両方またはどちらか)を示し、
状況を示し、センタークエスチョンをどう動詞で解決しようということを、
示せば多分よいと考える。
一言、かどうか微妙な範囲なのはまあ多目に。
スターウォーズなんかは、一行目を切ってもいいかもだ。

これはログラインと厳密な区別はないような気もする。
ログラインに厳密な定義がないからだ。
別にこれをログラインとしたっていいぐらいだ。
結末に触れずにテーマを匂わせるのが、いい「一言で」だと思うけど。


この「一言」をどれだけ(嘘をつかずに)面白そうに書けるかで、
その話をどのように捉えればいいか、分かってくる。

これを書くのが上手くなれば、
自分の話でもそれが出来るようになるだろう。



僕は作っている最中、しょっちゅうこれを直す。
てんぐ探偵のトップとか、ブログ紹介とか、
実は結構な頻度で筆を入れている。
書くたびに違うし、
書くたびに別の角度からとらえようとしたりする。

それは一言で言うとどんな話?

ちなみに、てんぐ探偵はどうだろう。
シンイチが妖怪「心の闇」を倒す話?
妖怪「心の闇」に取り憑かれた人が、立ち直る話?
どちらとも言えなくて、まだ悩んでいる。
一話完結シリーズは、どちらも主人公になりうる。

「笑ゥせえるすまん」は、
喪黒福造が不幸な人々をどん底に突き落とす話?
不幸な人々が、喪黒福造に叩き落とされる話?
本当は後者なのだろうけど、
企画書には前者の方が分かりやすい気もする。

どちらの立場が主かは置いといたとしても、
一言で言えてれば、まだましなのだが。


今のところ、

現代の妖怪「心の闇」に取り憑かれた人々が、
てんぐ探偵シンイチ少年と協力して、
闇を心の中から追い出す話。

と書くようにするといいのでは、と思っている。



じゃあ「風魔の小次郎」は?
忍者対忍者の能力バトル?(原作)
若き忍者小次郎が、忍者バトルを経て成長する話?(ドラマ)
この辺をきっちりとやったから、
ドラマ版はいまだに色褪せぬ名作である。
原作を一言で捉え、その実写化を一言で捉え、
その差異を把握できることが、
正しい実写化のプロセスかも知れない。


これは、脚本家一人でなく、
プロデューサー、監督、宣伝部が共有すべきことだと思う。
(風魔製作委員会は腐女子向けイケメンショウとしか期待してなかった。
それを僕が、ちゃんとした実写化をする意味から作り上げた。
製作委員会の思惑を僕が利用した、と思われているかも知れない。
いけちゃんとぼくでは、そもそも何故どうやって実写化するか、
という最初の議論が曖昧だったため、何度も方針がぶれ、
脚本づくりに影響しまくった。この記事はその反省も込めている)


一言で、が重要だ。
長い方が正確に言えるが、
長いと把握できないからだ。


それを一言でどう把握するか。
それが大事だ。

僕は「一息で言える量」という肉体的制約が、
「一言で捉えられる概念」の単位だと、なんとなく思っている。
posted by おおおかとしひこ at 15:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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