とはいえ、なかなかこのスタイルでつくるのは難しい。
先に価値ある結論を思いつくということは、
世の中に価値あるテーゼを、
リアリティーを含めて提示できなければならないからだ。
ということで、頭から作るときはこうする。
大体思いつきは、
頭の方を思いつくものだ。
シチュエーションとかキャラクターとか、事件の冒頭とか。
これを、細かく思いつかないのがコツだ。
まず思いついたら、
ディテールを詰めてはいけない。
あとで柔軟に変えることが出来るようにだ。
その問題の帰結がどうなるかを考える。
その帰結が一体どういう結論を暗示するかを考える。
たいてい、平凡な結論になる。
そこで、平凡でない、ちょっと面白い結論にアレンジする。
その結論にたどり着けるように、
前段をアレンジする。
この為に、前段を柔軟にしておく。
キャラクターを決めすぎない、事件の詳細を詰めすぎない。
たとえば冒頭を「吉祥寺公園で生首が見つかった」とせず、
「とある公園で死体の一部が見つかった」ぐらいにする。
次に、死体も人間ではなく、猫やロボットの一部などにしてみたり。
とある公園も、海辺とか学校とかライブハウスに変えてみたり。
前段を柔軟にアレンジすることで、
結論との整合性をとる。
こうやっているうちに、
前段から結論へ自然に至る、面白い道が見える。
こともある。
必ずではない。
一本道が見えるまで、前段と結論を調整する。
容易に想像できるように、この調整は無限にやりつづけることになる。
だからこのやり方をとる人は、まだまだアマチュアレベルだ。
ここで苦労するうちに、このやり方では無理だと気づくまで、
このやり方を続けると思う。
この無限アレンジ地獄を避けるには、
早々に結論をつくるといい。
そして、アマチュア時代に考えたあらゆる無限オモシロ前段から、
使えそうなのを持ってくるといい。
無限アレンジした中に流用出来るのがなければ、
改めてオモシロ前段を思いつけばいいだけだ。
無限アレンジの経験はここで生きる。
なんか面白い前段を思いつくぐらい、
無限アレンジ地獄経験者は簡単だ。
もし結論ありきで面白い前段を考えつかないのだとしたら、
あなたは無限アレンジ地獄の経験が足りない。
前段をこうして落ちをこうしたら、こういう意味の話になる、
というアレンジを、沢山経験していない。
ということで、若いうちに沢山考える経験を積んでおこう。
30越えてはじめるのは遅いと思う。柔軟性とか、脳への負荷的にね。
三題噺やプロットマラソンや企画を沢山考えるのは、
その自律的訓練法だ。
現実的には大体こんな感じ。
結論はまだ言葉になっていないが、大体こういう感じのものが書きたい
↓
面白げなシチュエーションを思いつき、
これならまだ言葉になっていない結論へたどり着けそうだ
↓
展開を盛り込み、結論へ
↓
結論が細かく確定、なるほど、自分はこれが書きたかったのか
↓
だとするとこの結論ありきで、冒頭から面白く出来る、
ミスリードや起伏ももっとつけられる
↓
リライト、最初に戻る
みたいなこと。
前段と結論の無限調整よりも、
全然いけるやり方だ。
ただし色々なところで、無限調整した経験からの、
面白いアイデアを思いついて足すことが出来るだろう。
それもなにも、結論が決まっているから、必要とか余計とかが判断できるのだが。
結論が決まっている話を、
それを知らない人にうまく話すこと。
そのためには、はじめて聞く人でも分かるように結論をかみ砕き、
聞く人でも理解できる体験を話してあげて、
それってこういうことなんですよ、
とはじめるのがよい。
つまり感情移入である。
あとは、その主人公の事情に橋渡しして、
面白い展開をつくり、
解決したときに、
最初に話した、はじめて聞く人でも分かるような結論へ、
戻してあげるのである。
それがこれまで話したことの意味となる。
2015年06月12日
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