何故なら、ルーチン化したということだから。
作業効率が見積もれてコストダウンするポイントが分かるほど、
作り方が固定化してしまったということだから。
我々の仕事は、毎回違う新しいものをつくることだ。
だから作り方は一定ではない。
下手すると、作り方から作る、なんてことはよくある。
とはいえ、過去にやったことがあるものを応用して、
前のやり方を踏襲すれば楽なこともある。
(これが一定の質を保証したり、
逆に一定の枠から出られない弊害を生む。
例えば日本のCGの作り方は大体決まっている。
ハリウッドのCGは、プログラムから作る。
当然だけど、値段は2桁から3桁違う。
CMのCGは数百万、いけちゃんのCG費は2000万。
秒単価を考えれば不当に安い。
予算配分を決めるのは監督ではなくプロデューサーだ。
財布を握る人が、前例踏襲か先行投資かを選択する)
これが前の踏襲だけになると、
(特に日本人は前例主義だ)
次にやって来るのはコストダウンだ。
同じことやるだけなら、もう少し安く出来ないか、だ。
こうして制作の価値が値崩れし、
複数の業者による見積もり競合になり、
安い業者が仕事を奪い、
質は下がり、元々よかったものがどうでもよくなる。
行き着く先は移民であり、ロボット化だろう。
今映像業界での、クリエイティビティの価値下落が激しい。
それは、コストダウンが第一になっているからだ。
いくらでも金はある、面白いものをつくれと言われても、
もう面白いものは作れないほど、
今業界全体が弱体化している気がする。
(ちなみに業界小話。本屋でも売っている専門誌で確認できることですが、
ペプシ桃太郎とカップヌードルの新作は、同じ監督です。
化けの皮が剥がれたね)
それは、デジタル導入と機を一にしている。
(最初は編集から、次にCG、次に撮影機器の順だった。
次はオールインワンの鷹の爪団方式になるだろう。
つまり、ユーチューバーとたいして変わらないレベルに堕ちるだろう)
コスト革命は結局作り手の価値を下げる。
女は安売りしたら終わり。
次も安い値段で買われ、更に値段を下げられ、
更に安い女に客を取られるだろう。
今コストを多少無視してでも、という現場はどこかな。
シンガポール?インド?南アフリカ?
日本だとオリンピック関連?
火星開発まで景気は良くならないのか?
映像業界は、ほんとにやる気があるのかなあ。
ちょっと不透明になってきたよね。
ルーチン化したところから、新しいものが出るわけがない。
いつの時代も必要なのは、新しくて面白い話が作れる人だ。
つまりそれはコスト度外視の、
莫大な先行投資(勉強や経験や研究)が必要なのだ。
学習に王道なし。
2015年06月09日
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