テーマをつくろう。
その逆の状態の日常をつくろう。
その日常を打破して、
テーマの状態になる話をつくろう。
たったこれだけだ。
あとは中盤を厚くすればOK。
簡単な話から。
テーマは勧善懲悪。
最初の日常は悪の横行する世界。
主人公があることをきっかけに、
正義をなし、世界が悪でなくなることを描く。
言うのは簡単だけど、リアリティーのあるそれを書くのは難しいテーマだ。
ちゃんと書けたら名作クラス。
テーマは愛が大事。
最初の日常は愛が失われた世界。
例えば冷めた夫婦やカップル。
あることをきっかけに愛が復活する話を書けばいい。
あるいは、人を愛することを知らない男が、
あるいは、人を愛することを信じられない(裏切られたなど)男が、
愛を知る話。
男女の愛でも、人の親切でも構わない。
ほとんどのでかいテーマは、このふたつに集約される。
しかし大きすぎて、とても難しい。
これまで人類が書いてきた、どの話をも凌駕することは、
かなりの筆力がいるだろう。
わりと簡単なのは、
「全く新しい世界」でこれを描くことだ。
たとえば「文房具だけをコマ撮りした世界」で、
正義や愛を描くと、それだけで新しく見える。
(その手は多分誰かがやってると思うけど。
キャップを失ったボールペンが再びキャップを取り戻すまでの、
深夜の会社を舞台にした冒険譚とかね)
何かの擬人化は、新しい世界を描くのにうってつけだ。
戦艦の次は刀剣だ。同じことの世界違いだ。
さて。
人間の世界を舞台にした映画というジャンルは、
同じテーマを描くなら、
世界を別にする、
例えば時代劇にする、SFにする、外国にする、ネットの中にする、
などをするとよい。
もうひとつは、テーマを別のものを探すとよい。
ネタをばらせば、「てんぐ探偵」とは、
あるテーマを描くために、
逆の状態を「心の闇に取り憑かれた」設定にした物語群なのだ。
39話「目先」なら、
「100年先を見る」ことをテーマにする為に、
その逆の、「目先のことばかりになる」状況を作り出したのだ。
全ては、ここを背骨に作られているのである。
芸能事務所の社長と役者の人生、という、
目先の経営と芸術の寿命、という対比的なモチーフを選び、
あとは芸術の長さを作るために、
年寄りが若手に伝授するというモチーフを選び、
その練習にシンイチが偶然出会うように冒頭をつくり、
タイタニック挿話と暗いところから遠くの灯りを見るという、
心の闇と炎の話の別バージョンとも言えるエピソードを入れ、
ヨーロッパの森を中心モチーフにすれば、
あとは、それぞれの目的が交錯するように、作っていけばよい。
これから分かるように、モチーフの選び方、
色々なパーツは、テーマから逆算である。
そうやって、逆算でものを作るやり方が、
テーマから書くときだ。
勿論、これを書くときは、師弟関係の良さとか、
夜の公園の稽古のドキドキ感とか、
そういう、普段書きたいなあと思っている要素が僕のなかにあって、
それと上手くくっついたから、
これらを書こうと思ったのだ。
そういうものの選び方は、好みでいい。
モチーフは書きたいものの好みでいい。
100年先を見るというテーマの中で、
役者の師弟がベストのモチーフとも思えない。
(そもそも会社経営のことで普段疑問に思っていることを、
芸能事務所にモチーフをずらしたし)
砂漠の緑化をしている人を主人公にしてもいいし、
宮大工の人を主人公にしてもいいし、
ダムを作る人を主人公にしてもいいし、
サグラダファミリアの建設事業を継いだ人を主人公にしてもいい。
あとは、取材して書けるかどうかという話だ。
僕は芸能事務所の社長と役者の人生なら書けるかな、
と、いわば楽をしたのだ。
モチーフは自分のなかにある。
好みや書けるかという点で。
これは取材して増やすことも出来る。
人生経験が豊富だったりするとなおよい。
テーマさえ出来れば、そのモチーフを選べばいい。
複数候補があったりするぐらい、
モチーフは探すべきかも知れない。
逆にモチーフからつくる方法もある。
次に書くとしよう。
2015年05月27日
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