2015年05月23日

何故途中で挫折するのか

ほんとにこれは良くあることだ。
僕なりの対処法はいくつも書いてきた。
そもそもの原因は何だろうとふと考えて、
思い当たった。

そもそも人には書けないブレーキがついてるのだ。


ブレーキとは、
「こんなこと言うと相手は不快に思うかもしれない」とか、
「こういうことをするのは迷惑かもしれない」とか、
「一方的なのは迷惑だから、相手の事情も考慮に入れるべきだ」
などのような、
「人様に迷惑をかけない」ものが原型ではないだろうか。

これがあるお陰で、我々は社会生活をまともに送れる。
突然電車で服を脱いだり、
突然上司を殴ることはない。

このブレーキは、勝手気ままな自分本位の行動の抑制力だ。


さて。

書きはじめるとき、我々は一瞬このブレーキを忘れる。
初期衝動が高まり、
今書けそうだ、すごいアイデアを思いついた、
などと思い、書きはじめる。

つまり、初期衝動は、ブレーキを突破する為の起爆剤だ。

砂浜で強力なゴムを背中につけ、
なるべく遠くまで走ってフラッグを取るゲームなどを、
見たことがあるだろう。
必死で走らないとゴムの引っ張りに負けて、
後ろに戻されるやつだ。

このゴムが、常にブレーキをかけていると想像しよう。
どうすればフラッグを取れる?
最初に猛ダッシュするしかない。


途中で挫折するのは、
最初の猛ダッシュが足りず、ゴムに後ろに引っ張られてしまったからだ。

初期衝動が高まったら、
ブレーキが効いてくる前に、最後まで書ききることがコツだ。

ブレーキは一定の力で効くとしよう。
とするならば、
初期衝動をなるべく大きくして、
ブレーキが効き切る前に駆け抜けるのである。


そんなことは出来るだろうか。
可能だ。

一幕を一日で書け。
二幕前半を一日で書け。
二幕後半から三幕までを一日で書け。

そういう風にスケジューリングをせよ。

時間を確保し、三日間で集中するスケジューリングをし、
その日を迎えるに当たって、綿密な準備をせよ。

それが出来ないなら、
あなたはいつでも挫折するだろう。
ブレーキの効果が勝ってしまうからだ。
(ブレーキは、世間を安定させる為にある。
芸術は、世の中を騒がす為にある。真逆のベクトルなのである)


とにかく一気に書け。

僕は一日でせいぜい1万字強しか書けないから、
自然とこうなった。
(論文調なら、このブログのようにもっと書けるかも)

自分が最大一日何文字書けるか?
これを知っていることは、意外と大事だ。

もっと速い人、もっと遅い人もいるだろう。
どちらにせよ、把握するのだ。
これは数を書くことでしか統計を取れないので、
自分の経験則が大事だ。


自分の一日最大速度で、ブレーキを振り切ろう。
飯くって風呂入ってビールでも飲んでたっぷり寝て、
次の日もマックス速度で、ブレーキを振り切ろう。
その為に、
書くべきもののブロックわけをし、
一日でそのブロックを書ききることだ。

そのブロックわけこそが、あなたの為の構成となる。


三日か四日で、全速力キープ出来れば、
映画脚本は書ききれる。
(全速力は四日持たない。大変疲弊する。
また中休みを入れてもよいが、書く前の計画にしておかないと、
休みに甘えがちになる)

勿論準備にはもっと時間がかかる。
全体の9割は準備だ。
しかし、執筆そのものは、
それくらいのスピード感でブレーキを振り切るのがいい。

そうしない限り、あなたは絶対に挫折する。


最後までさえ書ければ、それが半分の完成度だとしても、
完成度をあとから上げていけるのだ。
リライトはその為にやればいい。部分の起伏と全体の起伏を再調整していい。
挫折したら完成度は0である。



ブレーキは常に一定に効いている。

こんな大したことない作品で偉そうにしてんじゃねえよ。
こんなもので世界が変わるかよ。
あれよりつまんねえよ。
意味ないよこんな話。
魅力がない。
それは、書いてるときでも書いてない時でも、
常に一定に効いている。

それを突破するだけの加速を、一日の最初にすればいいだけだ。

一日で何文字書ける?

それを知り、逆算でスケジューリングしてみよう。


一日原稿用紙5枚、1000字でもいい。
5分ものをいっぱい書いて、5分の名手になればいい。
一日50000字書けたら、一日で脚本を書ける計算だ。
(多分人間業じゃないよね。
平井和正は自動書記状態で月10〜20万字。
僕は今てんぐ探偵で月6〜7万字ペースだ。
実際にはその前に構想を一年近くしたけど)


小説の節や章は、ブレーキを振り切って書けるだけの、
その作者の日産文字量なのではないかなあ。



これぐらい単純にものを考えれば、
挫折のメカニズムと、
その防止策を講じれるのではないかな。
posted by おおおかとしひこ at 15:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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