コンセプトがシンプルで面白く、
内容が複雑で豊かなのが面白い、と思う。
コンセプトとは、「この作品をどのように楽しむべきか」という基本アイデアのことだ。
「ロッキー」なら、どん底ボクサーの逆転劇、
「カリオストロの城」なら、謎めいた古城の冒険と姫の救出劇、
「ジュラシックパーク」なら、コントロールを失った恐竜島からの脱出劇、
「風魔の小次郎」なら、部活の裏での忍術合戦、
「てんぐ探偵」なら、心の闇の種類と立ち直り方。
そのシンプルさのキャラが立っていれば立っているほど、
それが見たことのないものであればあるほど、
それがそそればそそるほど、
それは面白い。
予告編での面白さ、口伝えでの面白さは、それがシンプルで強いほど、
面白そうに思える。
「今度こんなのがあるんだって」
「どんなの?」に対する答えは、これが望ましい。
これらは一枚画に属さないことが、ストーリーの面白さを表現する。
オシャレ/凄い画は、ストーリーの面白さではない。
キャラクターやシチュエーションも、ストーリーの面白さではない。
「ペプシ桃太郎が、映画っぽい凄い画だ」は、ストーリーの面白さではない。
「双子が互いを心配しあう」は、ストーリーの面白さではなく、
シチュエーションの面白さだ。
(そもそもどういう設定で、どういう展開があって、どういう結果になるかが、
ストーリーの面白さだ。
たとえば「弟の兄へのコンプレックスの克服」と表現すれば、
それは風魔5話のコンセプトを書いた事になる)
さて。
これらは、シンプルで強く、なおかつ一枚画の静的面白さではなく、
物語の動的な面白さを記述したものがベストだ。
しかし、これは中身を単純にすることとは、全く異なる。
中身が単純だと先が読めて退屈する。
先が読めない、複雑な話の方が面白いに決まっている。
(疲れてる時は、単純なゆるい話のほうが心にやさしいが、
それは別の話だ)
中身が濃くて複雑で、予測がつかなくて、深くて、
しかしコンセプトはシンプルで分かりやすくてキャラが立っているのがいい。
勧善懲悪や恋愛ものの名作は、そのようにできている。
バトルものやミステリーものの名作も、そのようにできている。
シンプルで単純で、興味深く、新しいコンセプト。
それを使った、どんな人が考えつくより複雑で深い内容。
多分それが正解だ。
2015年05月25日
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