2015年05月24日

寄り道

二幕がストレートに行きすぎるときは、
寄り道をさせよう。


よくあるのは、事件が起きて、
解決方法がすぐ見つかってしまうパターンだ。
ああでもないこうでもない、
とやる中盤がゼロになってしまったりする。

ああでもないこうでもない、ということが出来ず、
わりとストレートにやるべきことが見えているときに、
この問題が起こりやすい。
わざと間違ったボケをするコメディでないなら、
寄り道をしてみるといい。

違うとは思うけど一応この可能性は潰しておくとか、
一端休憩して別の雑談をするとかだ。

その雑談からサブプロットが発生して、
その後訪れるクライマックスと関係を作ることか出来る
(つまり伏線になる)かも知れない。


メインプロットの解決だけが人生じゃない。
寄り道をするのが人生だ。
そして、その寄り道のほうが人生だったりするものだ。


色々やるべきことがあるなら、
その中盤を進めればいい。
あまり思いつかないなら、
一行を最終目的地に連れていく前に、
別の所で一休みさせるといい。
何かを食べさせたり飲ませたりするのはとてもよい。

多分過去の話や全然関係ない話を、
彼らはしはじめるだろう。
そこに、人生を描くヒントが眠っている。


最初は無理矢理休ませる場面かも知れない。
これをリライトの時に、
もっと自然な導入(違う休みかたにして、内容は同じにする。
どうせ最初は適当な場所にしたはずだから、いくらでも直せる)
にしてしまえばよい。
計画された中盤にしか、見えなくなる。

たとえば、T2のミッドポイント、
基地での休憩は、名シーンのひとつだ。
ターミネーターが父親になったかもしれない可能性が、
ロボットであるターミネーターの感情への理解の伏線になる。
(ラスト、何故人間が涙を流すか分かった、への伏線になる)
このシーンを書いた上で、
更に前の、チェイス終わりでの、
ターミネーターとジョンコナーの、
「ロボットは言うことをきく」ワンシーンが追加されている、
と逆算で考えることが出来る。

これらが関連する糸になって、
ロボットが感情を理解し、自己犠牲になる、
という物語を作っているのだ。

T2は、下手したら単なる追跡劇しか、メインプロットがない。
そこに、ロボットの感情という物語を重ねてきたのは、
おそらくこのような発想からではないかと、僕は考えている。



一直線の話になりそうなら、
ちょっと寄り道をしてみよう。
何もなかったらカットするつもりでいい。
でも大抵、何か発見する。
あなた自身が寄り道が好きな人だと、なおいい。
posted by おおおかとしひこ at 12:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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