さて、僕はずっとペプシ桃太郎をこきおろしているのだが、
実は十年ぐらい前に、全く同じ構造を持つCMがあったことを、
突然思い出した。
NTT東日本「ガッチャマン」だ。
クリエイター(企画をし、プレゼンしてビジネスにする人)は同じ人だ。
監督は違う人。
ガッチャマンの監督は中島哲也。(6/2シュガーさんの指摘で直しときました)
桃太郎の監督は井口なんとかさん。
ガッチャマンは、
マトリックスやなんやらをパクり、
ダークな世界観に、アニメのガッチャマンを甦らせ、
カッコイイ登場シーンを描く。
しかしそれは出落ちに過ぎず、
何か展開するかというとそうでもない。
大鷲の健が出てきて、ガッチャマンbyNTT東日本と入るだけだ。
実はこれ、最初期のHP誘導型のCMで、
NTT東日本特設サイトには、
現代版ガッチャマンの設定集や世界観が沢山アップされていた。
たしかオリジナルアニメもあったはず。
これがどうしてNTT東日本の宣伝になったの?
実は、みんながアクセスしまくることで、
回線料が儲かる仕組みだったのだ。
(昔は今より高かったしね)
身も蓋もないではないか。
ノードを深くし、謎があるようにし、
奥へ奥へいくように仕掛けて、
何も結局ないのだが、
通行料だけで莫大に儲ける。
要するに詐欺だ。
恐ろしい。
その仕掛けを考えた奴が天才なだけだ。
さて、時代が下って、
彼は監督を現代風の人に変えて、
同じことをした。
しかしペプシだったのが問題だ。
今回は回線料で儲けるのではなく、
ジュースを売らなければならない。
回線料ほど、儲からなかっただろう。
特設サイトもガッチャマンと同じぐらい出来はいい。
しかしガッチャマンの時より回線料は下がっているし、
特設サイトで世界観を楽しませること自体、
いまや珍しいことじゃない。
回線料はサントリーの上がりには関係ない。
そういうことで、天才の二度目の大博打は失敗だ。
一度目は、SMAPの5人がガッチャマンの5忍に、
という驚きと、その鏑矢という驚きがあった。
二度目は、小栗旬と、そういうのあるよね、
という微妙なものだった。
今の時代としては凄い、と、手放しでない注釈つきだった。
それは、オリジナル(ガッチャマン)を越えていない、
二番煎じだった。
彼は、もう一度どこか別のクライアントを捕まえて、
同じことをするだろうね。
あとに何も残らない、ガワだけのものを。
ファッションデザイナーは、時代をつくる。
ガワを流行らせ、流行りをつくる。あとに何も残らない。
ガッチャマンは、流行りをつくった。
桃太郎は?
CMは、流行りをつくるだけじゃない。
そこにストーリーがあり、
永遠に残る価値を作ることが出来る。
例えば「恋は遠い日の花火ではない」とかシンデレラエクスプレスとか。
僕はそういうものを作りたくてCM業界に入ったのだが、
景気後退やその他の条件によって、
それどころじゃなくなってしまったようだけど。
2015年05月31日
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