ストーリーとは、変化のことである。
どんな瞬間も変化の途中であり、
変化していない部分は、
ストーリーの中では「停滞」「退屈」に該当する。
(現実に停滞や退屈があったとしても、ストーリーの中ではそれは上手いこと省略される。
編集というのはそれをやる為の基本だ。ワンカット技法は、どこかで退屈が生まれる。
ワンカットじゃなくても、退屈なストーリーは死ぬほどあるけどね)
それは、変化しつつあるか?
リトマス試験紙が、赤から青に変わるのをイメージしよう。
ストーリーは、赤のことでも青のことでもない。
静止した何かはストーリーとは言わない。
赤から青に変わる最中が、ストーリーである。
(写真、ファッション、デザイン、世界観、表情、キャラクターは、
ストーリーではない。
理系的に言えば、dx/dt=0だからだ)
「紫」がストーリーでもない。
赤から青に変わっていくそのさまがストーリーだ。
赤の状態、途中の状態1、2、3…、青の状態、
その「一連」がストーリーだ。
正確に言うと、その点と点の間に存在している「流れ」がストーリーだ。
(この意味で、流体力学や電気力学はストーリー工学に援用できるかもしれない)
変化するものは沢山ある。
今の状況、人の気持ち、最初に与えられていた意味。
焦点、人間関係、立場、場所、小道具、時間感覚。
そして観客の気持ち。
見終えた後に残る余韻で、観客の人生に与える影響。世間。
(余談だが、小説を読み終えると、5日から10日、小説を読んでいないのに、
小説を読んでいる時と同じ脳の部分が活性化し続ける、という研究があるそうだ。
反芻したり、その物語の事を考えている時間のことが、測定されたのである。
つまり、物語が人に影響を与えるのは、この5日から10日間のあいだだ)
それは、常に変化しているか?
何の変化の途中なのか?
それを常に正確に言えるようにしておくこと。
(例えば西遊記は、常に「天竺へお経を取りにいく途中(場所の変化)」だ。
ロードムービーとは、一般的に場所の途中を描く形式である)
ずっと変化しぱなしでは疲れるから、
人はどこかで休憩を取りたくなるものだ。
つまり、変化速度は一定でなく、いろいろ変化する。
緩急とは、そのコントロールのことである。
急、盛り上がりとは、その変化の大きいところで、
緩とは、その変化が少なく休憩するところだ。
それは変化しているか?
何の変化の途中なのか?(全体の変化のどのへんか?)
緩急のうちどっち?緩なら緩、急なら急を書くべし。
たいてい、書けなくなる時は、
緩→緩→緩、となってしまうときだ。
どんな要素の変化があるか、今一度確認しよう。
今の状況、人の気持ち、最初に与えられていた意味。
焦点、人間関係、立場、場所、小道具、時間感覚。
どの要素も停滞するから、書くのが止まってしまう。
ということは、何かの変化のストップを再開すればいい。
たとえば状況がストップしていたら、気持ちの変化を再開させる。
(ラブストーリーで、
試験前に勉強が進まないときに限って、なぜか相手を気にしてドキドキする、など)
たとえば人間関係がストップしていたら、状況を変化させる。
(三角関係に新キャラが登場し四角関係に、とか、
膠着した両国の戦争に、新兵器開発とか)
焦点のストップに、場所の変化とか。
(話が詰まったから場所を変えると話が続く、などのぎこちないデート)
そんな例はいくらでもあるだろう。
そうやって、話が停滞するのを防ぐ。
それは、何が変化する話なのか?
それは今変化しているか?
それを見極めよう。
(今ちょっと詰まって書けないのです)
2015年05月26日
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