今、観客の関心が集中し、
夢中になっているものを、焦点という。
夢中になっているものとは、
どんなものであるべきか?
ファッションとか、音楽とか、
好きな役者の好きなポーズや表情に夢中になっているのなら、
それはストーリーに夢中になっていない。
例えば車田正美の漫画では、
必殺技のかっこよさや絵柄に夢中になるが、
それはストーリーには夢中になっていない。
例えばアニメやSFや、知らない国での物語は、
その世界観に夢中になる
(例えば、フィジー島の暮らしはゆるくて楽しそう、
例えば、スチームパンクの暗い世界観が好き)が、
それはストーリーには夢中になっていない。
キャラが好き!という夢中も、
ストーリーに夢中になっていない。
勿論、これらは、物語が持つ魅力のひとつだから、
それに夢中になることはとても大事で有用だが、
それはストーリーに夢中になることではない。
ストーリーに夢中になるということは、
どういうことか。
ストーリーの焦点に夢中になっているか、
ということだ。
例えば。
どっちが勝つのか?
誰と付き合うのか?
本当の気持ちは? 真意はなにか?
謎の答えは?
死ぬのか生きるのか?
成功か?失敗か?
この先どうなってしまうのか?
それは解決するのか?
それはどう解決するのか?
あの気持ちは何だったのか?
この先が不安だ
この先が楽しみだ
この先が見たくない
この先がどうしても見たい
これらに夢中になることが、
ストーリーに夢中になることだ。
魅力的なキャラがワチャワチャしているだけで、
ストーリーに夢中になれないのは、
ストーリーではない。
ただのキャラのお喋り会である。
(例えば、舞台版風魔の小次郎は、ドラマのそれに比べ、
ストーリー要素には夢中になれない)
魅力的な世界観やキャラはいるのだが、
肝心のストーリーに夢中になれないのは、
ストーリーではない。
設定集だ。
(ファイブスターストーリーズは、ストーリーという名のついた、
魅力的な設定集だ)
ストーリーに夢中になるということは、
上の例でも示したように、
具体的な「?」型で書くことが出来る。
どうなるのか?
真意は?
真実は?
などだ。
心の状態でいえば、ドキドキとか、ワクワクとかだ。
これから、今と違うことが起こることへの、
心の準備のような状態だ。
もし、ストーリーへの夢中がない(弱い)のなら、
それは貧弱なストーリーだ。
キャラや世界観やその他のガワにしか夢中になれず、
ストーリーに夢中になっていないのなら、
それは貧弱なストーリーだ。
夢中になるように、ストーリーを書こう。
コツは、危険を盛り込むことだと思う。
大変なことになってしまった
(後戻りできない)、だと思う。
ストーリーは転がる。
つまり、決して止まらない。
安息がやって来るのはラストだけだ。
ノンストップなんとか、はよくあるコピーだが、
ストーリーは基本的にノンストップである。
(一時休憩はある)
あなたは、ノンストップの面白さを書き、
夢中にさせるのが仕事だ。
ノンストップの夢中だから、
ある瞬間を取り出すと、
別の瞬間に夢中になっているものとは、
違うものでなければならない。
(そうでないと転がっているとはいえない)
異なる焦点へ変更する場面のことを、ターニングポイントという。
小さな事件や決定などが多い。
あるものに夢中になる。
次に、あるものに夢中になる。
さらに次に、あるものに夢中になる。
これらの間には必ずターニングポイントがある。
夢中になることは、
こうやって次々に別々のものへ夢中にさせることだ。
これを、ガワ(変化しないもの)に夢中にさせると、
スプレッドという構造になる。
スプレッドは、まず三つ目で飽きる。
(たとえば、ペプシ桃太郎)
スプレッドにしないためのキーワードは、転がるとか、変化する、である。
ストーリーは、変化しないものを追うことではない。
変化する人や状況を追うものだ。
何がどう変化していくのか。
それに夢中になることが、ストーリーに夢中になっている、
ということだ。
2015年05月31日
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